真行寺君枝さん

稀覯書室で出会った、素晴らしき本たち

息づかいまで感じられる本物との邂逅は、本当に尊い体験でした明治の学者とか侍のような先生ばかりで、学生と一緒に自分たちで大学を創っていくんだという情熱にあふれていました。

多くの方と出会い、さまざまなインスピレーションを授かってまいりましたが、このたび明星大学にご縁を賜り、貴重な稀覯書の数々を拝見する機会を頂戴しました。本当にありがたいことだと感謝しています。グーテンベルグの印刷術以前に遡る羊皮紙の写本からインキュナブラまで、西洋と日本を織り交ぜて閲覧させていただきました。

この世で何が一番の宝かと思いをめぐらせますと、それはやはり本ではないでしょうか。明星大学の稀覯書は近世から近代を軸に集められ、現代を生きる私たちに、卓越した知識が、時を超えたメッセージを投げかけてくれるものばかりです。どれもが感動に値しますが、哲学が好きな私は、コペルニクスの『天体の回 転について』(邦題)、ケプラーの『新天文学』、ニュートンの『プリンキピア』を第一に挙げたいと思います。『プリンキピア』の表紙に記されているように、これらは当時自然哲学だったのです。実に千五百年間にわたる権威を覆し地動説を表明した書物、それも当時の息づかいまで感じられる本物との邂逅は、本当に尊い体験でした。

シェイクスピアのファースト・フォリオも感慨深いものです。シェイクスピアという人物は、これほどまで有名な戯曲家でありながら、いまだ手付かずの研究が残されています。この稀覯書室で紐解かれる成果がきっとあることでしょう。それが世界へと発信される日を心待ちにしています。

写真:真行寺 君枝さん 真行寺 君枝さん

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