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杉本彩さん「痛みをリアルに想像して感じて」 ネコ看取った経験から学んだ「おもいやりは、想像」

保護活動に取り組む女優の杉本彩さん。杉本さんが立ち上げた公益法人が、9月20日から始まった「動物愛護週間」(9月26日まで)に合わせて作ったポスターには、「おもいやりは、想像」というメッセージが。この杉本さんのメッセージを通して、動物愛護を考える。

「よろしくお願いします」

「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事、杉本彩さん。この日、都内でポスター用の写真撮影に臨みました。

「共演者」は、ちょっとやる気なさそうな登場でしたが…。

「こわいなぁ、みんなに見られてね。だいじょうぶか、こわくないよ」

杉本さんのスキンシップでリラックスした表情をみせました。

杉本さんは8年前、団体を設立。講演会や学校への出前授業、国や自治体への働きかけなど、動物愛護の活動に精力的に取り組んでいます。

動物愛護の月として、9月は動物好きの芸能人との対談などを発信しています。

ポスター制作は今年で8回目。飼育放棄や虐待―。ペットの命を軽視する状況や業界の仕組みに警鐘を鳴らし、その時々の思いを発信してきました。

今年のテーマは「おもいやりは、想像」。これまでにない優しいメッセージです。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「もう一度、動物との向き合い方、接し方を考えてほしい。全てのスタートは“思いやり”から始まっていると思うので、“原点”に返ってみました」

原点に立ち返るきっかけになった出来事があります。1年前、明るみになった松本市の販売業者による虐待事件です。

1000匹近い犬をケージに閉じ込め劣悪な環境で飼育。麻酔を使わず帝王切開で出産させていたケースも明らかになりました。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「私たちも想像を絶するくらいの悲惨な事件だった。(動物は)痛み、苦しみ、喜び、寂しさ、人と同じように感じる感受性ある生き物。改めて考えてほしいと思った。長い間、劣悪な環境でただ生かされ、子を産むだけの道具として使われていた。どんな痛みを感じながら生きていたか、また、死んでいったかということを、その痛みをリアルに詳細に、想像して感じてほしいと強く感じた」

動物の苦しみ・痛みを想像してこなかった業界の暗部。元従業員などの証言を基に杉本さんたちは刑事告発に踏み切り、その後、経営者は「虐待の罪」で逮捕・起訴されました。

さらに「虐待より悪質だ」として、より重い「殺傷の罪」での立件を求め、地検は先月、「殺傷の罪」で追起訴しました。

業界にはびこる利益優先の考えを変えるチャンスになるかもしれない。杉本さんは裁判の行方を見守っています。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「(事件は)内部告発によって、たまたま顕在化。長野県だけが特別でないこと、改めて伝えたい。でも、長野で起きたことでより一層、目を向けてくださって、自分の家の犬、その親犬が苦しんだことがあるかもしれないと想像してくださったことは、ペット事業というものに対して厳しい目を向ける一つのきっかけに。どのような判決が下されるか、長野の皆さんと一緒に注視していきたい」

今回の撮影に参加した2匹。実は…。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「ごみ屋敷のような過酷な多頭飼育崩壊現場で飼育されていた子で、もう1匹は劣悪事業者からレスキューした子です」

今は落ち着いた日々―。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「撮影中、2匹とも(リラックスして)ゴロゴロいってましたからね。(だからこそ)心が通じ合っているような素敵なショットが撮れるんだろうと思う」

完成したのは顔を近づけて、見つめ合うこちら。今回のメッセージも過去にネコをみとった経験から学び、大切にしている言葉です。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「(そのネコは)私が里親になった時から歩けず、脳にも障害があったんです。どんなことを不自由に感じて今、何をしてほしいのかってことを、そのネコの身になって想像して察することがすごく必要なこと、2年半の介護の経験から学んだ」

言葉をもたない動物たちと向き合う。だからこそ、想像が大事だと杉本さんは訴えます。

動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「(動物との暮らしは)大変なこともある。日々の世話はもちろんそうですし、病気になったり、どんどん進む老いの現実と向き合わないといけない。でも、それも含めて“命と向き合う”ことだと思うので、喜びがあり、悲しみがあり、苦労があり、いろんな学びができるのが動物と暮らす素晴らしさ」
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