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2021.10.15

「アートは資産価値より自分にとっての価値で選べば楽しい」大石絵理&野崎萌香のアート談義 前編

アートに興味はあるけれど、若干の敷居の高さを感じている方に朗報! アート好きで知られるモデルの大石絵理さんと野崎萌香さんに、その楽しみ方を聞いちゃいましたよ。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ 文/木村千鶴 ヘアメイク/相場清志(eif)、田中陽子(Lila) 撮影協力/WHAT CAFE

美女はどんな風にアートを楽しんでいる?

▲ 左から、小倉正裕さん、野崎萌香さん、大石絵理さん。
アートを美術館で観るだけでなく、自宅に飾って暮らすなど、より身近に自由にアートを楽しむ人々が増えている昨今。

とはいえ「どう見ればいいのかわからない」「自分の感想に自信がない」「何で価値が決まるのか全く理解できない(震)」なんて気持ちから、アートの鑑賞や購入に敷居の高さを感じている方も実は多いのでは?

ということで、アートに通じた美女にその楽しみ方を聞いてみました! ゲストはモデルの大石絵理さんと野崎萌香さん、そして司会役には、アートとファッション分野で活躍する小倉正裕さんをお招きしました。ギャラリーを併設するWHAT CAFEで、作品を鑑賞しながら談義していただきます。
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「アートに触れるうちに、どんどん好きになっていきました」(野崎)

小倉正裕さん(以下、小倉) 今日はふたりがアートをどう楽しんでいるか、生活に取り入れているかなどを聞かせてください。まず、アートに興味を持ったきっかけは何でしたか?

野崎萌香さん(以下、野崎) 自宅にゴッホやシャガールといった絵がいくつかあったんです。休日も家族で美術館や映画館に行ったり、海外旅行でもその国の美術館に訪れたりする家で。だから父と母からの影響が強かったかな。そういった経験から自分の好みの傾向とかもわかり、どんどんアートが好きになっていきました。

大石絵理さん(以下、大石) 私は10歳の頃、ハワイでラッセンと出会ってから。たまたまラッセンさんご本人にお会いしたら、自宅の玄関に飾る絵を描いてくれたの。その後19歳でロンドンに留学した時に、メディアアートというクラスをとっていたんです。授業の一環で美術館でのアクティビティがあって、色々と学ぶうちに本格的に絵について考えるようになりました」
小倉 すごいなぁ。子どもの頃からふたりにとってアートは生活の一部だったんですね。
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小倉 最近のお気に入り、もしくは気になっているアーティストはいますか?

野崎 最近好きなのは、カナダのアーティスト、マシュー・ウォン。残念ながら、35歳という若さで2019年に亡くなってしまったんですよね。繊細で、優しい絵を描く人だったんですが、皮肉なことに亡くなってから金額が上がって、もう手に入れることができなくなってしまったんです。買いたいなって思ってたんだけど……。
▲ 「Starry Night」マシュー・ウォン 2019年 参照元/KARMA
大石 マシュー・ウォン、凄く良いですね。ちょっとピーター・ドイグ(※)を思わせる感じで。私、ピーター・ドイグ結構好きなの!
※スコットランド出身の現代アーティスト。
野崎 昨年のピーター・ドイグの個展も良かったよね。

小倉 うんうん。それから、欲しい作品という目線も気になります。絵理さんはどうですか。
大石 私はダンクウェルですね。お洒落だし、それこそ欲しい絵のひとつです。お値段も絵画の中ではお求めやすいし。iPadで制作されているアーティストですが、1点につき5枚くらいしかプリントされないから、レア感もあって良いですよ。

それから、作品の背景が白なので、家の壁にも飾りやすいし、プリントTとしても着やすい。何にでも合わせやすいのも良いところですね。
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「鑑賞する時のアレは、ちょっと社会科見学っぽいなって……(笑)」(大石)

小倉 アート作品を好きだと思うポイントって何ですか。色彩とか、質感とか?

大石 私はアーティストの感情を受け取れる、感じられる作品が好きです。その人の心の中を表現しているんだっていうことを感じると、作品のバックグラウンドが見えてくるというか……。他の作品も見てみたいなという気持ちになります。
▲ 大石さんが選んだのは……「焚火の骨組み(『ロシアの昔話≪愛蔵版≫』、内田莉莎子訳、福音館書店、1989年、「雪娘」P.132-133)」西村有未 2021年
「一見ちょっと草間弥生さんみたいな、いい意味での毒々しさを感じるんですけど、水彩画を入れることによって、柔らかい、優しい部分が潜んでいるというか。そこが良いです」(大石)
小倉 美術館には作品に解説が付いていますが、バックグラウンドを知るためそういったものを気にしますか? それとも作品自体から感じ取りたい?

野崎 私は作品を見た後に解説を読む方ですね。

大石 私はパンフレットはもらうけど、鑑賞する時の音声解説は聞かないかも。ちょっと堅苦しくなっちゃって……あれって社会科見学的っぽくない?

小倉 あははは、確かに!
▲ 野崎さんが選んだのは……「意志」杉山卓朗 2018年
「この作品、フリーハンドで描かれているところに注目してもらいたい。彼がどれだけの時間をかけてこの線を引いたのか、そういう思いを見てほしいですね。これ、ほんとスゴいな〜」(野崎)
野崎 ただ、見る時に情報があった方が理解が深まることもあります。例えば、草間弥生さんはご自身の状況や背景によって表現の仕方が変わっているし、ピカソにしても年代を追ってみると「あ、この時代を通ってこういう作風に至ったんだ」ということがわかるので。「何らかの感情が影響してこの絵を描いたんだな」って思うと、作品の見え方も変わってくる気がします。

大石 うん。そういうのがわかると面白い。
▲ 小倉さんが選んだのは……「WALL」高橋知裕 2021年
「以前から気になっていたアーティストさんで、色目の感じとキャラクターが好きです。良いなと思った作品は売れてしまってました。残念!」(小倉)
小倉 展示の仕方にも美術館の個性が出ますよね。「学芸員さんの思う、この作品のベストな展示はこれか」みたいなことも伝わってきたりして。

野崎 あと、展示される順番で感じ方も全然変わります。メインの作品の見せ方にしても、ブースの真ん中に展示することもあるし、最後の最後にやっと見られることもあって。そういうところに企画意図やこだわりを感じます。

大石 展示の仕方が面白かったものといえば、ちょっと前にポーラ美術館でやってた「Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年」という企画展。浮世絵と西洋の印象派の作品を一緒に展示していて、あのね、モネの横に浮世絵があるの! 不思議な気持ちになったんだけど、浮世絵が西洋のものに見えた。

野崎 印象派の画家って浮世絵を勉強して、インスピレーションもらってる人が多いんだよね。

大石 そう! 「この浮世絵に影響を受けて、この画家はこの絵を描きました……」といった紹介もあって、すごく面白かったです。
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「資産価値じゃなくて、自分にとって価値のある作品を選んでほしいな」(野崎)
「購入するのは、毎日見て気持ちがアガる作品です」(大石)

小倉 それから、ふたりはアートコレクター的な一面もありますよね。資産としてのアートはどう捉えていますか。
野崎 資産的に購入したい人は、価値だけじゃなく、自分がまずその絵を好きであることが大事だと思う。高い絵を買うんじゃなくて、この絵とは運命的に出会ったから買うべきだ、っていう気持ちでいれば、もし資産にならなかったとしても、自分にとって価値のあるものだと思うから。

大石 とはいえ、もしその作品やアーティストの価値が上がったら、それはもちろんうれしいけどね。自分が先見の明を持っていたって自慢したくなっちゃう(笑)。私は感情で買う派ですけど、やっぱり価値が出るとうれしいな〜、という気持ちがあります。家のあのラッセンは価値が上がってるかもしれない。モノクロの作品で、モードっぽいんですね。

野崎 あ、モノクロ版画なんだ! いいな〜。
小倉 ちなみに、そんなふたりがアートを購入する時のポイントはありますか。

野崎 毎日その作品を見たいかどうかは大事ですね。自分との相性や「好き」って気持ちは大事だけど、それだけじゃなく、自分の生活や人生に合うかなってことも考えて買ってます。その方が愛着が湧いていくと思う、恋人みたいに。

大石 私は、家には気分が明るくなる作品を飾りたくて。どんなに素敵でも色彩があまりにも暗いと、毎日見るにはテンションが下がっちゃう。例えば、デイビッド・ホックニーが好きなんですけど、でもお値段が……(笑)
▲ 「Woldgate Before Kiham」デイビッド・ホックニー 2007年 参照元/THE DAVID HOCKNEY FOUNDATION
野崎 あ〜いいよね〜。好き!

小倉 どんな絵画なんですか? どんなところが好き?

大石 イギリス出身のおじいちゃんの画家なんですが、リゾートとかお部屋の窓からの景色などを描いているんです。すごく明るい色彩で、柔らかくて優しさがある絵で。

野崎 3年前に韓国で大きな展覧会があって、それに行ったの。すごく良かった!

大石 わあ〜いいな、行きたかった! 大宮エリーさんの絵はちょっとホックニーに近い感じがしない? 彼女の心の優しさが絵に現れてる気がする。
野崎 大宮エリーさんは、ライブアートで子どもたちと一緒に作品を作ったりしてるんですよね。アートを身近なものにしようとしている活動をしていて、そういうところも素敵だなって思う。

小倉 ふたりともさすがな意見ばかりで、感心させられています(笑)

後編に続く。

● 大石絵理(おおいし・えり)

モデル・タレント。1993年12月22日、東京都生まれ。高校2年生からモデルを始め、現在はTV、雑誌、広告と多岐にわたって活動中。アート好きが高じ、電子雑誌『旅色』アンバサダーであり、「アート旅」を連載している。2020年より、アパレルブランド「KOL」をプロデュースしている。
Instagram/@erioishitokyo

● 野崎萌香(のざき・もえか)

モデル・タレント。1990年2月10日、東京都生まれ。2009年、雑誌『non-no』で専属モデルデビュー。以降、モデルとして『sweet』/『美人百花』/『VOCE』など数々の女性誌で活躍。公式YouTubeチャンネル『野崎萌香-MOEKA NOZAKI-』も開設した。2020年より、自身が監修するバスグッズブランド「Aimer」をローンチ。
Instagram/@moeka_nozaki

● 小倉正裕(おぐら・まさひろ)

タレント、モデル、アーティストのスタイリングをはじめ、2012年にXガール原宿店地下に期間限定ショップX-Closetのディレクションに参加。近年はアート関係のプロジェクト、個展、イベント等をサポート。様々なクリエイターとタッグを組みファッション、音楽、アートを盛り上げている。クリエイティブディレクター小橋賢児が率いるThe Human Miracle株式会社が新しい才能をプロデュースするプロジェクト”ART BASE ZERO”もサポート。
Instagram/@oggyogubone

■ WHAT CAFE

アート業界の未来を担うアーティストの支援を目的とした芸術文化発信施設。ギャラリーとカフェが融合する800㎡のアート空間で、食事や飲み物を楽しみながらアート作品を鑑賞・購入することができます。

住所/東京都品川区東品川2-1-11
営業時間/11:00〜18:00(不定休)
HP/https://cafe.warehouseofart.org/

現在の展示「WHAT CAFE x DELTA EXHIBITION -EXPANSION-」
期間/~10月24日(日)
※2021年10月13日(水)~15日(金)は貸切イベント開催のため休館。

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