【第9回ふくしま産業賞 金賞】久保木畳店(福島県須賀川) 畳文化を世界に伝える

2023/12/16 09:40

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畳文化の伝統を守り、魅力を国内外に発信する久保木畳店のメンバー
畳文化の伝統を守り、魅力を国内外に発信する久保木畳店のメンバー

 今年4月に自社工場を改装してオープンさせた体験型複合施設「TATAMI VILLAGE(畳ビレッジ)」には、若者から高齢者まで幅広い年代が集う。国内外から視察に訪れる人もおり、畳の歴史や用途に理解を深めている。

 1740(元文5)年創業で、280年以上の歴史を誇る。久保木徹朗社長(67)は今年で入社50年。長年地道に良質な畳を作り続け、地域で信頼を築いてきた。国内では埼玉県指定旧跡で深谷市指定史跡の旧渋沢邸「中の家(なかんち)」に採用されるなど品質の高さが評価されている。

 久保木史朗専務(36)は畳文化を後世に伝え、国内外に魅力を発信する取り組みにも力を入れる。畳製品を持参して米国やフランスなど海外に渡る。畳を作る際に残る端材を材料にしたコースターやブックカバー、スマートフォンを置く敷物などを作り、畳の新しい魅力を発信している。インターネットで注文できる体制も整えた。輸出先は現在21カ国まで増えている。

 畳の材料となるのはイグサだ。久保木史朗専務は生産地である熊本県八代市に通い、生産者の思いを知ろうと努める。イグサを栽培してくれている人たちの熱意を知ることで、畳の大切さを胸に刻むためだ。「小さな会社でも熱意と工夫があれば、世界にも魅力は届く」と信じている。

■メモ

▽創  業=1740(元文5)年

▽社  長=久保木徹朗

▽従業員数=14人

▽住  所=福島県須賀川市仲の町55

▽電話番号=0248(72)8989