ふくしま2022参院選

参院選福島県選挙区立候補者アンケート 物価高対策 星氏「賃金引き上げ必要」 小野寺氏「光熱費補助を重視」

2022/06/26 09:37

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 7月10日投開票の第26回参院選で福島民報社は、福島県選挙区(改選一議席)に立候補した5人を対象にアンケートを実施した。家計を直撃する物価高騰が有権者の大きな関心事となる中、自民党公認の新人星北斗候補(58)=公明党推薦=は物価上昇に見合った賃金上昇を目指す考えを強調し、野党統一候補で無所属の新人小野寺彰子候補(43)=立憲民主党、国民民主党、社民党推薦=は電気、ガス、水道代への補助が欠かせないと訴える。

 ロシアのウクライナ侵攻や円安による物価高騰を受け、政府は燃油価格抑制や低所得の子育て世帯向け給付などの緊急対策を講じた。24日には、電気代の負担軽減策として検討中の節電ポイントについて、取り組みに参加する家庭に一律で2000円相当のポイントを付与する方針を発表した。

 星候補は「対策や支援の結果、欧米諸国に比べて物価高騰を低い水準で維持している」として政府対応を百点満点で80点と評価。国民生活の水準を維持するために「物価上昇に見合う賃金引き上げが必要」とした。産業や生活を守るための機動的な対策の継続を掲げている。

 小野寺候補は「支援の対象があまりにも限定的で、厳しい国民生活を支えるものになっていない」と批判し、政府対応を50点と回答した。「生活や仕事に欠かせない電気、ガス、水道などの料金補助が必要」と主張。年金減額の一時停止や小麦などの食料価格の是正も説いている。

 NHK党の新人皆川真紀子候補(52)は消費税減税、政治団体「参政党」公認の新人窪山紗和子候補(47)は賃金引き上げ、無所属の新人佐藤早苗候補(62)は自給自足の推進をそれぞれ提案した。

 ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本政府の対ロ姿勢について星候補は85点、小野寺候補は50点とした。今後、外交で重視すべき点は星候補が「国際秩序を保ち、平和を維持するための努力」、小野寺候補は「ロシアへの影響力を持つ中国に対する働きかけ」と回答した。皆川候補は「平和的解決に向けた対話」、窪山候補は「各国との経済連携」、佐藤候補は「米国追随をやめること」とした。

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針への評価を尋ねたところ、5候補とも100点満点で50点以下の点数を付けた。政府対応に何らかの不十分さや不満を感じている実態が浮き彫りとなった。

 星候補は50点と評価し、「国際社会の協力を得ながら、科学的知見に基づく正しい情報を発信すべき」と回答した。政府が来春の処理水放出を目指す中、「放出開始まで関係者への丁寧な説明と理解醸成、万全な風評対策などに国が前面に立つべきだ」とした。

 小野寺候補は「国内外の理解が進んでいない現状では新たな風評被害が生じる可能性が極めて高い」とし、政府対応は30点と低評価。「風評被害を生じさせないための根本的な解決策である(トリチウムの)分離技術の開発を諦めずに続けることが重要」とした。

 必要な対応については皆川候補、窪山候補の2人も「トリチウム分離技術の開発」と回答。佐藤候補は「トリチウムを含む水で発電する仕組みづくり」と答えた。

 処理水の海洋放出を巡っては、県内の漁業者を中心にあらゆる産業、市町村議会などから新たな風評の発生への懸念や慎重な対応を求める声が上がっている。

※放射性物質トリチウムを含んだ処理水 東京電力福島第一原発で発生する汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化した水。ALPSで62種類の放射性物質のほとんどが取り除かれるが、水と性質が似ているトリチウムは除去できずに残る。トリチウムは自然界に存在するほか、原子炉内の核分裂などによっても生じる。通常の原発では希釈した上で海に放出している。政府は昨年4月、国内で処分の実績があり、トリチウム濃度の検知が確実だと判断して海洋放出を決定した。トリチウム濃度を国の放出基準値の40分の1未満まで水で薄め、福島第一原発の沖合約1キロ先で海底トンネルを通じて放出する。政府は来春の放出開始を目指しており、新たに発生した風評被害は東電に損害賠償させる方針。