【首長に聞く】浪江町長・吉田栄光氏 森林の扱い課題、解決目指す

 
吉田栄光浪江町長

 浪江町は、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が昨年3月31日に解除された。同4月1日には福島国際研究教育機構(エフレイ)が町内に開所した。吉田栄光町長は「新たなものに取り組むと同時に、帰還困難区域の森林の扱いなど残された課題も解決していきたい」と語る。

 ―復興の現状をどのようにみているか。
 「浪江町は帰還困難区域の面積が広く、復興拠点の避難指示が解除された時も町民の気持ちを考えると複雑な思いだった。それから1年置かずに特定帰還居住区域という制度ができ、新年度から新たに除染などが進むことは大きな前進だ。震災から15年となる第2期復興・創生期間の終了時に一定の復興の姿を見せたいと考えており、その礎ができてきたと受け止めている」

 ―新たなまちづくりの進め方は。
 「JR浪江駅周辺の整備については、交流センターや公営住宅などの工事に着手していく。駅舎の改修も周辺整備と調和したものとなる見通しで、浪江の新時代のシンボルになる。駅西口にエフレイが開所したことから、実質的には一体的に整備される範囲が増えたように感じている。浜通り全体のシンボルとして評価されることが、エフレイ立地町の責任と考えている」

 ―町民の暮らしの向上への取り組みは。
 「アンケートでは、町外に住む方の約半数が『いずれ帰りたい』と回答している。多くの方が高齢であり、産業集積や1次産業の再生に取り組んで帰還できる環境を整えることが大きな目標だ。これから避難指示の解除を目指す地区では、広大な森林をどのように扱っていくかが課題だ。国と協議して、森林を巡る新たな考え方を共有することが重要だと考えている」