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2023年06月18日(日) 放送分

高橋怜子水中写真家
Vol.1256

7つの海を旅する“世界一”の写真家
生き物の「見たことのない瞬間」を!

彼女の名刺には肩書きがない。
「職業は写真家ですよね?」とたずねてみると、大好きなビールを煽りながら「写真家というよりは旅人...ですかね。見たい!という想いがいつも先で、カメラは後付け、みたいな...」と笑った。

水中写真家・高橋怜子の名を一躍世に知らしめたのは、「2018 National Geographic Travel Photographer of the Year」。この世界最高峰の写真コンテストで日本人として初めてグランプリを受賞した。

大学卒業後、半導体のエンジニアとして大手メーカーに勤務。愛犬を撮るために独学でいじり始めたカメラだったが、趣味のダイビングで出会うサメやマンタなどを撮影していくうちに、水中写真にのめり込んでいった。

運命の出会いは2018年2月。訪れていた沖縄・久米島でザトウクジラの親子に遭遇。無邪気な子クジラは高橋に近づいてきて、尾やヒレを盛んに動かし始めた。応ずるように高橋は無心にシャッターを切った。その時撮った1枚が、世界中の写真家が目標とするナショナルジオグラフィックの写真コンテストで、日本人初のグランプリを受賞。

その後多くの取材や仕事の依頼が舞い込んだが、むやみに引き受けることは敬遠し、写真家としてのスタンスは変えることはなかった。それは、見てみたい生き物のシャッターチャンスを逃がさないように、あらゆる角度からリサーチをし、徹底的に準備し、どんな遠い場所でも会いに行くこと。「年齢なんて口が裂けても言わない」と笑い飛ばしながら、海の生き物たちについて熱く語り始めると止まらない。

今回、ザトウクジラを追い求めて向かう沖縄と、豊かな海洋生態系を誇るメキシコ、バハ・カリフォルニアの撮影旅行に同行。ディレクター自ら高橋と一緒に海に潜り、その独自の撮影手法を目撃した。そして、仕上がった写真には特別な瞬間が刻まれていた。

PROFILE

岩手県大船渡市生まれ、北上市在住。
山形大学理学部化学科卒。
大手メーカーに就職し、半導体のエンジニアとして勤務。
シリコンバレーやシンガポールなどにも駐在。
趣味でダイビングを始めたのをきっかけに、水中写真の撮影技術を独学で身に着ける。
2017年8月、20年以上勤めた会社を退社し、写真家として独立。
2018年久米島で撮影した子クジラのしっぽを捉えた作品「MERMAID」が、「2018 National Geographic Travel Photographer of the Year」で、日本人初のグランプリを受賞。
その後も2019年「NATURE'S BEST PHOTOGRAPHY ASIA」Ocean部門最優秀賞、2022年「The Moscow International Foto Awards」金賞など、米国、アジア、ロシア、ヨーロッパなどの国際写真コンテストにおいて数多く受賞。

STAFF
演出:有瀧希
構成:増永達治
ナレーター:窪田等
音効:加藤つよし
制作協力:いまじん
プロデューサー:沖倫太朗・柴奈保子・重乃康紀

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