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埼玉 カンボジア特殊詐欺日本人25人逮捕 “捕まってほっとした”

  • 2023年11月14日

カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループの日本人25人が埼玉県警などに逮捕されました。
グループは高齢者を狙って現地からうその電話をかけ、被害は少なくとも8道府県でおよそ2億3000万円にのぼるとみられています。容疑者の一部は「捕まったのはいやだが正直ほっとした」と供述しているということです。現地はどんな状況だったのでしょうか。

(さいたま放送局記者/海老原悠太)

カンボジアから日本に移送・逮捕

25人は、ことし9月、カンボジアのアパートで現地当局に拘束されていました。

移送のためのチャーター便・プノンペンの空港

そして10月8日、日本に向けて移送が始まりました。

羽田空港に到着した容疑者ら

25人はことし8月ごろ、北海道に住む70代の女性に介護施設の入居に関して名義貸しのトラブルを解決する名目のうその電話をかけて現金45万円をだまし取ったなどとして、詐欺などの疑いで逮捕されました。

25人は20歳から42歳の男です。現地から日本の被害者に電話をする「かけ子」だったとみられています。

現地から組織的に電話かけていたか

拠点としていたアパート

25人は現地の8階建てのアパートを貸し切っていました。7階のフロアを電話をかける専用の場所「かけ場」として使用していたとみられています。

アパートからは100台を超えるスマートフォンやパソコン、それに▽電話番号が載っている高齢者の名簿や▽被害者の名前や家族構成、口座の数を書き込む記入用紙などが見つかったということです。

捜査関係者によりますと、記入用紙にはうその電話で名乗った立場やグループ内の役割なども記され電話の記録が組織的に管理されていたとみられるということです。

押収された「記入用紙」の一部

また記入用紙は水に溶ける紙でした。警察はすぐに証拠を隠滅できるように備えていたとみて詳しい状況を調べています。

なぜカンボジアに?現地での状況は?

25人は、ことし3月から8月にかけてカンボジアに順次入国し▽20代が16人▽30代が6人▽40代が3人で、「闇バイト」を通じて現地に渡ったとみられるということです。

現地での様子も少しずつわかってきました。現地での状況について、容疑者の一部の供述です。

容疑者の一部
「午前9時から途中1時間の休憩を挟んで午後7時まで毎日10時間拠点のアパートにいた。月に1回休みはあったが外出は許されなかった」

容疑者の一部
「寝泊まりは2人部屋だった。支給されていた食事はおいしくなかった。建物にあったウォーターサーバーの水もくさかった」

容疑者の一部
「滞在は2、3か月のつもりだったが、帰れなかった。捕まったことは嫌だが正直ほっとした」

拠点のアパートの一室からは複数のパスポートがまとめられた状態で見つかりました。警察は、25人が行動を制限された中でうその電話を日本にかけていたとみて捜査しています。

今後の捜査は

警察は「かけ子」を大勢集めたり現地で拠点を構えたりしていることからグループを統括する指示役などがいるとみています。グループ内の指揮命令系統がどうなっていたのか実態の解明を進めていくことになります。

また、ことし9月に現地当局が摘発した際に拠点のアパートから3人が逃走したということで、警察は引き続き行方を捜査することにしています。

被害に遭わないためには

今回の事件では、被害にあった北海道の70代の女性のもとに介護施設の運営会社の社員、介護施設の職員、それに顧問弁護士などという男らが、役割分担しながら次々とうその電話をかけることで話を信じるよう被害者を追い込んでいった疑いがあるということです。

そして、現金は郵便で東京・大田区にある空き部屋に送るよう指示していました。

捜査関係者によりますと空き部屋を勝手に現金の送り先として指定し、届けられたあとにポストから盗み出すなどして回収するケースがあるということです。

現金を受け取る「受け子」の逮捕を避け、グループの摘発を免れるためだったとみられています。特殊詐欺事件ではこうした宅配便や郵便を悪用した「現金送付型」の手口が増えてきているということです。

警察は郵送や宅配便で現金を送ってと言われた場合は詐欺の可能性が高く、警察や周りの人に相談するよう呼びかけています。

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