性パートナーへの遺族
給付金認めず 名古屋地裁

同性のパートナーを殺害された男性が、犯罪被害者の遺族への給付金が支給されなかったことに対して取り消しを求めた裁判で、名古屋地方裁判所は「共同生活をしている同性どうしの関係を、婚姻関係と同一視するだけの社会通念が形成されていない」として訴えを退けました。

愛知県の内山靖英さん(45)は平成26年、同居していたパートナーの男性を殺害され、犯罪被害者の遺族を対象にした給付金を県公安委員会に申請しましたが、認められませんでした。

給付金の対象には、「事実上の婚姻関係」だった人も含まれていて、裁判では、内山さんが「同性どうしでも事実上の婚姻関係だった」として、取り消しを求めたのに対して、愛知県は「制度は男女の婚姻関係を前提にしている」と反論していました。

4日の判決で、名古屋地方裁判所の角谷昌毅裁判長は「税金を財源にする以上、支給の範囲は社会通念によって決めるのが合理的だ」という判断を示しました。

そのうえで、「共同生活をしている同性どうしの関係に対する理解が浸透し、差別や偏見の解消に向けた動きは進んでいるが、婚姻の在り方との関係でどう位置づけるかについては、社会的な議論の途上にあり、婚姻関係と同一視するだけの社会通念が形成されていない」として訴えを退けました。

同性パートナーの法的な位置づけをめぐっては、浮気の慰謝料に関する裁判で、ことし3月、東京高等裁判所が「同性どうしでも男女の婚姻に準ずる関係にあった」として、元パートナーに慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡しています。