来月(3月)18日に千葉市美浜区の「幕張新都心地区」に開業するJR京葉線の新駅、「幕張豊砂駅」が完成し、報道関係者に公開されました。
去年(2022年)9月にも公開されましたが、当時はまだ工事中だったところも多く残っていて、工事完成後の公開は今回が初めてです。
さまざまな特徴を持った駅の姿を開業に先駆けて一足早くお届けします。
(千葉放送局記者 大岡靖幸)
JR京葉線の幕張豊砂駅は、JR東日本千葉支社として25年ぶりの新駅です。千葉市美浜区の幕張新都心地区の西側に位置し、目の前には大型ショッピングモールの「イオンモール幕張新都心」があります。およそ5年前に千葉市や県、それにショッピングモールを展開する会社でつくる協議会の要望を受けて建設が決まり、3年ほど前から建設工事が行われ、このほど完成しました。
駅の外観でまず目を引くのは、先端部が3角形に突き出た駅舎全体を覆う大屋根です。この屋根にはガラス繊維に樹脂をコーティングした膜状の素材が張られています。
「膜屋根」と呼ばれ、自然光を通すことから、太陽が出ている昼間は照明をつけなくても駅内のコンコースは明るく保たれています。省エネ効果の他、自然光の柔らかい光で温かみのある駅の演出に役立っています。
駅舎内は白い壁に内装材として木材のパネルが効果的に組み合わされ、さながら北欧住宅のようなモダンな雰囲気になっています。この木材パネルは千葉県産の杉材から作られています。
コンコース内やホームに設置されたベンチにも木材が使われています。こちらの木材は、東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使われていた千葉県産の杉材が再利用されていて、ベンチには東京オリパラのエンブレムが表示されています。
駅の券売機やきっぷの運賃表、路線図や案内表示板、それにLEDの発車表示板なども取り付けが完了し、開業間近ということを実感します。
運賃表や路線図には「幕張豊砂」の駅名も入っていました。
男女別やバリアフリーのトイレも完備しています。
幕張豊砂駅の構造上の最大の特徴が、上り線と下り線のホームが段違いに配置されていることです。
かつて、この駅の南北には「貨物ヤード」を作る計画があり、スムーズに交差できるよう京葉線のこの区間は、上り線が高架上を、下り線は地上を走るよう、高さを変えて作られていました。幕張豊砂駅はその仕組みをそのまま利用しているため、上下線に段差があるという珍しい構造になったのです。
幕張豊砂駅の構造 詳しくは
京葉線・幕張豊砂駅“不思議な構造”の謎に迫る
改札内のコンコースからホームに出るには、下り線は短い階段を上るだけですが、高架上にある上り線は長い階段かエスカレーターを使って上がります。
コンコースから短い階段を通って下り線ホームに出ると、目の前には「京葉車両センター」が見渡せます。
JR京葉線と武蔵野線の電車を留め置いたり、車両の整備や洗浄などを行うための車両基地です。
下り線ホームのうち、海浜幕張駅側のホーム端からは、右側に高架の上り線、左側に車両基地が一望できます。取材時は武蔵野線の車両が停まっていました。
実は幕張豊砂駅には「駅長」はいません。
隣の海浜幕張駅の駅長が、この駅の管理も行うことになっていますが、幕張豊砂駅には「駅長」というポスト自体がないため、海浜幕張駅の駅長の「兼務」でもなく、駅長自身がいないということなのだそうです。
さらに、この駅はJR東日本が直接運営する駅でもありません。JR東日本が出資する関連会社「千葉ステーションビル」に管理運営を委託していて、JR東日本が直接運営するほかの駅とは駅員の制服も違うということです。
駅の内装や表示など、開業に向けた準備は完了し、これから開業までのおよそ1ヶ月間は駅員の訓練などが行われることになっています。新しい駅で、設備の場所も他の駅とは違うため、特に安全面を中心に訓練をしていくということです。
開業に向けてワクワクしています。この駅が開業することで、幕張新都心エリアの回遊性が高まり、発展や利便性向上にもつながると思っていますので、利用客が安心、快適に利用できるようしっかり準備していきたい。
幕張豊砂駅の現地取材は今回が3回目で、さすがに新鮮味はなくなったなと思っていましたが、実際に行ってみると知らないことがたくさんあり、興味深く取材できました。
この駅の魅力は過去と未来が交差している点だと感じています。貨物ヤード計画という過去から現在の駅の構造につながり、この駅ができることで幕張新都心の未来につながっていくところが面白いと思っています。
開業まであと1ヶ月弱。引き続き取材していきたいと思っています。