【2024年の注目銘柄をスクリーニング】政治・経済イベントでリスクオンの銘柄を探せ!

【2024年:注目の相場テーマと銘柄を探る】

■証券株や防衛株、紙幣関連株などの軽量・脇道・裏銘柄が急騰のチャンス

2024年は政治・経済のイベントが多く、株式市場にも大きな影響を与えそうだ。新NISAの開始や台湾総統選挙、新紙幣の発行などは、それぞれ証券株や防衛株、紙幣関連株などの関連銘柄にチャンスをもたらすだろう。また、残業時間の規制が始まる「2024年問題」は、DXや人材派遣などの分野にビジネスチャンスを拡大する可能性がある。これらのイベントに対応するためには、主力株だけでなく、軽量・脇道・裏銘柄にも目を向ける必要がある。本記事では、それぞれのイベントに関連する銘柄をスクリーニングし、注目度の高い銘柄を紹介する。新年早々、またまたへそ曲がりな相場見通しとなってしまったが、宝船か泥船かご参考になれば幸いである。

■新NISAでは「隠れ高利回り株」の証券株、台湾有事なら防衛関連・金関連株

イベントのトップバッターは新NISAで、期待の星ナンバーワンのカタリスト(株価材料)である。岸田文雄首相がスローガンに掲げる「資産所得倍増プラン」に乗って「貯蓄から投資へ」を目指すニューマネーが大挙流入するからだ。恩恵株の最右翼は、NISA口座で流入資金の受け皿となる証券株である。証券株の株価は、「アベノミクス相場」初期の2013年春に極東証券<8706>(東証プライム)の株価が4倍超化するなど揃って急騰を演じたが、瞬間風速はあるいはこれに匹敵するかもしれない。しかも流入資金の多くが、ターゲットとするのは高配当利回り銘柄とされているが、証券株は「隠れ高利回り銘柄」でもある。

証券株の今3月期中間業績は、純利益が黒字転換、あるいは15倍増益となるなどV字回復して中間配当を増配するケースが多かったが、期末配当については市況産業として通期業績予想を開示しないため未定とする銘柄がほとんどである。しかし例えば丸三証券<8613>(東証プライム)は、中間配当を普通配当10円に特別配当15円を上乗せして25円に増配し、期末配当は普通配当は未定としたものの特別配当15円の継続は予定している。この合計40円の確定済み配当の利回りは、4.78%にもなってプライム市場の高配当利回りランキングの第41位にランクインし、市場の年間配当予想並みなら第3位から第6位に相当する。証券各社は、2024年1月中下旬に今3月期第3四半期決算を発表予定で、同時に期末配当予想を開示することがあれば、「隠れ高利回り銘柄」が「表高利回り銘柄」のオンパレードに一変する。

証券株には、岡三証券グループ<8609>(東証プライム)、大和証券グループ本社<8601>(東証プライム)、松井証券<8628>(東証プライム)、極東証券<8706>(東証プライム)、アイザワ証券グループ<8708>(東証プライム)、水戸証券<8622>(東証プライム)、日産証券グループ<8705>(東証スタンダード)、東洋証券<8614>(東証プライム)、いちよし証券<8624>(東証プライム)、今村証券<7175>(東証スタンダード)、豊トラスティ証券<8747>(東証スタンダード)、丸八証券<8700>(東証スタンダード)、光世証券<8617>(東証スタンダード)などがある。

台湾総統選挙を受けて台湾海峡有事となった場合は、防衛関連株の出番である。定番銘柄の機雷の石川製作所<6208>(東証スタンダード)、火工品の細谷化工<4274>(東証スタンダート)、火器の豊和工業<6203>(東証スタンダード)が急動意となって小型株のカーリットホールディングス<4275>(東証プライム)、桜護謨<5189>(東証スタンダード)、日本アビオニクス<6946>(東証スタンダード)、東京計器<7721>(東証プライム)に波及し、主力株の日本製鋼所<5631>(東証プライム)、三菱電機<6503>(東証プライム)、三菱重工業<7011>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)、IHI<7013>(東証プライム)、新明和工業<7224>(東証プライム)、SUBARU<7270>(東証プライム)、島津製作所<7701>(東証プライム)も買い進まれることになろう。

「有事の金買い」で金先物価格が、再び史上最高値追いとなれば関連株への目配りも欠かせない。産金株の中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、住友金属鉱山<5713>(東証プライム)、DOWAホールディングス<5714>(東証プライム)から貴金属リサイクルのアサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)、さらに貴金属買い取り・再販のリユース株のコメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、シュッピン<3179>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)などまで物色が広がろう。

「2024年問題」ではDX・人材関連株、新紙幣発行は経済効果1.6兆円

5年間の適用猶予期間が切れて2024年4月から残業時間が、年間900時間に規制される自動車運転業務、建設業務、医師の「2024年問題」ではドライバー不足、建設・技術者不足、医師不足が懸念されている。同問題向けにビジネスチャンス拡大が期待されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)関連株や人材派遣株関連株である。ドライバー不足の物流業界向けでは物流機械のダイフク<6383>(東証プライム)、日本車両製造<7102>(東証プライム)、パレタイズロボットのユーシン精機<6482>(東証スタンダード)、物流DX関連のYE DIGITAL<2354>(東証スタンダード)、ロジザード<4391>(東証グロース)、フューチャー<4722>(東証プライム)などが該当し、パレット・レンタルの日本パレットプール<4690>(東証スタンダード)とユーピーアール<7065>(東証スタンダード)は、4月から課税開始となる森林環境税の目的の一つである国産材の有効活用にも関連する。

建設業界向けでは、ICT(情報通信技術)建設機械の不動テトラ<1813>(東証プライム)、ライト工業<1926>(東証プライム)、日特建設<1929>(東証プライム)、コマツ<6301>(東証プライム)、日立建機<6305>(東証プライム)、酒井重工業<6358>(東証プライム)のほか、DX関連のオプティム<3694>(東証プライム)、エコモット<3987>(東証グロース)、スパイダープラス<4192>(東証グロース)、シーティーエス<4345>(東証プライム)、応用技術<4356>(東証スタンダード)、構造計画研究所<4748>(東証スタンダード)、Arent<5254>(東証グロース)、人材派遣のクイック<4318>(東証プライム)やナレルグループ<9163>(東証グロース)が浮上する。医療業界向けでは医師派遣・転職サイトのケアネット<2150>(東証プライム)、エス・エム・エス<2175>(東証プライム)、エムスリー<2413>(東証プライム)、MRT<6034>(東証グロース)などが関連度を強めそうだ。

■新紙幣の関連株

2024年7月3日に20年ぶりに発行される新紙幣の関連株は、経済効果が1兆6000億円とも観測されているだけに幅広い。紙幣用原料パルプの三菱製紙<3864>(東証プライム)、紙幣印刷機の小森コーポレーション<6349>(東証プライム)、紙幣識別センサーのユビテック<6662>(東証スタンダード)、浜松ホトニクス<6965>(東証プライム)、紙幣処理・識別機の日本金銭機械<6418>(東証プライム)、グローリー<6457>(東証プライム)、ムサシ<7521>(東証スタンダード)、マミヤ・オーピー<7991>(東証スタンダード)、紙幣両替機のオムロン<6645>(東証プライム)、ATM(現金自動預け払い機)のOKI<6703>(東証プライム)、自動券売機の高見沢サイバネックス<6424>(東証スタンダード)、POSレジの東芝テック<6588>(東証プライム)、自動販売機の富士電機<6504>(東証プライム)と続く。軽量銘柄、脇道銘柄、裏銘柄とバラエティに富んでおり、宝船銘柄への期待を高める。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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