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春闘2024 賃上げ要求は 連合 金属労協 UAゼンセン JAM 自動車総連 電機連合 基幹労連 全労連

鉄鋼機械 自動車メーカー 通信 電機メーカーは
  • 2024年2月16日

ことしの春闘では、労働組合側からは例年以上に高い水準の賃上げの要求の提出が相次いでいます。連合、金属労協、UAゼンセン、JAM、自動車総連、電機連合、基幹労連、全労連、さらに鉄鋼機械、自動車メーカー、NTTなど通信、電機メーカーといった労働組合側の賃上げの要求の内容や春闘の焦点などについてまとめました。
【更新 2月16日】

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連合 金属労協 UAゼンセン JAM 自動車総連 電機連合 基幹労連 全労連
鉄鋼と機械の大手各社 自動車メーカーなど 通信 大手電機メーカー各社

 

連合 30年ぶりの水準となった去年を上回る要求

組合員およそ700万人の労働組合の中央組織「連合」はことし、ベースアップ相当分として3%以上、定期昇給分をあわせて5%以上の賃上げを要求する方針です。
これは1995年以来、およそ30年ぶりの水準となった去年の春闘を上回る高い水準です。

 

金属労協 1998年以降で最も高い水準を要求

自動車や電機、鉄鋼などの労働組合が加盟する5つの産業別労働組合で構成され、組合員およそ200万人の「金属労協」はベースアップ相当分として月額1万円以上の賃上げを求める方針です。
去年の要求額から4000円を上乗せし、現在の方式で要求を始めた1998年以降、最も高い水準です。

 

UAゼンセン “6%を基準” 表現強める

主要な産業別の労働組合では、繊維、流通、サービス業などの労働組合で作る「UAゼンセン」がベースアップ相当分と定期昇給分を合わせて「6%を基準」とした賃上げを求める方針です。
去年は「6%程度を目指す」としていましたが、「基準とする」と表現を強めています。

 

JAM 結成以来で最も高い水準を要求

機械や金属産業の中小企業などの労働組合でつくる「JAM」はベースアップ分と定期昇給相当分を合わせて平均賃金で1万6500円以上を要求する方針です。
これは去年の要求額より3000円高く、JAMが結成した1999年以来、最も高くなります。

 

自動車総連 企業内最低賃金 去年より7000円引き上げを

自動車メーカーや部品会社などの労働組合でつくる「自動車総連」は、ベースアップの統一的な要求額は掲げませんが、企業内の最低賃金を去年より7000円引き上げ、月収18万円以上を求めることを基準としています。

 

電機連合 1998年以降で最も高い水準

全国におよそ58万人の組合員がいる「電機連合」は25日、ことしの春闘について、ベースアップ相当分として去年を6000円上回る月額1万3000円以上の賃上げを求める方針を決めました。これは現在の方式で要求を始めた1998年以降で最も高い水準です。
さらに定期昇給分として7000円を要求する方針で、あわせて月額2万円以上の賃上げを求めることになります。
【1月26日追記】

 

基幹労連 月額1万2000円以上の賃上げを

鉄鋼や重工、造船などの産業別労働組合、基幹労連は5日、記者会見を開き、ことしの春闘でベースアップ相当分として月額1万2000円以上の賃上げを求める方針案を説明しました。
このうち日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社の労働組合はベースアップ相当分で月額3万円の賃上げを要求する方針案をまとめたということです。
この要求はオイルショックによる物価高の影響を受けた1975年以来およそ50年ぶりの高水準です。
【2月6日追記】

 

全労連 10%以上賃上げ要求を決定“ストライキも辞さず”

およそ70万人の組合員がいる労働団体の全労連・全国労働組合総連合は1月25日、都内で記者会見を開き、ことしの春闘の方針を明らかにしました。

それによりますと非正規労働者を含むすべての労働者の賃金について、ベースアップ相当分と定期昇給分とを合わせて賃金の10%以上、月額にして3万円以上の賃上げを求めるとしています。
また、労使が協定を結ぶ企業内最低賃金は時給1500円以上、月額で22万5000円以上を求める方針です。これらはこれまでで最も高い水準で、物価が高騰し実質賃金の低下が続いていることを踏まえ大幅な賃上げを要求することになりました。

全労連に加盟する組合では去年の春闘では400回を超えるストライキを行っていて、ことしもストライキの実施を辞さない姿勢で臨む方針です。
【1月26日追記】

 

鉄鋼と機械の大手各社

鉄鋼と機械の大手各社の労働組合は9日、賃上げを求める要求書を経営側に提出し、労使交渉が本格的に始まりました。
このうち「日本製鉄」の労働組合は、ベースアップ相当分で月額3万円の賃上げなどを求める要求書を経営側に提出しました。
月額3万円の賃上げ要求は、オイルショックによる物価高の影響を受けた1975年以来の高い水準だということです。

ほかの鉄鋼大手の労働組合も同じ水準の賃上げを要求していて、「JFEスチール」と「神戸製鋼所」の労働組合も要求書を提出しました。
また、「川崎重工業」、「IHI」、それに「三菱重工業」の機械大手各社の労働組合も、月額1万8000円の賃上げなどを求める要求書を、9日、提出しました。
【2月16日追記】

 

自動車メーカーなど

自動車メーカーなどの労働組合は14日、一斉に経営側に要求書を提出し、交渉が本格化しました。
このうち、横浜市にある自動車部品メーカー「ニッパツ」の労働組合は経営側にベースアップ相当分を含めて去年より6000円高い月額1万8000円の賃上げを求めました。

大手自動車メーカーの労働組合では、▼トヨタ自動車の労働組合が、一時金では過去最高となる月給の7.6か月分を求めているほか、「職種」や「資格別」に要求額を示す正社員の賃金についてはいずれのケースでも去年を上回る額を要求しています。

また、▼ホンダの労働組合は32年ぶりの高い水準となる月額2万円の賃上げを要求しています。
▼日産自動車の労働組合は去年の要求額を6000円上回る1人あたり平均で月額1万8000円の賃上げをそれぞれ要求しています。
【2月16日追記】

 

NTTなど通信

正社員や非正規雇用で働く人14万人あまりが加盟するNTTの労働組合は、14日、グループ各社で働くすべての社員を対象に、ベースアップ相当分として5%の賃上げを要求することしの春闘の要求方針を決定しました。5%の賃上げの要求は過去最高の水準です。

通信業界では、携帯大手のソフトバンクがおよそ2万人の正社員を対象に、ベースアップ相当分や定期昇給分などを含めて平均で5.5%の賃上げに向け調整しています。
通信業界でもどの程度の賃上げが実現するのかが注目されます。
【2月16日追記】

 

大手電機メーカー各社

大手電機メーカー各社の労働組合は、ベースアップとして月額1万3000円の賃上げを求める要求書をそれぞれ経営側に提出しました。
このうち日立製作所の労働組合は、15日、経営側に要求書を提出しました。組合側はベースアップとして月額1万3000円を要求し、いまの方式の要求となった1998年以降で最も高い水準となります。

このほか電機大手では、15日までにパナソニックホールディングスと三菱電機、それにNECと富士通も1998年以降で最も高い水準となるベースアップとして月額1万3000円を要求しました。
【2月16日追記】

春闘の焦点 賃上げの勢い維持やデフレ完全脱却

春闘の事実上のスタートとなる1月24日の「労使フォーラム」では、「経団連」の十倉会長がビデオメッセージで、「構造的な賃金引き上げの実現に向けて動き出したこの歯車をことし以降も加速できるかに、日本経済の未来がかかっている」と述べて賃上げを強く呼びかけました。

ことしの春闘では、30年ぶりの高い賃上げ率となった去年の勢いを維持できるかや、賃金が持続的に上昇する経済の好循環を生み出し、デフレからの完全脱却につなげられるかが焦点です。
また、中小企業で賃上げの原資を確保するための価格転嫁が進むのかや、非正規雇用で働く人の賃上げの動きが広がるのかも課題となります。

賃上げの見通しや日本経済への影響 専門家は

ことしの春闘が事実上、スタートしました。賃上げの見通しや日本経済への影響について、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストに聞きました。

Q. ことしの春闘の焦点をどう見ていますか? 

去年は30年ぶりの高い水準の賃上げとなったが、ことしも連続して高い水準の賃上げが続くのか、さらに去年を上回る賃上げが実現するのか注目されている。ことしの春闘は、人手不足が深刻化する中で、企業の賃金設定行動が本格的に変わるかどうか確認するイベントになる。

 Q. 日本経済から見て、今回の春闘をどう位置づけていますか?

ことしの春闘は日本経済の1つの大きな節目になり得る。賃金の伸びが物価の伸びに追いついておらず、個人消費はさえない動きが続いている。ことしの春闘で去年を上回るくらいの高い水準の賃上げが実現できれば、現在マイナスの実質賃金がプラスに向かう可能性が高くなる。賃金の伸びが物価の伸びを上回るようになれば、消費をもう少し増やしてもいいと思う人も増えてくるので、個人消費の回復基調が強まっていくだろう。企業も価格転嫁をしやすくなり、物価が持続的に下落するデフレからの脱却に向けた動きが強まるのではないかという期待にもつながる。そして賃上げの動向によっては日銀の金融政策の判断にも影響を与える可能性もあり、大きく注目される。

 Q. 春闘の賃上げの見通しは?

現時点では、ことしの春闘の賃上げ率は3.8%程度と、去年を上回る可能性が高いと見ている。背景としては、高水準の企業収益、ひっ迫化する労働需給、それにインフレの長期化がある。加えて政労使による前向きな賃上げに向けた空気感も醸成されている。足もとでも一部の大企業は去年を上回る賃上げを表明しており、動きが広まっていく可能性は十分にある。

 Q. 賃上げに向けた課題は?

中小企業が賃上げの原資を十分に確保できているか不安が残る。さらに賃上げの分を十分に価格転嫁できるのかも懸念される。中小企業の中には去年、社会的に賃上げをしなければいけないという空気感が醸成され、人材を確保するためにもと、本当は苦しいけれども歯を食いしばって賃上げに踏み切ったというところも多かったと思う。中小企業の賃上げをいかに広めていくか、持続的なものにしていくかが今後の課題になる。
賃上げの動きが弱く、実質賃金がプラスにならないと、個人消費の回復ペースが鈍いものになってしまう。体力のある企業を中心に製品を値下げする動きが誘発されやすくなり、価格転嫁できない中小企業などが賃上げに踏み切れなくなるという悪循環につながってしまうリスクも考えられる。

Q. 賃上げの動きを広め、持続的にしていくために、何が必要でしょうか?

まずは企業が賃上げの原資として、売り上げを伸ばすことが必要だ。そして政府が、企業の商品・サービスの差別化などの取り組みを後押しすることも重要だ。成長分野に労働者が移動し、賃金の上昇につながるという労働市場の活性化策も大きな論点になる。そして社会全体としても、賃金が上がるのはある意味当たり前で、一定程度、価格に転嫁されていくのが当然だという空気感の醸成が大切だ。

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