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法人のお客さま 経営TIPS

法人税の計算方法は?法人税の種類と税率も解説

  • 公開日:2021年12月16日

税金の課税対象は所得、所有、消費の3つに大別されます。今回はその中でも法人の所得(儲け)に対して課される法人税について、その関連する税目もあわせて確認していきます。大まかな課税の仕組みを理解し、自社がどの程度の税負担をする必要があるのか、検討できるようになりましょう。

※ 本記事は2021年9月時点での税法等を基準にしています

3つの法人税等について

会計で使用する勘定科目に「法人税等」や「法人税、住民税及び事業税」と呼ばれるものは、3つに大別することができます。

それぞれの税目について、もう少し詳しく確認していきます。

法人税

法人が負担する税金の中で、もっとも比重が高いのが法人税です。国に対して納める税金で、補足的な意味も込めて「法人所得税」と呼ばれていることもあります。日常的な言葉で言い換えると「法人が得た所得(税務上の儲け)に対する税金」という意味です。

ここで留意が必要なのは、所得という言葉です。あまり一般的ではありませんが、似たような言葉がいろいろとあるので、混同しないようにする必要があります。

一般的な表現: 売上 - 経費 = 儲け
会計的な表現: 収益 - 費用 = 利益
税務的な表現: 益金 - 損金 = 所得

やりとりをする相手が税金に詳しい人であればきちんと使い分けをしていますが、そうでない場合、これらの言葉を混同して使っていることが珍しくありません。所得については、後ほど説明をします。

所得が課税対象ですので、いわゆる赤字企業(所得がマイナス)の場合、税額はありません。この点についても後ほど補足します。

地方法人税

なお、2014年に法人税の一部が分離され、地方法人税という税目が創設されました。地方と名がついていますが、国税です。法人税を納める法人に課税され、その課税標準(税金計算のもとになる金額)も法人税が用いられます。

地方法人税の趣旨は、地方自治拡張や地域間の格差是正のためのものです。企業が国にいったん納税し、それを所定の分割基準にしたがって各自治体に配分します。

税目としては別のものですが、実務的な会話では法人税と一体のものとして語られていることも多いようです。

法人事業税

続いて、法人事業税は都道府県に対する税金です。法人税と同じく、法人が事業活動で得た所得に対して課されます。法人税と同じく、赤字企業(所得がマイナス)の場合、税額は発生しません。

ただし、法人事業税に関しては、必ず所得が課税対象になるとは限りません。法人事業税の趣旨は、その法人がおこなう事業活動に対する課税です。仮に所得がマイナスだとしても、その法人が各都道府県において事業活動をおこなっていることは間違いありません。

そこで、資本金が1億円を超えるような規模の企業は、所得だけでなく、その企業の規模感を示す付加価値や資本をもとに課税されます。創業間もない小規模法人にはあまり関係がありませんが、企業が成長し、増資をしていくような場合には注意が必要です。

特別法人事業税

また「令和元年度税制改正」で、法人事業税の一部が分離され、特別法人事業税が導入されました。企業が都道府県に納め、それが国に集約され、あらためて各都道府県に配分されます。意味合いとしては、やはり地域間の格差是正です。

こちらについても、実務的な会話では、法人事業税と一体のものとして語られていることも多いです。

法人税の計算上、損金に算入

そしてもうひとつ、法人事業税については知っておくべき事項があります。法人事業税は、法人税の計算上、損金に算入されます。一般的な言葉で言換えると、「経費になる」ということです。

ただし、損金に算入されるタイミングなどについて留意が必要です。この点についても、後ほど所得に関する補足のところで説明します。

以前は法人税の税率が高く、法人事業税の税率はそれほどでもありませんでした。しかし近年、地方自治拡大などの影響もあり、法人事業税の比率が高まってきています。法人の税負担を考えたとき、法人事業税まで含めて検討をすることが重要です。

法人住民税

最後が法人住民税です。こちらは都道府県および市区町村に対する税金です。例外的に、東京23区内のみ、都民税に集約されています。

法人が何かしらの事業活動をしている以上、その所在地である行政から一定のサービスを享受していることは間違いありません。それは、所得がプラスでもマイナスでも同じです。そのため、法人住民税は以下の二段階に分割されています。

法人税割

法人税を納めている(所得がプラスで計上されている)法人に対して、その法人税を課税標準として課される部分。基準となる法人税に対して、都道府県・市区町村それぞれの税率を乗じて課税額を計算します。

均等割

所得の有無にかかわらず、法人の規模(資本金などの額や従業員数)を基準に課される部分。イメージとしては基本使用料のようなもの。

法人を設立して事業を営んだ時点で、仮に所得がなかった(赤字だった)としても、法人住民税の均等割(基本使用料に相当)は納めなければなりません。資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の法人であれば、都道府県に対して20,000円、市区町村に対して50,000円、合計70,000円の税金を負担する必要があります(東京23区内なら東京都に70,000円)。

均等割は一部自治体で金額が異なっていますので、自社の所在地でどれだけの均等割が課されるのか、確認しましょう。

法人の新設年度や、途中で決算期を変えたようなときには、均等割の金額も月割計算をおこないます。

法人設立を検討する際、均等割の70,000円という金額は事前に把握しておくべきです。事業が順調に成長していけば負担は小さいですが、規模が小さいころには負担が大きい金額です。この均等割を考慮して、まずは個人事業で開業し、ある程度事業が育ってきたところで法人にする方も多いです。

均等割の金額も、資本金などの額や従業員数に応じて金額が増えていきます。事業が拡大してくると、該当する区分が変わる可能性もありますので注意が必要です。

出典:東京都主税局|均等割額の計算に関する明細書

法人税の税率と計算方法

次に法人税の税率について確認していきます。上述のとおり、いわゆる「法人税等」は3つのグループに分かれているので、実際の税率計算はかなり複雑です。ここでは東京23区を想定して、3つの税目を合わせた税率を確認していきます。

・法人税

※ 小数第一位まで表示

上記の区分に加えて、法人の種類(協同組合、公益法人等)に応じて税率が設定されています。詳細は国税庁のHPをご確認ください。

出典:国税庁|タックスアンサー No.5759 法人税の税率

また地方法人税の税率は、2019年10月1日以後開始する課税事業年度は、10.3%です。(上記の表に従って計算された法人税額に10.3%を乗じる)

出典:国税庁|地方法人税の税率の改正のお知らせ

・法人事業税

※ 小数第一位まで表示

上記の税率は、もっとも課税比率が低い場合のものです。所得が一定水準以上かどうか、法人の事業所数などに応じて、異なる税率が設定されています。詳細は下記リンク先をご覧ください。

出典:東京都主税局|法人事業税・法人都民税

・法人住民税

※ 小数第一位まで表示

標準税率と超過税率の区分は、資本金の額や課税標準となる法人税の金額によって変わります。こちらも詳細は下記リンク先をご確認ください。

出典:東京都主税局|法人事業税・都民税

ここでは東京23区を事例にしましたが、それ以外の所在地での申告では、法人住民税について都道府県税と市区町村税に分けて申告、納税をします。

例:資本金300万円の株式会社。年間所得が300万円。

※ 小数第一位まで表示。少数第二位以下は切り捨てて計算

このように、実際の税金計算はかなり複雑な構造をしています。これを手計算でおこなうことは難しく、実際には税務申告用のソフトなどを使用して申告書を作成する法人が非常に多いです。さらに、税制改正などを通じて税目や税率の変更も頻繁に起こるため、一般の納税者が自力ですべて対応するのは、なかなか難しいのが実情です。

また、近年の傾向として法人に対する減税傾向と、個人に対する重課税傾向が顕著です。上で紹介した税率でも、法人所得が低いうちはかなり低い税率が適用されていることがわかります。この特徴を活用するために法人を設立する事例も増えています。

所得金額とは

会計上の利益と税務上の所得は、少し認識が異なる部分があります。特に会計上の費用と税務上の損金では、その範囲が少し異なります。

例:

  • 接待交際費について、会計上は経費になるが、税務上では損金にならない部分がある。
  • 固定資産の減価償却費について、会計上で計上した費用と、税務で認められる損金に差異が出る。
  • 役員に対する賞与が、会計上は経費になるが、税務上では損金にならない。

※ 上記の事例でも実際には税務上の損金に該当する場合があります

おおむね会計上の費用に比べて税務上の損金のほうが厳しく設定されています。

つまり、
会計上の利益<税務上の所得
この算式が成立する可能性が高いのです。

また、上で紹介した通り、法人事業税は損金に該当するのですが、そのタイミングに特徴があります。

会計上の法人事業税:税金の負担が確定した時点で費用に計上。
税務上の法人事業税:実際に納税した時点で損金に計上。

詳細を説明すると複雑になるので、まずは「費用と損金の計上でタイミングがズレる」ということを理解しておきましょう。

中小零細法人の経理や税務について考えると、税務に関する知識をもとに、会計上と税務上の差異があまり出ないように処理することが多いです。

税制を活用する

法人税等についてはほかにも知っておいたほうがよい知識があります。

  • 社員に対する賃上げを頑張っている企業に対する減税措置「所得拡大促進税制」
  • 一定の設備投資計画について、損金の前倒し計上や税額控除を認める「経営強化税制」

これらの制度を上手に活用することで、税負担を大きく減らせる可能性があります。税務の基本は「知っている人が得をする」「知らないのは本人の落ち度」です。頼れる専門家やサービス提供企業と付き合うことで、税負担は大きく変化し、経営の安定度にも大きな影響を与えます。

まとめ

法人税等は法人税、法人事業税および法人住民税に大別されます。それぞれ国税、地方税に分類され、近年では地方税の比率が高まってきています。所得に応じて税負担の比率が大きく変化し、個人の所得税と比較しても比較的低い税率が適用される可能性も高いです。経理処理を進める上でも税務知識は必須で、また各種特典を上手に使うことで、税負担を大きく減らせる可能性もあります。

執筆者プロフィール:
高橋 昌也(税理士)
高橋昌也税理士・FP事務所。1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。

上記内容は、執筆者の見解であり、住信SBIネット銀行の見解を示しているものではございません。

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