保育園の暴行事件受け、文科省が事務連絡 文科相「大変遺憾」

保育園の暴行事件受け、文科省が事務連絡 文科相「大変遺憾」
閣議後会見で事務連絡の発出を明らかにした永岡文科相
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 静岡県裾野市の保育園で、園児に暴行を加えたとして元保育士3人が逮捕された事件を受けて、文科省は都道府県教委や国立大学法人などに対して、所管する幼稚園および特別支援学校幼稚部で不適切な保育がないよう注意喚起する事務連絡を発出した。12月9日の閣議後会見で発出を明らかにした永岡桂子文科相は「子供の安全が最も必要で配慮されるべき保育園において、このような事案が起こったということはあってはならないこと、大変遺憾に思う」と述べ、今後も不適切な保育に対し、厚労省や内閣府と連携して対応にあたるとした。

 事務連絡では、幼稚園および特別支援学校幼稚部で行う教育活動では、幼児の発達段階等を踏まえながら、幼児の主体的な活動が促されるよう配慮していくことが大切であり、幼児の心身に悪影響を及ぼすような不適切な保育はあってはならないと強調。加えて、全ての幼児が個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、一人一人の特性に応じた保育を行う必要があるとした。

 その上で、①幼稚園等における不適切な保育に関する対応②幼稚園等における不適切な保育が認められた場合の対応③教員免許状の失効――の3点に分けて記載した。

 不適切な保育について、「正常な倫理観を養うことはできず、むしろ子供に力による解決への志向を助長させ、暴力行為などの連鎖を生む恐れがある」と強調。教員が子供一人一人をよく理解し、適切な信頼関係を築くために、日頃から自らの指導の在り方を見直し、指導力の向上に取り組むことが必要であるとした。加えて、初めは不適切な保育には当たらず、見過ごされてしまうようなものであっても、繰り返されていくうちに問題が深刻化することもあり得るため、早い段階で改善を促すことを呼び掛けた

 不適切な保育が認められた場合、所轄庁は事態の重要性に応じて、担当部局にとどまらず、組織全体で事案を共有した上で、事実関係の確認を行う場合は「相談者や幼稚園等関係者から丁寧に状況等を聞き取りつつ、事実関係を正確に把握すること」を求めた。また、幼稚園等が適切な対応を行わない場合、事案の発見者は一人で抱え込まずに、速やかに所轄庁に設置されている相談窓口や担当部署に相談することが重要であるとした。

 教員免許状については、禁錮(きんこ)以上の刑に処せられたほか、懲戒免職や不適格を理由に解雇などになった場合、教員免許状の失効もしくは取り上げの対象となると明記した。

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