「iモード」生みの親であり「とらばーゆ」元編集長の松永真理さんと、宮崎を代表するローカルWEBメディア「宮崎てげてげ通信」の代表・長友まさ美さん、2人の女性編集者が「開運」をキーワードに宮崎県高千穂町を巡る旅。
その後編は高千穂峡巡りからスタートします。引き続き、長友さんのレポートでお届けしましょう。
※最新の営業状況については、各店舗・施設HP等にてご確認ください。
【今回の旅人】
松永真理さん(写真右):女性向け転職情報誌「とらばーゆ」編集長やドコモ「iモード」のサービス立ち上げなどで知られる松永真理さん。現在も社外取締役や顧問としてビジネスの最前線で活躍中。著書として「なぜ仕事するの?」「iモード事件」など。
長友まさ美さん(写真左):宮崎県を代表するローカルWEBメディア「宮崎てげてげ通信」の代表を務める長友まさ美さん。モットーは「愛とノリ」。宮崎各地を訪ねながら多くの人と人を繋げながら、まだまだ知られていない宮崎の素晴らしさを発信中。
美味しい蕎麦で心もお腹も満たされ、まずは高千穂一の観光スポット「高千穂峡」へと車を走らせます。午後も高千穂町役場の谷川祐一さんによる心強いアテンドです。
高千穂峡は、昔、阿蘇火山活動で噴出した火砕流が急激に冷却されたためにできた断崖がそそり立つ峡谷です。国の名勝・天然記念物に指定されている、世界的にも珍しいスポット。この日も、海外からのお客様もたくさんいらっしゃいました。
峡谷は、高いところで100m、平均80mの断崖が東西7kmも続きます。よく見ると下側の垂直の部分と、上の大きな瓦が積み重なったような形のものと二種類あることに気がつきます。
「これは、約12万年前のものと9万年前のもので、大きな火山活動が二回あったことを表しています。噴出した高温の火砕流が、当時の五ヶ瀬川の峡谷沿いに流れ、その火山流堆積物が急激に冷やされ、このような柱状節理がうまれました。その後、五ヶ瀬川の侵食によって、再びV字峡谷となったのが高千穂峡なのです。」と谷川さん。
こんな壮大な自然の造形美をつくる地球のエネルギーに、ただただ驚くばかりです。
高千穂峡といったら、貸しボート。GWや夏休みには、5時間待ちになることがあるほどの人気です。
私たちも早速、ボードに乗船!
下から見上げる景色は、上から眺めるのとはまったく違い、ここからしか見ることができない高千穂峡の魅力がたくさんあります。
間近で見る柱状節理は、圧巻。長い期間を経てうまれた峡谷に、脈々と続く時間と命を感じます。
高千穂峡の川幅が狭まった部分に落ちる真名井(まない)の滝も、豪快に水しぶきをあげていて、迫力があります。落差は約17mもあり、ついつい写真を撮ることに夢中になってそのまま滝に突入する強者も(笑)
童心にかえってボートを楽しむと、あっという間に30分が終了。スリル満点のボートは、忘れられない旅の一ページになること間違いなし。
取材日は、紅葉の美しい季節。空一面に広がる紅葉が明るく色づき、一番の見頃でした。
春夏秋冬、季節によってそれぞれの魅力がある高千穂峡。どの時期も捨てがたい味わいなので、ぜひ季節を変えて訪れてみてください。また、夜はライトアップされ、幻想的な風景を楽しむことができます。
高千穂峡
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井御塩井
- 電話
- 0982-73-1213
高千穂峡を満喫したあとは、芸能と縁結びにご利益があるとされている「荒立神社」へと向かいます。
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天照大神の命を受けてこの国に降臨される途中で天孫一行の道案内をされた猿田彦命(さるたひこのみこと)と天細女命(あめのうずめのみこと)が結婚して住んだ地と伝えられています。
「切り出したばかりの荒木を利用して急遽つくった宮居は、荒立宮と名付けられたと言われています」と、谷川さん。
今回は、特別に拝殿の奥にある御神体を見せていただきました。
なんとも厳かな空間のなかで手を合わせると、自然とお願いごとではなく感謝の気持ちが沸き起こってきました。
社殿の裏には大きな森があり、散策ができるように整備されています。ハンモックを見つけ、寝転んでみました。
そこから見える景色が圧巻!!
まっすぐにそびえ立つ杉の木が空へと向かい、吸い込まれそうな感覚になりました。
何時間でもゆらゆらと身体を預けていたい至福の時間を、ぜひ味わってみてください。
「七ツ打って幸福をよぶ!」という板木を見つけ、心を込めて打ちつけると、なんだか力がみなぎってきます。
最後に、笑顔が素敵な興梠宮司さんと写真撮影。こんなに明るい笑顔の宮司さんにお会いするだけで運気が上がりそうです。
興梠宮司のもとには全国から多くの相談者が訪れ、社務所のカレンダーにはびっしりと予約が書かれています。それでいて、柔らかな物腰であたたかく迎えてくださる姿から、愛される理由を垣間見た気がします。
荒立神社
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井667
- 電話
- 0982-72-2368
ホテルにチェックインする前に、どうしても松永さんをお連れしたい場所がもう一箇所。宮崎のお菓子といったらチーズ饅頭を、ぜひ味わっていただこうと思い、「菓子工房 そらいろ」の田尻朋子さん(中央)のもとへやってきました。
私が大好きな「おひさまチーズまんじゅう」は、ざっくりとした生地のなかに、ごろりとクリームチーズが入っていて、宮崎を代表する人気のお土産です。
王道のチーズまんじゅう以外にも、ブラックペッパーを効かせた皮にブルーチーズをいれた「大人のチーズまんじゅう」や、チーズとあんこが入った「高千穂釜炒り茶 あんちーまんじゅう」などもあります。
タイミングがよければ、出来たてのチーズまんじゅうに出会えることもあります。毎日、工房で手作りするチーズまんじゅうをぜひご賞味あれ。
菓子工房そらいろ
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1050
- 電話
- 080-9243-9606
夜は、高千穂神社の夜神楽を見に行く予定にしていたので、歩いて5分ほどにある「ソレスト高千穂ホテル」に宿泊。
2018年3月にオープンしたばかりの新しいホテルです。一歩足を踏み入れると、モダンな雰囲気が広がっています。
少しホテルで休んだら、夜神楽に備えて早めの夜ごはんといきましょう。
ソレスト高千穂ホテル
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1227
- 電話
- 0982-83-0001
今回は、高千穂の名物店主「がんちゃん」が営む「てんつくてん」へ。
看板メニューの里芋の天ぷらを串に刺した「いも娘」や、宮崎名物のチキン南蛮などをオーダー。
高千穂といったら、やっぱり高千穂牛もはずせません。口にいれた瞬間に肉汁がじゅわーっと溢れ出します。
ガンちゃん特製の味噌ダレをたっぷりのせた「みそおにぎり」もボリュームたっぷり。
美味しくて楽しいお店なので、ついつい長居してしまいそうになるのですが、夜神楽のはじまる時間を忘れずに。
居酒屋てんつくてん
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井805
- 電話
- 0982-72-3858
本日の旅を締めくくるのは、高千穂神社で行われる夜神楽です。
松永さんはこの日のために東京の国立能楽堂で行われた神楽の上演をご覧になったそうで、事前準備もばっちり。
夜神楽は、本来、11月から翌年2月上旬にかけて町内20の集落で奉納される神事です。その夜神楽を、観光のお客様にも365日毎晩楽しんでもらえるようにしようと生まれたのが「高千穂神楽」です。
高千穂神社内の神楽殿で毎晩20時から1時間、代表的な「手力雄の舞」「細女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を見ることができます。
天岩戸神社できいたお話を思い出しながら鑑賞すると、より深く楽しむことができます。
神楽が舞われる舞台は、「神庭(こうにわ)」とよばれています。四方を「彫り物(えりもの)」という紙細工で囲い、さらにしめ縄をあしらいます。神庭には、女性は入ることができません。
奉仕者(ほしゃどん)とよばれる神楽の舞手のみなさんは、地元住民の方々。365日、集落ごと持ち回りで行う夜神楽を、何十年と続けていることに頭が下がりました。
神楽を初めて見る人にも楽しめる構成になっていて、海外のお客様も満足して帰られていました。もちろん、松永さんも!
本来の神楽では深夜眠たくなる頃に舞うという「御神体の舞」は、いざなぎのみこと、いざなみのみことの男女2神が新穀で酒をつくって神前にささげる神楽です。酒を飲んで仲良く抱擁しあい、夫婦円満、子孫繁栄を祈願する舞です。
観客席に飛び込んで舞うので、会場中が笑いにつつまれます。
夜を徹して舞う夜神楽では、「岩戸が取り払われ、天照大御神が現れる舞が披露されるころに、地上に光が溢れるかのごとく、白々と夜が明けていくんです」と話す谷川さん。
三十三番の演目をとおしで見てみたいと感じました。
高千穂神楽
- 場所
- 高千穂神社内の神楽殿
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1037
- 電話
- 0982-73-1213
ふかふかのベッドでたっぷり眠った翌朝、早起きをして向かった先は「国見ヶ丘」。秋の早朝、昼と夜の気温差が大きいこと、晴れていて風がないことなど条件がそろうと雲海を見ることができるのです。
「今日は雲海がでる確率は50%かな」と聞いていたものの、「雲海を見ることができたらラッキー!見られなくても朝陽を浴びて帰ってこよう」と、半ばだめ元で向かいました。
到着して間も無く、だんだん太陽の光がでてきて、空の色が明るくなってきました。高千穂の町並みを見下ろしながら、徐々に変わっていく空の景色を楽しみます。朝陽がどんどん上がっていく光景は、なんだか背筋がしゃんとして身体中にパワーがみなぎります。
標高513mの国見ヶ丘からは、阿蘇の五岳や祖母連山も一望することができます。だんだん霧がかってきて、雲海といえないまでも幻想的な世界が広がってきました。
全国から雲海をめがけて多くの写真家がやってくるというのも納得です。太陽が徐々にあがって暖かくなったあとも絶景でした。
早起きする価値あり!の場所なので、ぜひ足を運んでみてくださいね。早朝から気持ちいい時間を過ごすと、お腹もすいて朝ごはんもより美味しくいただくことができました。
国見ヶ丘
- 住所
- 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字押方
- 電話
- 0982-73-1213
今回は、松永さんの帰りのフェリーの時間の関係もあって、女子旅はここまで!
最後に、「松永さん、憧れの高千穂はいかがでした?」と尋ねると、「ずっと来たかった高千穂はやはり素晴らしい場所でした。なぜ、もっと早く来なかったのでしょう(笑)」とおっしゃっていました。
「数々の神話と歴史に彩られた高千穂には、やはり特別な何かを感じました。実は高千穂に来る前に、指宿の砂蒸しに寄って身も心も清めてきました(笑)。その甲斐があって、ここでとても良いパワーをたくさんもらうことができました。」
実は2年後にも仕事で高千穂に来ることになっている松永さんですが、この様子だともっと近いうちにまた高千穂を訪れるような予感がしました。
神話の里・高千穂までは「さんふらわあ」の発着する大分や別府からクルマで2時間少々、志布志からでも3時間ちょっと。宮崎県とはいえ実はそんなに遠くはありません。舟遊プランなどを使って九州を巡る際にはぜひ立ち寄ってください。
みなさんも神話のふるさと 高千穂町で、運気の上がる旅を!
Photo by ワタナベカズヒコ ≫Facebook
長友まさ美 宮崎てげてげ通信 会長
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