ページの本文へ

NHK熊本WEB特集 クマガジン

  1. NHK熊本
  2. 熊本WEB特集 クマガジン
  3. 【今日も完食!グルメ旅 第7回】稲塚貴一アナが食べ歩き

【今日も完食!グルメ旅 第7回】稲塚貴一アナが食べ歩き

"被災地"をつないだ味 つぼん汁
  • 2023年08月22日

稲塚貴一アナウンサーが熊本県内各地を食べ歩き、
地域や人の魅力に迫っていく「今日も完食!グルメ旅」
今回は人吉市を訪れ、地震と豪雨の被災地を支え続けた、うまみたっぷりの「つぼん汁」を教わってきました。

今回料理を教えてくださる、本田節さん。はじめまして!
球磨川沿いで料理店を営んでいます。

紹介してもらうのは「つぼん汁」
野菜や鶏肉など9種類の具材で作る汁物で、人吉・球磨地方の祭りや祝いの席では 欠かせない料理なんだそうです。 

調理開始!

▼材料はこちら▼

ごぼう・干ししいたけ・さといも・にんじん・こんにゃく

稲塚アナ

これ、全部地元のものだそうですね?

本田さん

はい、そうです!
人吉球磨の身近に、誰でも手に入れることのできる食材ということが大切です。

さらに鶏肉・かまぼこ・ちくわ・厚揚げなどを用意して、調理スタート!

地元でつくられた新鮮な食材に、包丁を入れると・・・ 

ねばりがすごい!
ぷるぷるすごい弾力!だんりょく~!!
本田さん

やはり地元の手作りの食材を使うと、うまみがどんどん出てきますね。

食材を小さく切り分けたあとは、本田さんこだわりの“だし汁”を作ります。
このだし汁が、つぼん汁の“味の決め手”になるんです!

しいたけのもどし汁
黄金色!きれいですね~

手作りの“鶏ガラスープ”も加えて・・・。

鶏肉・しいたけ・こぼうを最初に入れます。その理由は・・・

本田さん

だしがとれるものからどんどん“うまみ”を出していくのが、とても大事な家庭料理の基本です。

残りの具材も加えて、10分ほど煮立てて・・・

最後に塩・しょうゆ・お酒で味を調えたら、本田さんこだわりのだし汁ができあがりました! 

かんぱ~い!

すごく澄んだ上品なだし汁。その中に何層にも具材のうまみが惜しみなく出ている。
これはおいしい、香りがまた鼻にぬけて、すごくいい上品な ふわっとした香りが、未体験ゾーン!

おかわりしたいくらい!

被災地をつなぐ

本田さんの、このつぼん汁が熊本の被災地をつなぎ、人々を支えてきました。 

7年前の熊本地震。 本田さんは本震の翌日に 南阿蘇村に入り、炊き出しを始めました。

本田さん

熊本地震のあの状況はまだ脳裏に焼き付いています。
本当に涙が止まらない。世の中にこんなことがあっていいのだろうか、という思いで心が折れそうで…
それでも真っ暗な中で車中泊をして 炊き出しをスタートしました。
何か“食”によってやらなければならないということで、 自分を奮い立たせながら最初 南阿蘇に行ったことを思い出します。

憔悴(しょうすい)した阿蘇の人たちに、 本田さんが作ったのが 温かいつぼん汁でした。 

本田さん

食べている被災者の皆さんが涙をポロポロ流されるんですよ。 
「あぁうまかな、あったかかな」と。 
“食”というのはどんなつらい時でも、人を元気にするなって。

その4年後、 今度は 本田さん自身が豪雨災害に見舞われます。
長年営んできた店舗は水没。

そのとき 真っ先に駆けつけてくれたのが、熊本地震で支援した人たちでした。
そして、あのつぼん汁を一緒に作ってくれました。

本田さん

感動と涙で……「人がこうやってつながっていくんだな」って。「災害にあっても悪いことばかりではないな」って。
忘れていた絆とか、つながりとか、仲間に「ありがとう」 って言える感謝の心をまた教えてもらったと思っています。
苦しい時も助けてくれたのが、つぼん汁だったような感じがします。
だからつぼん汁は、いろいろな人とつながって、いろいろな人をつないでくれる。
私にとって、とても大切な食ですね。

いただきます!

つぼん汁、こんにちは! 見てください、具だくさん!本当にゴロゴロ入っていて。

幸せが押し寄せてきますね。おいしい本当に。
だしの薄皮を重ねたように、繊細なだしの香りが次々とたたみかけるようにやってきますね。

稲塚アナ

うんうん、うまい!最高!
いや~。おいしい・うれしい・メルシー・つぼんしゅーる ですね!

本田さん

さすがうまい!

2つの災害から、“食のもつ力”を改めて感じた本田さん。 
これからも、つぼん汁を作り続けていきたいと考えています。 

本田さん

熊本地震から豪雨災害、とても心痛む出来事だったんですけど、
つぼん汁を炊きだしで持って行ったときに「おいしか~元気になるね」って。
つぼん汁でみなさんに“生きる力”を少しでも与えることができてよかったなと思っていますし、1日でも早い復興を目指しながら、みんなで頑張っていこうね という その願いが、「つぼん汁を作り続けたい ふるさとへの思い」 になっていますね。

人吉の旬の食材と人情がたっぷりつまったつぼん汁。本田さん、おいしかったです。
ごちそうさまでした!

ページトップに戻る