飲料水には、水道水、ペットボトル入りの水、フィルターでろ過した水、イオン水など、いろいろな選択肢があります。
でも、お金をかけて高級な水を飲む意味はあるのでしょうか。それとも、水道の蛇口から出る水をそのまま飲んでも大丈夫なのでしょうか。
読者から飲み水について次のような質問が米Lifehackerに寄せられました。
ライフハッカー様
一口にペットボトル入りの水やフィルターでろ過した水と言っても、山ほど種類があります。私は味の点ではそういう水の方が水道水より好みですが、本当にそこまで違いはあるのでしょうか。
水道水をそのまま飲むと何かリスクがありますか? それとも何の懸念も無いのでしょうか?
飲み水に懸念を抱く者より
米Lifehackerの回答
一般的に、少なくともアメリカ合衆国では、ほとんどのところで水道水を飲んでも健康に害はありません。
わざわざ水を買って飲むのは、味が水道水より好みだからか、水道水を飲むと身体に不調をきたす可能性がある人です(詳しくは後述します)。
しかし、一般的には、水道の蛇口から出る水で十分です。その理由をご説明しましょう。
水の種類別、健康への影響度
水のタイプの違いと健康に及ぼす影響について、Money Crashersの医療専門家であるCarly Stewart博士に詳しい話を聞きました。
飲み水には3つの選択肢があります。
具体的には、水道水、フィルターでろ過した水、ペットボトル入りの水です。しかし、それぞれの水には、思っているほど違いはありません。
たとえば、天然資源保護協議会によれば、約25%のペットボトル入りの水は、水道水と変わりません。
さらに、ペットボトル入りの水のメーカーを規制する国の法律は、水道水を規制する法律よりはるかに緩やかです。
次に、もう少し細かく見ていきましょう。
水道水
水道水ならどこも同じというわけではありません。
たとえば、「都市部の水」は定期的に検査され、一定の基準で処理されていますが、フッ化物などが添加されていることがあります。
一方で「井戸水」は、井戸からくみ上げているので、水処理の仕方が異なりますし、検査は地方自治体が行います。
そのため、免疫不全の人は井戸水を避けたほうが無難ですが、そういう問題がない人には概して安全です。
フィルターでろ過した水
フィルターでろ過した水とは、その名の通り、水道水を何らかのフィルターでろ過して、バクテリア、重金属、有害化学物質など安全面で不安材料となるものを除去した水です。
しかし、フィルターを購入すれば自動的に完璧な水が手に入るわけではありません。
まず、フィルターで何を除去したいか明確にしてから、適切なものを購入しましょう。
たとえば、バクテリアを除去したいなら、高圧の空気ジェットで簡単に気体になる混合物質をろ過するエアレーターは効果がありません。
水道水から何を除去したいのか正確にわからないのに、高額な浄水器を購入してお金を浪費しないようにしましょう。
ペットボトル入りの水
では、ペットボトル入りの水はどうでしょう。
2019年の世界野生生物基金による研究で、ペットボトル入りの水は、安全面で水道水を上回らないことが実証されました。
それなのに、値段は水道水の千倍もします。
ほとんどのペットボトル入りの水はろ過されていますが、単にどこかの水道水かもしれません。
そんなものをわざわざ買うのはお金の無駄です。
水道水なら自宅でいくらでも飲めますから。
ですから、ボトルをチェックして、中の水がどのようにろ過されたか確認しましょう。
ボトルに明記されていない場合は、もしかすると単なる水道水かもしれません。
水道水が体に及ぼす影響
一般に、水道水も他のどのタイプの水も、人間の健康に寄与する点では同じです。
具体的には、体内の水分量を維持する、血流を促進する、関節や細胞組織の潤滑油になります。
また、人体は生命を維持するために必要な生物学的過程のために大量の水を必要としています。しかし、Stewart博士が説明しているように、地域によっては水道水にフッ化物が含まれていることがあり、これが口腔内の健康維持に役立つことがあります(とはいえ、当初考えられていたほどの効果はないようです)。
では健康に害を及ぼすリスクはどうでしょう。
前述した通り、水道水が井戸からくみ上げた水である場合は、化学療法で治療中の人、HIVに感染している人、妊婦など、感染リスクが高い人には安全とは言えません。
そうした場合は、適切な飲料水について医師に相談した方が良いとStewart博士は言います。
現時点では、すべての自治体の水道システムが住民に十分に安全な水を供給しているわけではないことも言及する必要があります(アメリカの場合)。
たとえば、ミシガン州フリント市やニュージャージーの一部が挙げられます。
もちろん、水道水が安全でないとみなされる状況もケースも場所によってそれぞれ異なり、一概には言えません。
たとえば、自治体から「煮沸した水を飲むことを勧める」お達しが出ることがあります。これは、給水管の破損など短期的な問題が発生したとき、水道水を煮沸してから飲んだほうが良いという意味です。
結論:ほとんどの環境では、水道水は飲み水としての役割を十分果たします。
水道水の味が好きではない場合
水道水の味が嫌いというときは、ペットボトルの水を飲みましょう。
あるいは浄水器を使ってみてもいいでしょう。水道水に混入しているものをかなり除去してくれます。とはいえ、すべてを除去できるわけではないとStewart博士は言います。
水道水の味が嫌なときは、浄水器を使うと、害虫駆除剤や残留塩素など一定の含有物質を除去できるので、改善が期待できます。
しかし、硝酸塩などの化学物質はフィルターで除去できませんし、バクテリアやウィルスも家庭用浄水器はでは除去できません。
ですから、従来の浄水器で魔法のような効果が期待できないときは(あるいは、ろ過するスピードが遅すぎてイライラするなら)、別の解決策を試してみましょう。
たとえば、ろ過した水の冷却器です。あまりお金をかけたくないなら、水に溶かすフレーバーをスーパーで買うか、ミネラルウォーターがコストコなどで値引きされているときに大量に購入するかです。
標準規格外の浄水器のほうがいいこともあります。
Dasaniブランドの水がお気に入りの場合は、同じ方法で水をろ過すればいいわけです。逆浸透膜(RO)浄水器でろ過した水は、多くの人に好まれる味になる傾向があります。
平均的なスクリューろ過フィルターやフィルター付きのピッチャーよりお金はかかりますが、ペットボトルの水を長期的に買い続けるよりはるかにコストは少なくなります。
いずれにしろ、水の産地にこだわる必要がある人はほとんどいません。予算の範囲内で味に満足できる水を飲むのが一番ですね。
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Image: sonsart/Shutterstock.com
Source: Money Crashers, How Stuff Works, Harvard University, UPMC, Drinking Water, ABC News, NPR, NJ com, New York States
Adam Dachis and Elizabeth Yuko – Lifehacker US[原文]