『Trello』は、共同作業を容易にしてくれる優れたプロジェクト・マネジメント・ツールです。また、使うのが「楽しい」ツールでもあります。共同作業以外にも、自分の仕事、家の用事、旅行計画など、さまざまなプロジェクト管理にも使えます。今回は、Trelloで生活全般をオーガナイズする方法を紹介します。
Trelloとは？（どこが素晴らしいのか）
Trelloでは、ひとつのウェブページが1枚のボード（board）になっています。ボードの中に複数のリスト（list）を横に並べられるので、プロジェクトの全体像を概観できます。それぞれのリストには、カード（card）と呼ばれるアイテムを追加でき、カードを別のリストに移動したり、リストの中で上下に並べ替えたりできます。
各カードには、チェックリスト、画像、添付ファイル、締切日、色ラベルのほかに、共有ユーザーからのディスカッション・ノートなどを追加できます。ボードの数に制限はないので、「家事」、「世界征服」など、何でも好きなボードを作れます。
あなたも使ってみればこの便利さがわかるはず。Trelloのカードは、まるでコルクボードに付箋紙を貼るみたいに使えます。このデジタルな付箋紙は検索や共有ができて、リマインダーも設定可能。メール送信からカードを作ることもできます。
私のようにビジュアルに思考するタイプで、文字だけよりも画像や色ラベルがあるほうが記憶に残りやすい人には、Trelloはぴったりのツールです。
今でこそ、Evernoteで膨大な情報を管理している私ですが、かつては、紙のメモやインデックスカードにToDoタスクを書き入れたものを床にぶちまけて、全体像を把握しようとしていたのを覚えています。そんな私にとってTrelloは偉大な進歩です。Trelloは、シンプルかつエレガントなインターフェースを持ち、パワフルで柔軟な機能を備えた、バランスのよい稀有なアプリなのです。
賞賛はこれくらいにして。以下、Trelloの効果的な使い方を紹介していきます。
Trelloでプロジェクトやタスクを管理する
おそらく、最も一般的なTrelloの使い道は、個人のToDoを整理するタスクマネージャや、チームプロジェクトを管理するプロジェクトマネジメントツールです。
GTDを実装する
GTD（Getting Things Done）の生産性システムは、このツールに完璧にフィットします。主要なリストごとに個別のボードを用意してもいいでしょう（「次のアクション」ボードに、「＠電話」などのリストを作ったり、「いつか／たぶん」ボードの中に、各種カテゴリーのリストを作る）。あるいは、私もそうしていますが、ひとつのボードにすべてまとめてしまうのもありです。
例えば、私のボードには次のようなリストがあります。
- 全体像／プロジェクト：このリストは全体像を把握するためのものです。プロジェクトごとに1枚のカードを作って、それぞれ個別の色ラベルをつけています。また、このリストにはどの色が何を意味するのかを定義するカードも入っています。例えば、青色が個人的なタスクを表し、緑色が仕事関連のタスクを表すことを、つい忘れてしまいます。
- 受信箱：頭のなかにあるタスクをすべてカードにして、ここに入れておきます。このリストからカテゴリーや優先度に合わせて各リストに振り分けていきます。カードに締め切りや詳細説明、添付ファイルを追加してもいいでしょう。
- 次のアクション：基本的に、すぐに取り組むタスクを並べます。
- 待機中：誰かに依頼したタスクや、保留しているタスク。
- いつか／たぶん：いつかやりたいと思っているタスク...。
- 完了：完了したタスクをこのリストにドラッグすれば、あとから実績が確認できます。あるいは、完了カードを単純にアーカイブしてもいいでしょう（Trelloではアーカイブしたカードも検索できる）
これ以外にも、さまざまなシステムが考えられます。例えば、「今週」、「来週」などのリストを作成したり、スティーブン・コヴィー氏が「大きな石ころ」と呼ぶような、大まかなカテゴリー（家庭、学び、健康など）にタスクを分けてもいいでしょう。
週間計画を立てる
曜日ごとのリストを作って、ウィークリー・プランナーとしてTrelloを使うこともできます。私はタスク用のボード以外に、週間の投稿用ボードを作って、翌週のどの日に、どの記事や投稿に取り組めばいいかをプランしています。クライアントやタスクの種類（主要な執筆作業、調べ物、編集作業など）ごとに色ラベルを使い分けています。
Trelloで一歩進んだエディトリアル・カレンダーを構築することもできます。また、ウィークリー・プランナーを執筆以外の用途、例えば、来週の食事、家事、エクササイズ、宿題などの計画に使ってもかまいません。
Calendar power-up（カレンダーパワーアップ）機能を有効にすれば（Menu > Power-Ups）カードの締切日を月間および週間カレンダーに表示できます。また、iCalendar URLを使えば、Trelloのカードを外部カレンダーに同期できます（Power-Ups > Calendar > Settings）。
『Zapier』で繰り返しタスクを作成したり、完了タスクのログをとる
繰り返しのタスクがあり、同じカードを何度も作成するのが面倒なら、Trelloをウェブアプリ自動化サービス『Zapier』に接続し、こちらのレシピを使って、毎日、毎週、毎月繰り返されるカードをスケジュールしましょう。
また、TrelloとZapier、RescueTimeをリンクさせれば、時間の使い方を追跡したり、完了タスクのログを残せます。RescueTimeのステップバイステップの指示に従えば、設定方法はわかるはず。クールですよね？
Kanbanメソッドでチームプロジェクトを管理する
Kanbanメソッドとは、ワークフローを視覚的に管理するシステムです。ボード上の「To Do、Doing、 Done」の各リストに、タスクカードを配置します。見てわかるとおり、TrelloはKanbanメソッドからインスピレーションを受けており、同メソッドを使ったプロジェクト管理にはうってつけのツールです。とくに、アジャイル方式を採用しているソフトウェアチームなら、タスクの優先順位付けや、フェーズ管理にTrelloが大活躍するはずです。ほかにも、会議メモを記錄したり、資料を共有するのにも使えます。
プロジェクトで「sprints」を使わないとしても、こちらのアジャイル・ボードをあなたのTrelloアカウントにコピーして、必要に合わせてリストをカスタマイズすれば便利です。（Trelloの無料版でも背景色を変えられますが、上の写真のようにきれいな写真を背景にしたいなら有料のTrello Goldが必要です。月5ドル、年間払いなら45ドルです）
Trelloで自分や家族をオーガナイズする
Trelloは、ToDoタスクの管理以外にも、さまざまな使い方ができます。以下、いくつかの事例を紹介します。
小規模チームや家族の連絡場所として
Trelloをチームや家族のメッセージボードとしても活用できます（こちらにサンプル）。各メンバー用のリストを作り、カードを使ってほかのメンバーにメッセージを残したり、スケジュールやタスク、家事、頼み事などを追加すれば便利です。（voting power-upを有効にすれば、チームメンバーから投票を募ることも）
また、メンバーごとのリストを作るかわりに、チームで取り組むテーマごとのリストを作成してもいいでしょう。例えば、買い物リスト、会議アジェンダ、プロジェクトアイデアなどです。また、サイドバーにあるメンバーのアイコンをカードにドラッグせれば、メンバーをそのタスクにアサインできます。
休暇旅行をプランする
旅行によっては綿密な計画が必要です。米LH編集部は『TripIt』を使って、メールから旅程を自動作成するのがお気に入りですが、計画段階ではTrelloのようなツールが便利でしょう。Trelloで、予約リストのほか、食べに行きたいレストラン、訪れたい観光スポット、パッキングする持ち物などのリストを作成します。一緒に旅行に行く人とボードを共有することもできます。
また、旅のスケジュールがタイトな場合、日別リストに詳細な行動プランを作っておけば、なにかと安心です。また、カードをドラッグして順番を並べ替えたり、別の日に移動させれば、スケジュールの変更も簡単にできます。
家の改装プロジェクトを管理する
上の画像のサンプルでは、Trelloの「To Do、Doing、Done」テンプレートを使って、家の改装プロジェクトを管理しています。ここに、業者の見積もり、買い物リスト、予算、DIY、などのリストを追加してもいいでしょう。
結婚式を最初から最後までプランする
この大切な一日をプランするのは大仕事ですが、Trelloなら結婚式の計画をビジュアルに管理できます。Tabitha Nealさんが、Trelloで結婚式をプランする素晴らしいガイドを提供しています。Trelloにも「Wedding Command Center」テンプレートがあり、結婚式までの残り期間（12カ月以上前、10〜12カ月、8カ月など）ごとのリストにタスクを配置できます。
小説や脚本の構想を練る
インデックスカードを使って、小説や脚本のストーリーラインを練るのは、古くからあるライティング・テクニックです。Trelloのカードが、こうした「物理的な」インデックスカードの代わりになります。上の画像のテンプレートは、Redditユーザーのtleisherさんが使っているもので、さまざまなフィクションの構想に応用できます。
Trelloテンプレートを利用する
Trelloはリストを使うものなら、およそ何にもで活用できます。とくに、複雑なプロジェクトに真価を発揮するでしょう。もっとアイデアが欲しいなら、こちらのテンプレート集のボードをチェックしてください（それぞれカードが自分のアカウントにコピーできるテンプレートになっています）。ほかにも、こちらのInspiring Boardsや、Trello付属のテンプレート（イベントプランニング、フリーランスとコンサルティング、出版、リクルーティング、ソフトウェア開発）も参考に。
Melanie Pinola（原文／訳：伊藤貴之）
