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平成14年度観光の状況に関する年次報告

第1章 観光の現状

第1節 国民の観光の動向

1 国民の国内宿泊旅行の動向


平成14年における国民の宿泊を伴う国内旅行は,国土交通省が実施した調査から推計すると次のとおりである。

  (1) 国内宿泊旅行の回数

国内宿泊旅行を行った回数は,国民1人当たり平均2.49回であり,国民全体では延べ3億1,700万回と推計される。これを旅行の目的別で見ると,「観光」が1人当たり平均1.26回(全旅行の50.6%),「家事・帰省」が同0.63回(同25.4%),「業務」が同0.30回(同12.2%),「兼観光」(業務,家事・帰省のついでに1泊以上付け加えて観光を行った場合をいう。)が同0.15回(同5.9%)となっている(表1-1-1)

表1-1-1 国民1人当たり平均宿泊旅行回数及び宿泊数



時系列でみると,宿泊旅行全体の回数(2.49回)は,前年(2.30回)に比べ8%増加しており,4年ぶりに増加に転じた。目的別にみると「観光」を目的とした宿泊旅行は引き続き減少しているが,「兼観光」と合わせた「宿泊観光旅行」でみると,ほぼ横ばいとなっており(1.42回→1.41回),減少傾向に下げ止まりの兆しがみられる(図1-1-2)

図1-1-2 国民1人当たりの宿泊観光旅行回数及び宿泊数の推移(平均)



なお,宿泊観光旅行の回数を月別に見ると,依然として夏休みを取る機会の多い8月が多いが減少傾向にあり,代わって5月が増加する傾向にある(図1-1-3)

図1-1-3 月別宿泊観光旅行の回数(1人当たり平均)




  (2) 国内宿泊旅行の宿泊数

年間を通じた宿泊日数は,国民1人当たり平均4.65泊(前年比8%増),国民全体で延べ約5億9,200万泊と推計され,前年から増加に転じた。目的別にみると,宿泊旅行の回数と同様,「観光」は引き続き減少しているが,「兼観光」を合わせた「宿泊観光旅行」でみると,1人当たり平均2.24泊とほぼ前年(2.23泊)並みであり,下げ止まりの兆しがみられる。

  (3) 国内宿泊旅行の消費額

平成14年1年間における国民一人当たりの国内宿泊旅行消費額は約106,800円で,前年に比べ名目で4.2%増,実質で5.1%増だった。
また,「観光」と「兼観光」を合わせた宿泊観光旅行の消費額は,1年間で国民1人当たり約52,700円で,前年に比べ名目で1.7%減,実質で0.8%減となっている(表1-1-4)

表1-1-4 国内宿泊旅行の一人当たり年間消費額



  COLUMN 1 平成14年の国内旅行マーケットの動向  

国内旅行の主流は,年々,団体旅行から個人旅行に移りつつある。その主な旅行先としては北海道,沖縄方面が好調である。14年は,2002年ワールドカップの開催により,6月は人の動きが少なかった。また,景気低迷による個人消費額の減少等から,料金の割高な7・8月の時期を避けて,3連休もあり料金的にも比較的安い9月に旅行をシフトするケースもみられた。また,高価格でも付加価値のある旅行商品は,時間と経済力にゆとりのある熟年層に依然として人気があった。加えて,近年の旅行者はインターネット等から多くの情報を収集し,旅行予定日の間際まで旅行先を慎重に選択する傾向にある。
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