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中野淳アナのまなびノート ~1月~

2023年1月24日(火)

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「ハートネットTV」を担当する中野淳アナウンサーが
番組を通じての「まなび」を発信します

「ハートネットTV」番組HPはこちら 
放送:Eテレ 月〜水曜午後8時〜午後8時30分 
再放送:Eテレ 毎週水〜金曜 午後3時30分〜午後4時00分


大河ドラマをはじめ、数々のドラマや映画で活躍してきた
俳優の高知東生さんにインタビューをしました。

2016年に覚醒剤取締法違反などの罪で有罪判決。
薬物依存からの回復に取り組み、
逮捕後、初めてNHKの番組に出演しました。

23012301.jpg番組の冒頭、私が「今はどんな心境ですか」と最初の質問をすると、
涙をこらえ、しばらく何も話せなくなってしまった高知さん。
言葉をかけるべきか、待つべきか。
私が迷っていると、何とか絞り出した言葉は、
「また帰って来られたんだと思うと、嬉しい」。

歩んできた日々の重さを、スタッフ全員でかみしめました。

23012302.jpg私と一緒に話を聞いたのは、介護職の経験が20年近くあるお笑い芸人の安藤なつさん

「薬物依存症」と聞いて、皆さんはどんなイメージを浮かべますか?

このNHKラーニングのサイトにも、
『ねほりんぱほりん』に登場した薬物依存症の当事者の声が紹介されています。
>>動画はこちら

依存症は、やめたくてもやめられない「病気」。
高知さんは逮捕された瞬間、「本当にこれでやめられる」と、
ホッとした気持ちもあったといいます。

23012303.jpg薬物依存からの回復は、決して簡単なものではありませんでした。
懲役2年、執行猶予4年の判決を受け、
仕事も家族もすべてを失った高知さん。
執行猶予の期間が最も苦しかったそうで、
ひきこもり、うつ状態になって、死を望むほど追い詰められたといいます。

しかし、同じ苦しみを抱える仲間や支援者とつながることができ、
依存症からの回復のためのプログラムに取り組んだことが転機になりました。

自分はなぜ依存症になったのか。
これまで目を背け続けてきた自分の生い立ちと向き合い、その原因を見つめました。
隠してきた過去も、自分の弱さも、
同じように回復を目指す仲間たちと何でも正直に話すことで、
自分だけではないと、気持ちが楽になったといいます。

23012304.jpg今では、依存症への理解を深めるための啓発活動に取り組む高知さん。
近年、海外では、依存症からの回復を果たした著名人が自らの体験を積極的に発信し、
同じ苦しみを抱える人たちを励まし、回復を支えていく
「リカバリーカルチャー」というムーブメントが注目されています。
高知さんは、日本でも、「リカバリーカルチャー」を起こしたいと考えています。

彼はスタジオで最後にこう締めくくりました。

「自分のしたことは許されるものではないけれども、本気で自分に向き合って反省して、
もう一度、生き直そうと頑張っています。僕は本当に理解ある人たちに包まれて、今があります。もうこんなに楽しいことはない。本当に感謝しています」。

23012305.jpg一度はすべてを失いながら、回復できることを身をもって示した高知さん。
回復とは、元の自分に戻ることだけではなく、
新たな人生を切り開いて、より幸せに生きることなのではないかと気づかされました。
高知さんのように誰もが生き直せることを応援できる社会になるよう、
私も発信を続けていこうと思います。

高知東生さんの回復の道のりなど詳しい内容は、
ハートネットTVのサイトでご覧になれます。
「薬物依存からの回復 自分を生き直したい 高知東生さん」ページはこちら
  

「まなびノート」、次回もどうぞお楽しみに!