ことば塾「さかさ言葉」稲塚アナ
- 2023年05月17日
今回のテーマ「さかさ言葉」
コーナー初登場 稲塚です
法性アナに借りた学生服を無理やり着て登場しました、稲塚です。
いわゆるギョーカイ用語といえばいろいろありますが、ご存じのものがありますか?
いわゆる「さかさ言葉」ですね。
一応順番に訳すと…
よろしく、めし、寿司、ラーメン、カレー、六本木、ビール、うまい、まずい、タクシー、長い。
…使いますか。あ、使いませんか、そうですか。
若いキャスターの二人(石井アナと時川キャスター)は「使わない」を連呼していました。
しくしく。
ギョーカイ用語はジャズ界から生まれた?
なんというか、クセのある言葉ですね。
いったいどんないきさつで生まれたのでしょう。
一説には、ジャズ演奏家たち、すなわちジャズメンが作ったとか。
仲間うちだけで通じるような、いわゆる「符丁」のようでもありますね。
「あいつ素人だな」なんて、相手に聞かれたらトラブルになりそう。
そこで「トーシロ(-)」という具合にちょっと隠したのでしょうか。
ギャラ(出演料)で聞かれる「ツェー万」というのは、さかさ言葉とはちょっと違います。
音階をあらわすC,D,E…のドイツ語読みからきているのだとか。
すなわちツェーマンが1万円、デーマンが2万円、イーマン・ゲーセンが3万5千円という具合だそう。
ちなみに、Eはドイツ読みだとエーとなりそうなものですが、Aと混乱しそうなためギョーカイではイーと発音するという話。へぇー。
タモリさんの名前もさかさになっていますね。
それはそうと、似顔絵いかがでしょうか。
辞書にも載ってる「さかさ言葉」現象
ジャズメンが作ったという言葉、日本語にこだわる方にとっては「言葉の乱れ」と感じるかもしれません。でも私は必ずしもそうとも言えないんじゃないかと思うんです。
こういう形で音がひっくりかえる「音位転換」などといった現象は、古くから起きていることがわかっています。私が使っている国語辞典にはこうありました。
江戸時代など、言葉の音をさかさにして遊ぶのが粋だ、といったブームのようなものもあったとか。
歴史的には数々の倒語が生まれてきたようです。
これなんて、おなじみではないでしょうか。
奈良時代まではこうだったらしいですよ
みなさん、簡単なクイズを出します。
「古い」の反対(対義語)は何でしょうか?
新しい(あたらしい)ですよね。かんたんカンタン。
しかし、それは実はあたらしい言葉なんですって。
同じ辞書によると、こうだったらしいんです!
そう、もともと奈良時代までは「あらたし」だったそうなのです。
それが平安時代に「あたらし」になったとか。
いま放送で「あらたしいですね!」なんて言ったらお叱りを受けるかもしれませんし、小学生が漢字のテストで「あらたしい」と読みを答えたらペケをもらうはず。
でも、「新たに」なんて言うじゃないですか。こんなところに残ってるんですね!
あのヒット曲も、もしかして…
ご存じ、福岡県大川市ご出身の歌手、大川栄策さん。タンスを担ぐのが特技。
ワタクシ稲塚、一度番組でご一緒させていただきました。
SNSで日常を平和につぶやいておられるのが好きで、こっそりフォローしています。
そんな大川栄策さんの代表曲といえば?
名曲「さざんかの宿」ですよね。
この曲で1983(昭和58)年の第34回NHK紅白歌合戦に初出場なさいました。
(ちなみに総合司会はタモリさんでした)
そのタイトルにも実は秘密が。
さざんかは、漢字で書くと「山茶花」。「さんざか」と読むのが本来の姿でした。
そう、これも音がひっくり返っているんです。
あの名曲のタイトルも、もしかすると「さんざかの宿」になっていたかも?!
そして、似顔絵いかがでしょうか(2回目)。
言葉は生きている!
言葉は、年月を経てどんどん変化していきます。
だから「この言葉は間違っている」とか、言葉を学べば学ぶほど簡単に言い切れなくなるなぁ…というのがワタクシ稲塚の個人的な印象です。
生きている言葉、調べてみると面白いですね!
そういえば、ステージ番組の公開収録のため出張したとき、ホテルで朝食をとっていて「ズーチー、マイウー」ってサラッと言った先輩ディレクター、元気かなぁ。
このコーナーでは、ことばに関する疑問や質問をお待ちしております。
NHKのHPやFAX(096-311-5376)などでお寄せください。
というわけで、読んでくださりありがとうございました。動画もシクヨロ!