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幕張豊砂駅開業! なぜ新駅? 幕張新都心はどう変わる? JR京葉線

  • 2023年03月16日

千葉県内のJRの駅としては25年ぶりの新駅となる京葉線の「幕張豊砂駅」が18日、開業します。なぜいま新駅なのか、幕張新都心は今後どう変わるのか、改めてまとめました。

25年ぶりの新駅 開業日は

「幕張豊砂駅」は東京駅と千葉市の蘇我駅を結ぶJR京葉線の18番目の駅で、千葉市美浜区の「幕張新都心」の西側に位置し、千葉県内のJRとしては武蔵野線の東松戸駅以来となる25年ぶりの新駅です。

駅正面入り口

JR東日本によりますと、18日は午前4時20分に駅のシャッターが開けられ、改札内に入ることができるということです。

幕張豊砂駅を出発する京葉線の1番列車は、▼東京駅方面に向かう上り線が午前5時4分、▼蘇我駅方面に向かう下り線が午前5時5分の予定で、下り線でのホームでは出発式が行われることになっています。

新駅の切符売り場

なぜ新駅?

JR京葉線の幕張新都心地区に新駅の建設が決まったのは、5年前の2018年4月でした。幕張新都心地区には国際会議やコンサート会場となる「幕張メッセ」や、プロ野球ロッテの本拠地の「ZOZOマリンスタジアム」などがありますが、最寄りとなるのは「海浜幕張駅」しかなく、混雑の緩和が大きな課題でした。

このため、地区の西側に大型商業施設を構える地元企業と千葉県、千葉市でつくる「協議会」が海浜幕張駅と新習志野駅の間に新駅を設置するようJR東日本に要請し、建設費用の2分の1を地元企業が、県と千葉市、それにJR東日本がそれぞれ6分の1ずつを負担することで合意し、3年前の令和2年5月から建設が始まりました。

駅名決定の経緯

駅名は、JR東日本として2例目となる一般公募で行われ、応募総数1万4715件、4300種類を超える
候補の中から「幕張豊砂駅」と決まりました。

実は「幕張豊砂」は13番目に多かったものですが、エリア全体を表す「幕張」に駅の南側にある
「豊砂」という地区名が組み合わさったもので、JRでは社内で検討した結果、利用客への親しみやすさやわかりやすさを意識したということです。

新駅は不思議な構造

幕張豊砂駅は他の駅にはほとんど見られない、不思議な構造をしています。

列車の上り線と下り線は、駅の同じ階にあるのが一般的ですが、幕張豊砂駅では、上り線ホームが2階の高架上にある一方、下り線のホームは地上部分と違う階にあり、段違いの構造となっています。

JR東日本によりますと、同じような構造の駅は埼玉県にある東鷲宮駅などがあるということですが、極めて珍しいということです。

このような構造になった理由は、京葉線がかつて貨物用の路線だったことが深く関係しています。

京葉線は東京湾沿岸に立地する工場や企業の貨物需要を見込んで、昭和50年に貨物専用線として一部区間で開業しました。当時、幕張豊砂駅のあたりには、貨物列車の貨車の入れ替えなどを行う操車場・貨物ヤードをつくる計画があり、京葉線の建設にあたって、ヤードに貨物列車を引き込む際に交差しやすいよう、この区間の上り線と下り線の高さを変えてつくられていたのです。

貨物列車の需要が減って、京葉線はその後、旅客線化され、貨物ヤード計画も幻となりましたが、
片側が高架となった構造がそのままいまの駅に生かされたため、珍しい構造となったのです。

変わる幕張新都心

幕張豊砂駅の開業で、幕張新都心は大きく変わる可能性を秘めています。

最も大きな恩恵を受けるのは、駅の目の前に位置する大型商業施設「イオンモール幕張新都心」です。

駅の設置にかかった110億円余りの費用の半分は、この施設の運営会社が負担。
10年前の開業以来、訪れる客のほとんどがマイカーを利用していましたが、鉄道の利用者や近隣の「幕張メッセ」「ZOZOマリンスタジアム」に向かう人など、幅広い客層を取り込もうと、施設の3分の1をリニューアルする計画を掲げています。

館内には「幕張メッセ」「ZOZOマリン」への看板も

施設ではこれまで、「子ども向け」「若者向け」「大人向け」など客層別にエリアを分けてテナントを並べていましたが、近年は顧客のライフスタイルやニーズが多様化しているため、さまざまなテナントをある程度、混在させて、ターゲットを絞りすぎない形に改めるということです。

駅の方向を示す看板も多数

また、リニューアルをきっかけに、新たに設けられる子どもの遊び場などさまざまな場所に千葉県産の木材を活用し、環境に配慮した経営もアピールすることにしています。

「イオンモール
幕張新都心」
小林純一 GM

これまでは駅から微妙な距離でしたが、駅前になってほかの施設との回遊性が高まったことで、中高生やマイカーのない方など、新たなお客様にお越しいただきたいです。
10年前の開業時より多様化しているお客様のニーズにあわせて、誰もが居心地のいい空間になるように取り組んでいきます。

新駅からショッピングモールを臨む

また、幕張新都心で多くの人が集まる「幕張メッセ」や「ZOZOマリンスタジアム」も、最寄り駅は海浜幕張駅のままですが、新駅を利用する人も増えるとみられ、回遊性が生まれると期待されています。

ZOZOマリンスタジアム

なかでもZOZOマリンスタジアムは、老朽化に伴って今後、現地での改修や建て替え、もしくは幕張新都心地区内での移転・新築などが具体的に検討されることになっていて、仮に幕張豊砂駅に近い地区の西側に移転建設されることになれば、さらに多くの人の利用が見込まれます。

これに対し、幕張豊砂駅のすぐ北側には車両基地があり、その先には千葉県警察の運転免許センターや住宅などがありますが、北側には駅の出入り口がないうえ、連絡通路もなく、駅から北側へは遠回りをしないと行けない状況となっています。

車両基地

駅北側へのアクセスをめぐっては、車両基地をまたぐ形の全長およそ150メートル、総工費およそ50億円の「自由通路」が試算されたこともありますが、現在は具体的な計画とはなっていません。

千葉市の神谷市長

駅の北側の方々からは通路の要望も出ていますが、かなりコストもかかるため、駅と並行して整備するのではなく、将来的な課題として考えています。バスなど公共交通機関を組み合わせるなど、中長期的にどういった形の交通アクセスが改善できるかを踏まえて、検討していく必要があると考えています。

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