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2022.12.18

ネット業界から一躍ベンチャー企業のトップへ。「デジタル変革」の波に乗る社長の次なるターゲットは……宇宙!?

社会や暮らしに切っても切れないDX(デジタル変革)の可能性をいち早くとらえ、新規事業を次々と展開。現在、成長著しい会社「INCLUSIVE(インクルーシブ)」を牽引する藤田 誠氏に、今後の経営戦略から仕事の糧となるプライベートまで、幅広くインタビューしました!

CREDIT :

文/鳥海美奈子 写真/椙本裕子

「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
今後、私たちの社会や暮らしにますます浸透していくDX(デジタルトランスフォーメーション)。今回取材したのは、そのDXで新しい価値を生み出しながら、宇宙関連事業や地域活性化事業などさまざまなジャンルを開拓中の会社「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠さんです。

かつて広告代理店勤務や堀江貴文さん率いるライブドアにおいて広告事業統括の経歴をもつ藤田さんに、いま成長著しい会社を牽引するための経営のコツや企業精神などについて伺ってみると、見えてきたのは未知なることへのチャレンジ精神の大切さでした。インタビュー中に、藤田社長が時折見せた屈託のない笑顔から、ワクワク感が伝わってきましたよ!

「定量化」「数値化」は、ビジネスにおいても成功のカギ

── 情報流通のDXを掲げていらっしゃいますが、会社の事業内容をわかりやすく教えてください。

藤田 僕は、うちの会社のことを「コミュニケーション領域における総合商社」と言っているんです。主軸は出版社のデジタルメディアの運営。ウェブメディアの広告案件を取ったり、PVを上げるにはどうしたらいいかという提案をしたり、もしライターがいなければそれも請け負ったりと、とにかく何でもやります。
それと最近は、地方テレビ局のデジタル化や収益化にも力を入れています。それぞれの地域で頑張っている人たちがたくさんいるので、地域創生をこれからのもうひとつの軸にしていきたいですね。
── コロナ禍で海外に行けなくなって、国内旅行が見直されていますね。

藤田 日本国内には優れた農林水産物や観光資源などがたくさんありますから、それらをブランディングすることで地域を盛り上げていきたい。そのひとつの取り組みが山梨の日本ワインを活用した「Open Winery」です。山梨に旅行してもらって地の食材とともにワインを飲み、宿泊してもらうイベントを組んでいます。山梨に限らず、同様の取り組みを各地で行っていきたいですね。
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「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
── 具体的には、どのように?

藤田 1000人の漫画家が所属するエージェンシーも傘下に収めているので、食材や人にフォーカスした漫画で新しいレガシーを作ろうとか、京都で150年続く老舗料亭の「下鴨茶寮」や東京・麻布十番の「可不可」の宮下大輔さんと組んで、地域の農産物をすばらしい料理に仕立てていく取り組みもしていきたいと思います。

── すでに価値や魅力があるけれど、光の当たらない物や人に、企画の力でブランディングしていくということですね。
藤田 はい。ゴルフ事業もそのひとつです。僕はゴルフが大好きなんですが、レッスンプロがきちんと職業として成り立つようにしたいと思ってゴルフテックの会社も立ち上げました。

レッスンプロは、1時間いくら、という時間を売っているんですよ。それだとなかなか高収益には繋がらない。そこで開発したのは、レッスンプロが最適なクラブを生徒さんに勧めることのできるアプリです。ドライバーだけでも数百種類もあるから、無限にあるなかでシャフトの硬さやヘッドの形などを組みあわせてベストなものを提案する。

それで購入してくれたら、売り上げの何パーセントかをレッスンプロがもらえる仕組みにすれば、無店舗型のゴルフショップがたくさんできるわけです。それによって生徒さんもスコアが上がるわけだから、全員にとっていい結果となります。

── すばらしいアイデアですね。

藤田 我々はゴルフ界のZOZOになろうと思っていて。洋服選びの時に、身長と体重から割り出すZOZOサイズというのがあって、試着しなくてもジャストフィットの服を買えると評判なんですよ。つまり、SMLよりずっと確実性の高い、服選びのひとつの基準を作ったんです。

豊臣秀吉は、升という量を測る仕組みを取り入れた人と言われています。前社長の前澤友作さんは、アパレル業界の升を作った。僕らはゴルフ業界で升を作っていきたい。
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「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
── 藤田社長は常々、そういう「定量化」が大事だとおっしゃっていますね。

藤田 僕はもともとはすごく感覚的な人間で。でも、いろんなことを数値化、定量化したことにより業績も上向いてきた経緯があるから、あらゆるものをそうやって考えるようにしています。

たとえば出版業界も、以前は編集長が黒といえば黒、白といえば白という“勘ピューター”に頼ってきたでしょう? それはそれで長年の経験に基づく素晴らしいやり方なのですが、我々が定量化したデータをもとに企画やデジタルコンテンツの見せ方を提案すると、これがまたきちんと結果が出るんですよ(笑)。それによって、多くの出版社ともお仕事させていただいています。

── これから、さらに取り組んでいきたい事業はありますか?
藤田 今後の10年のために取り組んでいるのが、宇宙事業です。北海道大樹町にある、堀江貴文さんの会社インターステラテクノロジズはロケット事業をしていますが、そこに我々も出資して事業連携していこうと。いま宇宙産業は40兆円市場ですが、2040年には160兆円になるとも言われるすごい成長産業なんです。

堀江さんはロケットを打ち上げて衛星を宇宙へ運ぶのを目的としていますが、我々はソフトを担っていく。たとえば、農業において大事な土壌の窒素の含有量にしろ、水道管の水漏れにしろ、人工衛星から取得できるデータを分析することで高い精度で推定できると考えているので、それを進めていきたいですね。

あとは衛星によるインターネット事業です。世界にはまだ20億人くらいインターネットを使っていない人がいるので、その人たちに衛星によってアクセスしてもらうことができたら、20億人総取りですね。まさにインフラ革命と言えるものになると思います。
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未知なるジャンルでも、とにかく前に進み続ける

── 堀江さんは、ライブドアに勤めていらした頃の元上司ですね。これだけ多角的に、さまざまな事業を行うパワーの源はなんですか?

藤田 つい数日前ですけれど、堀江さんに「宇宙事業は計画をどれくらい立てて実行したんですか?」と聞いてみたら、「そんなのわかるわけないよ。何ができるかわからないけど、走るんだ。まずは、やってみること。やってみないと何も始まらないだろう」と、めちゃめちゃ怒られまして(笑)。でも実はそれって、僕がいつも社員に言っていることなんですよ。「あ、それでいいんだ」と改めて思いましたね。まずは、ノリよく始める。でも一度始めたら、粘り強くやる。その両方が大切です。
「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
── そういう価値観は、社会人になって徐々に形成されたんですか。

藤田 最初は広告代理店に普通にいるような若者でした。その後、ネットベンチャーを3~4社渡り歩くうちに筋金入りになっていった感じですかね。でもやはり、ライブドアの影響は大きかった。精神的にレベルの高い人たちが集まっていたので、かなり磨かれました。

── 現在、社員教育はどのようにやっていらっしゃいますか?

藤田 社員の平均年齢は30歳前後ですが、うちは新卒や入社して数年の若い人にも事業を任せています。そういった意味での自由はあるけれど、責任もきちんと求めるので、結果を出さなければいけないから、怠けることはできません。自由と責任はセットだといつも言っています。
── そんな藤田社長にとって、カッコいい大人とは?

藤田 チャレンジしている人。年齢に関係なく、行動も考えも含めて、つねに自分自身をアップデイトして挑戦ができる人ですね。自分を変えることができなくなったら、そこでおしまいだと思っています。

── 多忙な毎日だと思いますが、息抜きは何ですか?

藤田 競技ゴルフです。学生時代まではサッカーで、社会人になってから40歳ぐらいまでは、競技サーフィンをやってたんです。週4~5回は朝、海に入っていたんですけれど、首を悪くしてカラダがしびれるようになってしまって。それで競技ゴルフにしました。

── 競技で息抜きになるんですか(笑)。単なる趣味ではない?
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「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
▲ ゴルフダイジェスト・オンライン主催のアマチュアトーナメントで優勝経験をもつ藤田社長。
藤田 はい、趣味ではなく真剣です。競技としてやることでしか見えない世界があるので、それがすごく大事なんです。真剣だから、ゴルフ自体がストレスになることもあるけど、ストレスとストレスがぶつかると、それがなくなるとでもいうのかな。あと、自分はこういう試合の進め方をしているから仕事でもダメなんだなとか、いろんなことが連動するんですよ。それがいい。

── スコアはどれくらいですか?

藤田 僕は現在、ハンデ6です。自分的にゴルフは限界に来ているので、考え方とか行動など全部変えないといけない時期に差しかかってきているんですね。それでZOZOチャンピオンシップを観に行った時は、松山英樹さんのラウンドを4日間、追いかけた。「がんばれー!」とか言って、いろんな角度から松山さんを観ていたから、けっこうテレビにも映ってましたね。他の人に話したら、「それは推し活ですね」と言われました(笑)。

でもそれでわかったのは、いまの自分に足りないのは体力かな、と。だから、これからは筋トレをしようと思っています。
── 人生をフルに楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきます。では、ファッションについて何かこだわりはありますか?

藤田 最近、スーツを全然着なくなりました。20代の頃はスーツが大好きで、ゼニアとかロロ・ピアーナなんかを着ていましたけれど、どんどんカジュアルになって、どうしてもスーツを着る必要がある時はジャージ素材ばかりです。それ以外は大体、黒いTシャツに黒いパンツと決まっている。もともと実を取るというか、機能的かどうかが重要だと思っているところがあるので。
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「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
▲ 愛用時計はパテック フィリップ「アクアノート」。
── 時計の好みはありますか?

藤田 いま付けているのはパテック フィリップの「アクアノート」です。2012年頃に買って以来、こればっかりです。それまではオメガやロレックスを何度か買い換えていて、その螺旋階段から抜けられなかったんですけれど、パテックを買えばきっとほかのものは欲しくならなくなるな、と思っていたらその通りでした。この時計をしたままサーフィンやゴルフもするけれど頑丈というか、全然平気ですね。
── じゃあ、クルマはどうでしょう?

藤田 2014年からずっとテスラ「モデルS」に乗っています。当時はインターネットに繋がるクルマというのはそれ以外になくて。乗り続けていると、ナビとか車庫入れの機能とか、色々なソフトがどんどん追加されていくんですよ。ものすごく賢い。クルマも含めてこれからの家電はこうなっていくんだな、と感じます。ネット業界にいる人間は新しいものを使うことがやはり大切だし、イーロン・マスクは僕の師匠の堀江さんにとってのライバルなので、知っておかなければというのもありますし(笑)。

あとこの前、結婚10周年だったので、妻にポルシェ「911 カレラ」を贈りました。子供の保育園の送り迎えにも使ってくれています。
「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠
▲ 地方遠征の際にも活用しているキャンピングカー、デスレフの「グローブバス GT」。
── 格好いいお母さまですね(笑)

藤田 はい(笑)。あとは、キャンピングカーも持ってますね。アウトドアが大好きなんですけれど、テントを張るのが嫌で。それでキャンピングカーを買いました。この前も、ゴルフバッグとサーフボードを積んで、2週間ぐらいかけて北海道へ行ってきました。ゴルフの打ちっぱなしがあればそこで練習して、海にも入ったりして。その旅の途中で福島県知事や市長さんのところに寄って、一緒にお仕事させていただけることになったんです。

そうやって土地の空気を吸って、地の食材を食べて、膝を突き合わせて話をするというのが、やはりビジネスの関係性をつくっていくためにはとても大切なんですよ。
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「INCLUSIVE(インクルーシブ)」代表取締役社長、藤田 誠

■ Profile
藤田 誠(ふじた・まこと)

INCLUSIVE株式会社代表取締役。1997年、明治大学商学部卒。広告代理店勤務後、livedoorの広告事業に携わった後に独立。2007年に同社を設立し、さまざまなメディアのインターネット関連新規事業をプロデュースした。近年は、地域創生事業、ゴルフ関連事業、宇宙開発産業まで幅広いジャンルに注力している。

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