ページの本文へ

NHK福島WEB特集

  1. NHK福島
  2. 福島WEB特集
  3. 福島 “猪苗代湖しぶき氷” 暖冬の影響は?

福島 “猪苗代湖しぶき氷” 暖冬の影響は?

気象予報士・本橋淳也が調査!
  • 2024年01月31日

 

 強い西風を受け飛び散る波しぶきが木の枝に凍りつく猪苗代湖のしぶき氷。この冬は気温が高く雪の降る日が少ない暖冬です。今年のしぶき氷は立派に成長しているか心配になります。実際、どのような状況になっているのか調査してきました!
                                                                                         気象予報士・本橋淳也

1月20日 やっぱり...

 一年で最も寒いころの意味である「大寒」に合わせて、私は毎年しぶき氷ができる天神浜の撮影スポットに行きます。ことしは1月20日に行きました。去年、おととしは立派なしぶき氷ができていましたが今年はとけて氷の彫刻とは呼べない残念な姿になっていました。表面には土のような物がつき、汚れた状態となっていました。観光客も少なく、訪れた方もがっかりした表情でした。

1月27日 見事に復活!!

 一週間後の1月27日に再び様子を見にいくと、きれいなしぶき氷ができていました。先週の中頃に襲来した寒波の影響で、再びしぶき氷が成長し、多くの観光客とカメラマンでにぎわいました。この日は青空が見られ、太陽の光が当たると氷の芸術が美しく輝きました。
 この冬は時々寒気の流れ込みがあるけど長続きしないのが特徴です。しぶき氷ができてもきれいな状態を保つことが難しいようですが、全くできていない訳ではありません。冬型の気圧配置となり、強風と寒さが厳しくなった後はきれいにできています。ことしは見に行くタイミングが重要です。

巨大化は難しい

 何度も寒波が襲来し例年よりも厳しい冬になると、しぶき氷は巨大化することがあります。例えばおととし(2022年)は冬型の気圧配置の影響を受けやすい日が続いたため、真冬日(最高気温0度未満)の日数が平年よりも多く、しぶき氷はとけることなく成長を続けました。

人の背をはるか超え高さは約3メートル、体積が大きく氷のモンスターとなりました。ことしは真冬日の日数がおととし、平年よりも少なく気温が0度以上になる日の方が多いです。一度しぶき氷ができてもとける頻度が多いため、ことしのしぶき氷の巨大化は難しそうです。

しぶき氷観察 今週末おすすめ

 27日にしぶき氷を撮影した後、猪苗代では最高気温0度以上の日が続き、きょう(31日)の最高気温は7.4度と3月下旬並みの陽気となりました。このため、しぶき氷は少しとけてしまったかもしれませんが、あす(2月1日)は再び冬型の気圧配置となり、強風と厳しい寒さが予想されています。先週の寒波と比べると強くはありませんが、しぶき氷は再び成長するとみられます。3日(土)4日(日)は冬型の気圧配置がゆるみ、晴れ間もありそうです。週末は青空と磐梯山を背景に美しいしぶき氷が撮影でるチャンスかもしれません!

【今年ならではの注意】
しぶき氷の撮影スポットは天神浜駐車場(無料)から約1キロ歩きます。今年は積雪不足と気温が高いため、泥道になっている所があります。汚れてもいい靴や服装で行きましょう。

  • 本橋淳也

    NHK福島放送局気象キャスター

    本橋淳也

    自称しぶぎ氷ハンター。毎年1月下旬にしぶき氷の定点観測を行いその冬の特徴を肌で体験している。今年の冬はやさしい。

ページトップに戻る