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アジア3冠 ソフトテニス界のプリンス・上松俊貴選手 木村文子さん・STU48尾崎世里花さん

  • 2024年02月01日

 

木村文子さん 尾崎世里花さん 上松俊貴選手

ことし最初の「ひろしま コイらじ」のスポーツコーナーには、去年秋のアジア大会、ソフトテニスで史上初の3冠を達成した、NTT西日本ソフトテニス部の上松俊貴選手(25)が出演しました。広島からソフトテニスの魅力を発信し、世界一を目指す上松選手の思いを木村文子さん(エディオン女子陸上競技部 アドバイザー)とSTU48の尾崎世里花さんと聞きました。

(広島放送局 アナウンサー 武本大樹)

ソフトテニス界のプリンス

 

上松俊貴選手は、岡山県出身の25歳。身長は1メートル82センチ、右利きのプレイヤーです。ダブルスが主流のソフトテニスで、上松選手は主に “前衛”を務め、コートの中盤から前線で試合を決める役割を果たします。小学1年生でソフトテニスを始めた上松選手は、中学、高校と日本一を経験。岡山理科大学付属高校時代にはアジア選手権で金メダルを獲得するなど、早くから日本屈指のソフトテニスプレーヤーとして活躍してきました。早稲田大学を経て、おととし広島を拠点にするNTT西日本に入社。去年、中国・杭州で行われたアジア大会ではシングルス、団体、混合ダブルスで金メダル。史上初の3冠に輝きました。

有言実行の3冠

木村)改めて3冠達成おめでとうございます!
上松)ありがとうございます!
尾崎)3つの金メダルを獲得できた一番の要因は何だったでしょうか?
上松)大学生の時に経験した2018年のアジア大会で金メダルを取れなかったので、必ずここで3つ金メダルを取って夢をかなえる、という強い気持ちで臨んでいました。5日間で20試合から30試合戦ったのですが、もうとにかく気持ちを切らさないこと。一回でも気持ちが切れるとそこで終わってしまう。しんどかったですけど、このために何年も取り組んできたので、後悔しないためにここで全力を出し切らないといけないという気持ちだけで戦っていました。
木村)3冠というのはずっと目標にしてきたことだったんですね。
上松)はい、3冠という目標をチームの監督や部長に自分のことばで発信していました。胸の内に秘めているだけではダメだと思いました。目標をみんなに伝えて、それを体現するしかないという状況に追い込んで、取り組みました。

「ウエミズペア」連覇達成!

武本)ソフトテニスの新シーズンはすでに始まっています。1月28日には大阪で「第69回全日本インドアソフトテニス選手権」が行われました。ダブルスのみが行われ、今年度の主要大会で上位の12ペアが日本一をかけて戦います。上松選手と船水颯人選手の「ウエミズペア」は見事優勝。連覇を達成しました。
上松)予選リーグ初戦からマッチポイントを取られるなど、苦しい試合が続いたのですが、「負けにくいテニス」をいかにできるかだと2人で話し合っていました。攻められながらも気持ちが折れないように、コート上でやり切ることができたと思います。
武本)船水選手は早稲田大学の2つ上の先輩。ソフトテニス界初のプロ選手でもあります。長くペアを組んでいますが、コンビネーションはいかがですか?
上松)もう6年ほどペアを組んでいるので、どういう展開を作りたいのかとか、次はここに打つだろうなということが二手先くらいまではイメージできます。毎年、2人で話をしながら戦術も変えながらやっています。
木村)戦術は毎年変えるのですね?
上松)相手も対策をしてくるので、それを上回る新しい発想が必要です。頭の中に新しい戦い方を描いて、それを試して、試して、自分たちのものにする。新しいことに取り組むのは楽しいので、毎年、毎年いろいろなことにトライしています。
武本)決勝はNTT西日本でチームメイト、内本隆文選手と内田理久選手の「ウチウチペア」との対戦。内本選手と内田選手とはアジア大会では団体金メダルメンバーでした。NTT西日本は全国屈指の強豪でチームメイトとの対戦は珍しくないですが、どんな気持ちで戦いましたか?
上松)「ウチウチペア」とはここ数年、準決勝、決勝で対戦することが非常に多く、ファンの皆様が「いい試合を製造する対戦」と名付けてくださっています。必ずいい試合になると期待してもらっているのはすごくうれしいですし、常に4人とも負けたくないという気持ちで戦っています。
尾崎)私と同じ長崎県出身の堀晃大監督としては、何とも言えないのでは…
上松)監督も普段から練習通りみんながやってくれればいい試合になるということを言ってくれているので、楽しんで見てくれているのではないかなと思いますよ。
武本)「全日本インドアソフトテニス選手権」では去年5月にコイらじに出演してくださった、「どんぐり北広島」の高橋乃綾選手と岩倉彩佳のペアも準優勝しました。上松選手は去年のアジア大会で高橋選手と混合ダブルスのペアを組んで金メダルを獲得しています。

 

6月11日生まれの縁

尾崎)上松選手と木村さんには共通点があるのを皆さん、知っていましたか?すらりとした体形も同じだし、同じ6月11日生まれ!
上松)以前、お会いした時に知ってびっくりしました。光栄です!
木村)私もうれしいですよ!
尾崎)6月11日はすごいアスリートを生んだ日なんですね。上松選手がソフトテニスを始めたきっかけは?
上松)父と祖父がソフトテニスをしていて、幼い時からソフトテニスのボールやラケットを触ることができました。それが一番のきっかけですね。
木村)小学1年生で始めて、2年生の時にはもう全国大会に出場しています。才能があったんですね。
上松)いやいや、そんなことはないですよ(笑)でも、初めてラケットを握った時にボレーのような形でボールをとらえることができたそうです。球技が大好きだったので要領をつかむことができたのではないかと思います。
尾崎)木村さんは陸上を始めた時のことを覚えていますか?
木村)私は小学4年生で初めて100メートルの大会に出場。6年生の時に初めてハードルを跳んで全国大会に出ることができました。2年生で全国大会に出た上松選手に相当な才能があったのかなと感じます。
武本)上松選手は高校3年生でアジア選手権に出場して、金メダルを獲得しました。早くから世界を見すえてきたのでしょうか?
上松)中学2年生の時に大人のナショナルチームに入れていただいて、そこから国際大会の目標やトップ選手に勝ちたいという気持ちが芽生えてきました。どんどん海外の選手と対戦するようになり、国際大会で勝ちたい気持ちも強くなりました。

ソフトテニスの魅力

武本)ソフトテニスは日本発祥のスポーツです。明治17年に日本独自のゴムボールを使用する「軟式庭球」が生まれました。学校体育で多く取り入れられ、アジアを中心に世界各地に普及しています。日本の競技人口は50万人を超え、愛好者は700万人とも言われます。
尾崎)日本発祥なんですね!ソフトテニスは中学、高校でおしゃれな子がやっていたイメージがありますよ。
上松)ソフトテニスは中学校の部活での競技人口がトップレベルに多いスポーツです。多くの人たちに親しまれている競技をやれていることはすごく誇りですし、競技を支えてくださっている方々に感謝しています。
木村)ソフトテニスは1994年に広島で開かれたアジア大会で正式競技になりました。広島にも縁がありますね。
尾崎)上松選手が考えるソフトテニスの一番の魅力は何だと思いますか?
上松)ダブルスがメインなのですが、2人で生み出す戦略、駆け引きがすごく魅力的だと思います。ゴムボールなので打球の初速が速く、かつ変化も大きくなります。卓球とバドミントンを掛け合わせたような“スピード”と“変化”を兼ね備えています。
木村)私も上松選手の試合を見て魅了されたのですが、ソフトテニスを初めて見る人たちはどんなところに注目すれば楽しめますか?
上松)駆け引きの部分が一番ですね。ダブルスならポジション取り、サーブでの駆け引きです。硬式テニスに比べるとボールの変化が大きいので、サーブもストロークも多彩な球種を使うことができます。球種の多さも魅力のひとつなので、ぜひ楽しんでほしいと思います。

食と睡眠への意識

尾崎)おととしNTT西日本に入社されて、広島での生活もまもなく2年になります。普段は仕事と競技をどう両立されていますか?
上松)平日はオフィスで仕事をして、その後3時間から4時間のチーム練習、その後、個人のトレーニングなどに取り組んでいます。週末はほぼ毎週試合です。ソフトテニスには、オフシーズンという概念がほとんどないんですよ。インドアの大会が主に冬に行われるので、1月も毎週大会に出場しています。去年は25近くの大会に出場しました。競技に取り組める環境にとても感謝していますし、そのおかげで良い結果が出せているのではないかと思います。
尾崎)食事はほとんど自分で作られると聞いています。得意料理は何ですか?
上松)難しいですね(笑)鶏肉、ささみなどをシンプルに調理するようにしています。そこにチーズなどをトッピングするのが好きですね。楽しみながら料理をしていますよ。
尾崎)私も鶏肉をよく食べたり、オートミールを使ったりしてなるべく糖質を減らすようにしています。たんぱく質をたくさん取るようにしています。木村さんは選手時代、食事はどうしていましたか?
木村)私も作っていましたね。学生時代はひとり分を作るのは割高になるので、みんなで鍋をよくしていました。「みんなで集まって食べよう!」と声をかけて。社会人になって海外で活動していた時もよく作っていましたよ。
尾崎)オフの日の楽しみはありますか?
上松)オフの日はひたすら寝ることです。しっかり睡眠をとって体をケアすることにまずは集中します。遠征が多いので、部屋をきれいに掃除する時間も大切にしています。それが終わったら服を買いに行くのが一番の楽しみですね。

先生はあの投手・・・

武本)ソフトテニス以外に大好きなスポーツがあると。
上松)野球が大好きですね。小さい時にはソフトボールもやっていました。去年はWBCで感動をもらいました。日本代表の活躍を見て僕も頑張ろうという気持ちが湧き上がって、アジア大会にもつながったと思います。オリックスから大リーグに移籍した山本由伸投手は同い年で、同じ岡山出身。そして去年、パリーグで首位打者を取った頓宮さんは高校の2つ上の先輩なんです。誇りですね。
木村)カープにも先輩がいますよね。
上松)九里亜蓮さんに、退団されましたが薮田和樹さん。薮田さんは僕が高校1年生の時に亜細亜大学の4年生で教育実習に来てくださいました。僕が生徒で、薮田さんが先生。授業をしていただきました。その後、カープに入団されて活躍されているのが本当にうれしくて、心から応援していました。広島はすごくスポーツが盛んなので、ことしは野球以外にもサッカー、バスケット、バレー、ハンドボールなどいろんな競技を見に行きたいと思っています。他の競技の選手とももっともっと交流をさせていただきたいですし、トレーニング法などを聞いてソフトテニスに生かしていきたいです。

世界一への挑戦

尾崎)アジアチャンピオンとして新しい挑戦が始まります。ことしの目標は何ですか?
上松)去年はアジア大会で3つの金メダルで夢をかなえることができました。国内のタイトルを全部獲得すること。そして、ことしは9月に世界選手権が韓国で行われます。そこで世界一になりたい、なるという気持ちがすごく強いです。
木村)広島のファンに上松選手の雄姿を見せる機会はありますか?
上松)3月に「平和カップひろしま国際大会」があります。場所は広島城のすぐ近くの「広島翔洋テニスコート」です。韓国や台湾からも強いチームが来て、団体戦を行います。優勝したいと思いますし、ファンの皆さんに最高のプレーを見せたいと思っています。ぜひ会場に足を運んでください!

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