熊本空港稲塚アナ 30 年ぶり自転車旅 過酷な坂道越えられる?
- 2023年03月20日
「30年前より坂道がきつくなってるんじゃないか…?」
運動不足を隠せないNHK熊本のアナウンサー稲塚貴一(45)が小5の息子と一緒に熊本空港を目指す自転車旅。
親子の前にに立ちはだかる過酷な上り坂を前に、思わずこうつぶやいてしまいました。果たして稲塚の体力は?空港にたどりつくことはできるのか。運命はいかに?!
最大の難所、『第三の坂』に挑む!
熊本市を出発して、県道36号「第二空港線」を自転車で東へ。出発から1時間弱、私たち親子は目の前に立ちはだかる最大の難所に挑もうとしていた。…あ、要は長くて急な上り坂です。
現役時代(チャリで通っていた少年の頃を、突然ですがこう呼ぶことにしました)、この坂の途中から決まって自転車を押して歩くのでした。さすがに自転車でこの坂を上りきるのは無理。
過酷な坂道に挑む私たちを、現実はすんなりと受け入れてはくれません。歩道に木の枝が落ちていて、必死でこぐペダルのペースが乱れます。
息子のオリバー(仮名・小5)、スタート間もない頃の饒舌さはとっくに忘却の彼方へと飛び去り、ひたすら前に進むことだけを考えて挑んでいます。お父ちゃんはキミの成長を感じてうれしいよオリバー。
いい子だオリバー。うるうる。
「坂の途中で止まったら、再びこぎ出すのは困難だからな」と言おうとしたそのとき!
オリバーが降りたー。いかん、ダジャレみたいになってる45歳。
もう少し先まで進んでから降りるかなと勝手にプランしていましたが、うーん我が息子、あっさり降りました。仕方がない、ここからは歩きです。
自転車を押して歩きだしたその時!
と、歩き出したところで私は最大のピンチを迎えました。左のふくらはぎがつり始めたのです。アスリートとして、こんなところで投げ出すわけにはいきません。
寝床で悶絶するような痛みではありませんが、これは対応を誤れば歩けなくなる痛みに発展しそうだと本能が知らせます。そろりそろりと安全第一で歩きます。
さいわいオリバーには気付かれていません。いかなるときも父の威厳は守らねばなりません。
坂もそろそろ終盤、熊本県警の電光掲示板が見えてきました。熊本県警の電光掲示板は、中の人がユーモアと工夫に満ちた表現をすることで知られています。ネット記事にもとりあげられ、一躍有名になったのをご存じの方も多いことでしょう。
どれどれ、何と書いてあるんだ?
3行あるのに、よ、読めない!
肉眼では分かりませんが、こうした表示はきわめて短い間隔で点滅していて、スマホのカメラだとうまく撮れないことが多いのです。あぁ、これでは読者の皆さまにお伝えできないッ!
こんなこともあろうかと、もう一台、デジカメを携行していたのです。そっちで撮ってみよう。
汗だくで坂を上っている身としては、ふんわりアクセルって言われても…って思っちゃう余裕のなさ。
「さしより」というのは熊本弁でして、共通語だと「まずは」「何はさておき」「とりあえず」的な意味で使います。4月から道交法が改正され、自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務になりますね。熊本市では去年10月に条例が改正され、一足先にルール化されました。
私たち親子も普段からしっかり着用しております。後悔するようなことがあってはなりません。
【悲報】難所を乗り越えたけど、また坂が?!
つりかけていた左のふくらはぎは、何とかピンチを乗り越えたようです。丁寧に歩いて、第三の坂をクリアすることができました。これで空港への到達は事実上約束されたようなものです。あとは気楽に…
あ、まだ坂がある。そうじゃった。最大の難所は越えたのですが、この先は谷になっています。
一度下って、もう一発あるんでした、急な上り坂。
でもご安心ください。この谷は回避できるのです。左折して、この道と平行に走る平坦なルートをたどればよいのです。しかも別に遠回りではありません。あぁよかった、神様ありがとう。
畑、農業用ハウスの間を通って、ルートに出ました。
ついに視界に入ってきた“空港のシンボル”!
向かいのバス停の先に見えるのは…。
離陸していく旅客機も見え、疲れを忘れてペダルをこぐ足も快調です。
さっき左折して離脱した「第二空港線」に再合流します。谷を回避することができました。あとは最後の緩やかな上りをこぎきると…。
着きました、熊本空港です。
空港に到達、自転車で入ってみよう
自転車進入禁止とかそういう標識もないので、歩道を進んでいきます。久しぶりだからドキドキ。
一般車のコースから分かれて、歩道は左へカーブ。
駐車場の先にそびえるのは熊本空港の管制塔です。この管制塔はたぶん二代目で、形もスタイリッシュになりました。旧管制塔の下には年季の入った食堂があったなぁ。タクシーの運転手さん御用達の安くておいしい食堂でした。好きなおかずを選んで会計するスタイルで、少年だった私も大人にまぎれてそこでお昼を食べたことがあります。今は面影もありません。
オープン間近!これが新ターミナルだ
そこから東へ目をやると、真新しい建物が。オープンを待つ、新ターミナルです。
愛称の「阿蘇くまもと空港」の文字も見えます。
ところで、昔のターミナル、覚えていますか。
たまたま撮っていた写真がありました。
管制塔建替えのため、新旧の両方が見えています。
中はちょっと狭くて、時代を感じさせるデザインでした。
当時は「阿蘇くまもと空港」じゃなくて「熊本空港」となっていました。
バスなどが発着する降車スペースも広々としています。せり出した屋根も大きく、雨が降っていてもきっと平気ですね。
駐車場と降車スペースはすでに稼働しています。
あぁ、私も早く中に入ってみたい!
高さがあって、開放的に感じます。新しいターミナル、早く利用してみたいですね。
入口の表示が大きくわかりやすくなりました。
新ターミナルの特徴は、国際線と国内線が一緒になっているということです。国際線の利用も増えるといいなぁ。
旅人をやさしく迎える美しい木目
見上げると、美しい木目が。内覧会で取材した記者によると、館内のインテリアにも県産の木材が活用されているそうです。
熊本に降り立つ人をやさしく迎え、旅に出る人をあたたかく見送るのですね。…ロマンチストっぽく書いてみましたが、似合ってますかダメですかそうですか。
ワクワク。
もうすぐ見納め? 古いターミナル
その先にひっそりと国際線ターミナルの姿が。私が旅行者として利用する機会はとうとうありませんでしたが、海外チャーター便がいつ来るか尋ねたり、時刻表の冊子をもらったりするために来たことがあったっけ。
いまはPCR検査を受けられるコーナーがあるようです。新ターミナルオープンとともに役目を終えるのでしょう。
その隣にあるのが、仮設の国内線ターミナル。飲食
店が入った建物の奥に、チェックインカウンターや保安検査・搭乗・降機などのための建物があります。こちらは出張などで何度か利用しました。
今回は取材ではなくあくまでプライベートでやってきたので、館内の写真はありません。…ヘルメットをかぶっていたので髪型が変ですね。
通路の上にはオープンの日を知らせる横長の看板が。
内装ももうすぐ完成でしょうか。
工事の職人さんや、店舗などのオープン準備のため人が出入りする様子が見られました。
さて、私たちはトイレ休憩などをさせてもらってターミナルを離れました。しばらく飛行機に乗る予定はないので、この仮設ターミナルを訪れるのはこれが最後。新ターミナルへの期待と、旧ターミナルへの感謝の思いで胸がいっぱいになります。
何度か振り返りながら、再び自転車を走らせます。
私たちはこのあと滑走路を越えた向こう側に移動します。
滑走路から150メートルほどしか離れていないところから、大迫力の離着陸のシーンを満喫できるとっておきのスポット。ワタクシ稲塚が少年時代に夢中で通った「思い出の砂利道」にご案内します。
第3章もぜひどうぞ!