【国際関係学部】学部公認団体「PSIR」在日韓国・朝鮮人問題についての勉強会を実施しました

2023.06.14

2023年6月6日(火)昼休み、PSIR主催で在日韓国・朝鮮人問題についての勉強会が開かれました。この勉強会は6月28日の映画「ワタシタチハニンゲンダ!」上映会に先立って行われる3回シリーズの勉強会の1回目です。今回の勉強会では、在日韓国・朝鮮人の歴史や現状・抱えている問題について発表があり、さまざまな学びを得ることができました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 中野 莉子)

まず初めに、在日韓国・朝鮮人とはどのようなルーツを持っている人なのかという発表がありました。在日韓国・朝鮮人とは「日本の朝鮮植民地支配によって渡日し、戦後はさまざまな事情で朝鮮と日本を行き来し、現在、生活基盤を築いて日本社会に定住している人々」です(在日コリアン・マイノリティー人権研究センター)。彼らの歴史は日本による朝鮮の植民地化から始まっています。日本統治下、朝鮮人は、日本人としての生活やアイデンティティを強いられました。戦時中、日本に渡った朝鮮人は、各地で肉体労働に従事していました。戦争が終わると日本から朝鮮半島に帰還する人もいましたが、GHQの政策変更から帰ることができず、そのまま日本に定住せざるを得ない人もいました。日本に残った朝鮮半島出身者は、貧困に苦しみ、様々な差別に直面してきました。他方で、自分たちの文化やアイデンティティを守るため、戦後すぐに民族教育を始めたことなどが紹介されました。
発表者の国際関係学部3年次 進藤 天真さん(左)、長谷川 彩乃さん(右)
次に、在日韓国・朝鮮人に対する差別問題について実際の事例が2つの視点から挙げられました。まず1つ目の視点は「個人」による差別、ヘイトスピーチ/クライム(特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる、嫌がらせ、脅迫、暴行)です。具体例としては、京都朝鮮学校襲撃事件やチマチョゴリ切り裂き事件が紹介されました。この差別の背景にはメディアの影響が大きくあることを知り、その影響力と私たちの持つ先入観や偏見に深い結びつきがあることがわかりました。2つ目の視点は「構造」からの差別です。これは主に国や政府の政策や法律による差別で、実例としてインターハイ問題や国立大学受験問題など教育の場での差別が挙げられました。いずれも朝鮮学校で学ぶ生徒にスポーツ大会への参加や受験の機会を与えないもので、これらの制限はもう廃止されているとはいえ、国による教育の場での差別の深刻さと当時の日本の考え方の残酷さを考える機会となりました。

そして最後に、在日コミュニティについて発表がありました。日本ではたくさんの在日韓国・朝鮮人のコミュニティがありますが、勉強会では京都の宇治にあるウトロ地区が紹介されました。同地区には、ウトロの住民の歴史や困難を乗り越えた記憶や思いを伝えるウトロ平和祈念館があるということを聞き、ぜひ一度訪れたいと思いました。

慰安婦問題やレーダー照射事件などによって日韓関係が悪化する中、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトクライムが起こり、日本社会で大きな問題となっています。勉強会の発表を聞いて、在日韓国・朝鮮人がなぜ日本に今も多く住んでおり、どのような境遇で生きてきたのかについて理解を深めることができると共に、今なお続く差別をなくすには何が必要なのかを考える必要があると感じました。

今回の勉強会は在日韓国・朝鮮人についてでしたが、あと2回勉強会があり(6月15日外国人実習生問題、6月20日入管問題)、6月28日には映画「ワタシタチハニンゲンダ!」の上映会・監督とのオンライントークセッションもあります。この機会に在日外国人の人権について問題意識をしっかり持ち、学んでいきたいです。

発表後の意見交換・質問の様子
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