盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年9月26日)

令和5年9月26日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

京都出張(文化庁京都庁舎、京都府知事・市長との意見交換、東福寺視察),室伏スポーツ庁長官の任期更新,私立大学等の再編に向けた私学助成の配分方法の在り方に関する検討について,経済対策の策定に向けた文科省の取り組みについて,文化庁の京都移転に係る効果と今後の課題,脳神経科学分野の研究開発に向けた取り組み

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年9月26日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年9月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年9月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件御発言をさせていただきます。
 昨日、京都へ出張いたしまして、文化庁の京都庁舎を視察したほか、西脇京都府知事、門川京都市長との意見交換、そして東福寺の視察を行わせていただきました。今年の3月に京都への移転を果たしてからちょうど半年になります。文化庁京都庁舎の執務環境、あるいはオンラインでの会議の様子などを視察をいたしました。また、京都府知事、市長とも面会し、これまでの京都移転への御協力に改めて感謝をお伝えしたところです。国宝・重要文化財であります東福寺では、喫緊の課題であります文化財の保存修理・防災対策の現場を見せていただきまして、改めて、文化財の次世代継承に向けた取組の重要性を感じました。今回の意見交換、視察を踏まえて、関係施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 2点目ですが、このたび、室伏スポーツ庁長官の任期について、令和7年9月末まで2年間更新することを決定いたしましたので、御報告します。室伏長官におかれましては、令和2年10月のスポーツ庁長官就任以来、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の万全な開催のための対応、選手の強化活動への支援を通じた国際競技力の向上、第3期スポーツ基本計画の策定などに御尽力いただきました。引き続き、我が国のスポーツ行政の顔として、リーダーシップを発揮し、第3期スポーツ基本計画の着実な実施など、スポーツ関連施策の総合的な推進に尽力されることを期待しております。
 私からは以上です。

記者)
 昨日の中央教育審議会総会でも、急速な少子化が進行する中で将来社会を見据えた高等教育の在り方について、大学の再編などを含めた諮問がされました。特に私大の再編が一番の焦点かなと思っているんですが、それについて具体的な施策や大臣のお考えがあればお聞かせください。

大臣)
 文部科学省では、これまでも、私学助成の配分において定員未充足の大学に対する減額・不交付措置を行い、定員規模の適正化を促してきております。さらに、今回提出しております令和6年度の概算要求では、定員規模の適正化を含め、各私立大学等における主体的な改革を後押しするため、将来を見据えたチャレンジや、連携・統合等の経営改革を行う私立大学への一層の支援、あるいは成長分野等への組織転換や、定員規模適正化に係る経営判断を支えるための支援の充実、さらに、教育や経営に係るデータをフル活用して、学校法人への経営相談の充実等を図るためのシステム構築、こういったことに必要な経費を計上しております。具体的な内容等につきましては予算編成過程で検討が進められることになりますけれども、文部科学省は、令和6年度、来年度から令和10年度までこの5年間を集中改革期間と位置づけ、時代と社会のニーズに対応する私立大学等への転換を支援していくつもりです。

記者)
 先ほど閣議で総理から経済対策についての指示があったかと思うんですけれども、文科省としてはどういうところに力を入れて取り組んでいくお考えでしょうか。

大臣)
 今おっしゃったとおり、昨日、柱立てが総理から示され、そして今日の閣議で総理から御発言があったところであります。我々各閣僚に対しまして検討の指示ということであります。なお、その内容を踏まえまして、指示の内容ですね、これを踏まえまして、どういった対策を盛り込むことができるのか、文部科学省としても速やかに検討していく、これから検討していくところとなります。我々としても、経済情勢の変化に対応しつつ、国内投資の促進、人口減少を乗り越える社会変革、国民の安心・安全の確保に資する施策などを盛り込んでいきたいと考えておりますが、具体的なところはこれからになります。

記者)
 先ほどの冒頭発言でもありましたけど、文化庁が京都に移転してから明日27日で半年ということで、昨日の出張なども踏まえましてこの半年間で移転したからこそできた成果ですとか、感じていらっしゃるメリット、あるいは東京から離れたことなども踏まえた課題があれば教えていただけますでしょうか。

大臣)
 明日でちょうど半年になるわけですけれども、京都への移転によりまして、国の組織の東京一極集中の是正にとどまらず、実際に現地での庁舎でやっているんですが、一般の方に対する広報といったようなことで、文化芸術のグローバルな展開、文化芸術のDX化、観光や地方創生に向けた文化財の保存活用などを始めとする新たな文化行政の展開を進めているということを、私も庁舎、現地に伺ってなるほど、進んでいるんだなということを感じました。また、文化庁におきましては、今年の5月から京都での業務が本格的に稼働し、食文化、あるいは文化観光の推進等に関する新たな検討を進めております。広く地方の声やニーズを反映した文化行政の取組に着手しております。また、国会や他省庁との調整等の関係で、急な業務が生じた場合に、機動的で迅速な対応が取りづらいという課題がこれまでから言われていたところでありますけれど、テレビ会議あるいはICTの利用等により、状況に応じて工夫しながら対応しているということを、私自身、京都とそしてこちらにいる東京の人とのやり取り、テレビ会議でのやり取りを通して自分でも実感したところです。今後も、さらなる文化行政の充実に向けてしっかりと取り組むということなんですけれども、私のほうから申し上げましたことは、京都との関係が大変強くなっている、それはそれでこれまでの東京中心の視点からですね、実際に京都で住んで京都で仕事をして京都のいろんなものに触れて、これはこれで大変結構なことなんですけれども、京都だけのための文化庁の移転ではありませんですから、そういったことをきっかけにして他の地方、他の地域ですね、そういうところ、これまで東京にいて地方の視点というのはどうしても薄かったんじゃないかと思います。私も変な話ですが、選挙に出て初めてですね、違うんだなということが感じた次第でございますけれど、国家公務員で東京、こういったところ以外の勤務もあるとは言いながら、どうしても東京中心の発想になりがちでございますから、今回の京都移転を契機に、地方で何があり地方でどういうことを考えているのか、どういうニーズがあるのか、そういったことをよくキャッチをして、そして京都に移転してよかったと、京都以外の方からもですね、評価してもらえるように頑張ってほしいということを申し上げたところです。

記者)
 幹事社さんの発言であった中教審の総会について改めて伺います。再編、統廃合を促していくということについて地方、特に私立大学が強い危機感を抱いています。地方の大学への配慮、思慮についてここもすごく大事なことだと思うので改めてどういう思いがあるのかというところをお聞かせいただければと思います。

大臣)
 全体的な話として言うとですね、2008年以降、人口が減少局面になっているわけですよね。それで、これまであまり人口が減っているというのは感じられなかったところなんですけれども、昨年確か1年間で70万人ぐらいの人口が減ったわけですね。中核都市一つがこれからなくなる、あるいはもっとそれが加速度化していくということになるわけです。そして他方、人口が減っているというのはどこが減っているんだというのは東京じゃないわけですよ。あるいは大都市じゃないわけですよ。例えば、大阪府は減っていても大阪市は若干増加しているんですね、今の局面ではね。つまり、いわゆる地方のところにおいての少子高齢化が加速化しているということになりますから、そういう特に地方の私立の学校、大学を含めて学校というのは大変厳しい状況に直面していくわけです。そういう点でもちろん我々、学校の経営という観点からですね、生徒さんが当然どんどん減っていくわけですから、そんな中でどうやって、特に地方の私立の大学やその他の学校が生き残りを図っていけるのか、こういうことを我々としても当然考えるわけです。先ほどちょっと不十分だったかもしれませんですけれども、ポイントがいくつかありましたけれども、そのような成長分野への組織転換だとかですね、定員規模是正の課題ですとかDX化ですとか、そういうこともやっていくわけなんですけど、我々文科省で取り組めるところは取り組むつもりなんですけど、それだけじゃやっぱり何ともならないと思います。これはやっぱり総務省であり地方創生の担当の部局になると思います。あるいはちょっと時間はかかりますけどもこども政策ですね。そういったことにもつながってくると思いますが、政府全体として地域を地方をどういうふうな位置づけをしていくのか、そしてそれをどうやって支えていくんだと、それは学校だけに限らず社会保障ですね、病院をどうするのか、介護施設やあるいはこども園といったようなものをどう配備していくのか、そしてそれはハードな箱物だけではなく、その中ですよね、例えば医療で言うと大学もそうなんだけど、大学病院もそうですが、医療の働き方改革、特に人手不足ということが言われているわけですよね。そういうことを含めてトータルな形で考えていかないとなかなか解決は難しいんじゃないかと私は個人的に考えています。そんな中で私は、文部科学省としては文部科学省のテリトリーでできることを一生懸命やっていくということかと思います。

記者)
 昨日、認知症の進行を遅らせる治療薬の「レカネマブ」が承認されました。これは日本の脳科学のレベルの高さを表していると思うんですけども、今後、新しいそういった治療薬の開発に向けて文科省としては脳科学研究をどのように進めていくのか教えてください。

大臣)
 超高齢化時代を迎える我が国にとって、認知症などの脳神経疾患に対する予防・治療やそのための研究開発は重要な課題でございます。認知症等の脳神経疾患の発症・進行抑制・治療法の開発については、内閣府において8月末に取りまとめられた「認知症・脳神経疾患研究開発イニシアティブ」に基づいて、関係省庁と連携をして取り組んでいます。文科省としては、令和6年度概算要求に「脳神経科学統合プログラム」として93億円を計上しています。将来的な臨床での実現を目指し、認知症等の診断・治療・創薬につながる研究開発を推進していくこととしています。今後とも、厚労省ほかの関係府省と連携しながら、脳神経疾患・精神疾患の克服に向けて、脳科学研究をしっかり推進していくつもりです。

記者)
 先ほど日経さんから質問があった文化庁の京都移転に関連してお尋ねいたします。先ほどの御発言の中で文化庁の庁舎移転は京都のためだけじゃなくて、京都以外の方からも評価されるように地方で何ができるかを考えてほしいというような趣旨の御発言がありましたが、現時点で大臣の中で京都に移転されたことをフルに生かしての政策というところで何かお考えがあればお話できる範囲でお願いいたします。

大臣)
 正直詳しく文化庁からそういったやり取りはしておりませんですけれども、ただやはり京都に行ったということでですね、昨日みたいな東福寺の文化財の修理・修繕のところを拝見したわけでございますけれども、こういうふうにしてやっているのか、あるいは京都ならではのこういう工法を使っています、そういうことを御説明も受けました。やっぱりそれは現場に近いところにいる、それは私がというよりは御担当の方がですね、現場に近いところにいる、そしてそれを実際に自分で見て聞いて理解をしていく、そういうことはやっぱり大事だろうと思いますし、京都に移転して、あるいは京都でそういうものを見るということで他の地域だって同じような課題があるんじゃないか、あるいは京都以外のところだったらもっとこういう点に困っているんじゃないか、そんなことを考えやすくなったほうがいいです。そしてまた京都で言うと、ユネスコにも登録された和食ですよね、別に京都の京料理だけが優れているという、和食というかそういう点で登録されたわけじゃないにしてもですね、そういうものに身近になっていく。それから他の芸能というのかな、音楽を含めてですね、舞台だとかそういうようなもの、東京にいると何でもあるようには思えるんですけど、逆に言うと忙しすぎる、あるいは東京は広いということで行きづらい、そういうようなところ、かえってある程度コンパクトな京都で見やすい、来やすい、そういうこともあろうかと思いますし、その後はアンテナを高くするというのはなんか古臭い言葉かもしれませんが、いろいろ感じていただく、そういうことによってそれがまた行政にも反映されていくんじゃないかなと期待しているところです。

(了)

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