自然科学・身体運動科学分野活動ブログ

2012.11.02

  • 武蔵One Point自然観察

スミレ閉鎖花

スミレ閉鎖花
スミレは10月の末になってもまだ種を実らせている。つぼみのように見えるのが閉鎖花です。 撮影日時: 2012:10:29 14:34:20
白雉祭も近づき、随分寒くなってきました。ところで、この写真のようにスミレは種子を生産し、盛んに種子を散布し続けています。しかし、スミレの花は春を 代表する花で、花期が過ぎてしまっています。秋になって種ができるということは、花が咲いた?最近、スミレの花が咲いたのを目にしましたか?
 
スミレは閉鎖花という興味深い性質が進化させています。写真のなかでつぼみのように見えるのがそれです。一般的に、植物の花が咲くとは、花が受粉昆虫を誘引し、自分の花粉を他の同種の植物へと交換するのが目的です。
 
では、閉鎖花のメリットは何なのでしょう。植物は固着生物なので移動できません。閉鎖花で生産される種子の遺伝子構成は、当然のことながら自らと全く同じです。種子に変身すれれば、移動することができるのです。
 
植物の生息適地を探す工夫の一つが閉鎖花といえます。身近な植物スミレの種子はアリによって散布され、スミレは閉鎖花を作りながら半年にも長きに渡って、 種子を散布し続けているのです。スミレの不思議は、進化の賜物です。ぜひ、スミレの株を発見したら、長く観察して、生命の営みに目を向けてください。