2024.2.26

ひな祭りには何を食べる?定番からおすすめ、地域差による違いをご紹介

ひな祭りには何を食べる?定番からおすすめ、地域差による違いをご紹介

毎年3月3日は「ひな祭り」。ひな人形を飾ったり、桃の節句にちなんだ食べ物を用意して子どもの成長をお祝いするご家庭も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ひな祭りで食べる定番の食べ物やその由来、地域による違いについて解説します。後半では、ひな祭りにおすすめのレシピもご紹介するので、ぜひご覧くださいね。

  • 目次
  • ひな祭りで食べる定番のものは?
  • ひなあられ
  • 菱餅
  • ちらし寿司
  • はまぐりのお吸い物
  • 白酒、甘酒
  • ひな祭りにおすすめの食べ物は?
  • 桜餅

ひな祭りで食べる定番のものは?

「ひな祭り」は、女の子の健やかな成長と幸せを願う行事。ひな人形や桃の花を飾ったり、ひなあられを食べるなど、ひな祭りならではの習慣がたくさんありますよね。そのなかでも、今回はひな祭りの食べ物にスポットを当ててご紹介します。まずは定番のものから見てみましょう。

ひなあられ

ひな祭りの食べ物といえば、多くの人が「ひなあられ」をイメージするのではないでしょうか。ピンク、白、緑のカラフルな色合いがかわいらしいお菓子ですが、ただかわいいだけではなく、それぞれの色に意味があるんです。

ピンク色は「生命」、白色は「雪の大地」、緑色は「新緑の芽吹き」を表し、「自然のエネルギーを受けて、健康に育ちますように」という意味が込められているのだとか。

また、この3色に黄色も加わった4色のひなあられもあります。4色のひなあられは春夏秋冬を表していて「一年を通して健康で過ごせますように」という願いが込められているんですよ。

菱餅

ひな人形のまわりにも飾られる「菱餅」。名前の通り菱型をしていて、ひなあられと同じくピンク色と白色、緑色の3色のお餅が重なっており、春の情景を表していますが、ほかにも意味があります。

緑色のお餅には、生命力が強く邪気を払うとされる「よもぎ」が入っています。これは、ひな祭りの起源ともなった中国の「上巳節(じょうしせつ)」で母子草(ハハコグサ)という植物を入れたお餅を食べていたことが由来です。白いお餅は繁殖力が強く、子孫繁栄や長寿を象徴する「ひしの実」が入っています。そして「クチナシ」で色付けされたピンク(赤)のお餅には、魔除けの意味があるのだそうです。加えて不老長寿の力を持つとされる桃の花を表しているともいわれています。

ちなみに菱餅が菱形なのは、繁殖力の強いひしの実の形を模している、心臓の形を表しているなど諸説あるようです。

ちらし寿司

ちらし寿司には「長寿」を意味するエビ、「遠くまで見通せる」レンコン、「金銀財宝」を表す錦糸卵といった縁起のよい具材がよく使われますよね。見た目も華やかでお祝いの席にぴったりな一品であるため、ひな祭りの定番になったようです。

ちなみにひな祭りに限らず、お祝いの席でちらし寿司が食べられるようになったのは江戸時代からだといわれています。そして、ひな祭りの定番となったのは大正時代以降なのだそうです。

はまぐりのお吸い物

ひな祭りで食べられるお吸い物に、はまぐりが使われるのには理由があります。二枚貝であるハマグリの貝殻は、もともと対になっている貝はぴったりと隙間なく合わさりますが、別の貝殻をくっつけてもぴったりと合うことはありません。このことから、仲のよい夫婦の象徴とされており「よい相手と結ばれ、その人と末永く幸せになりますように」という願いが込められているのです。

白酒、甘酒

白酒(しろざけ)とは、もち米と米麹を原料にしたお酒です。蒸したもち米に米麹、みりん、焼酎を混ぜて約1ヶ月ほど熟成させ、できあがったもろみをすりつぶして造られます。とろみがあり、白く濁っているので甘酒に似た見た目をしていますが、アルコール度数は9〜10%前後で、酒税法ではリキュールに分類されるため、子どもは飲めません。また、家庭で造ることも禁止されています。

そんな白酒が、ひな祭りに飲まれるようになった理由には諸説あります。一つは、上巳(じょうし)の節句とともに中国から伝わってきた「桃花酒(とうかしゅ)」がもとになっているというもの。もともとは桃の花を酒に浮かべたこの桃花酒を飲んでいたそうですが、江戸時代になるとこれが白酒に変わりました。お腹に大蛇を宿した女性が3月3日に白酒を飲んで、大蛇を追い出したという逸話があり、厄除けの意味も込めて女の子に白酒を飲ませるようになったのだそうです。

もう一つは、酒屋の主人が夢の中でお雛様に白酒の作り方を教えてもらい、それを作って売ったところ江戸中の人気になったのがきっかけだったという説です。

ただし、上記でも解説したように白酒はアルコール飲料なのでひな祭りの主役である子ども、また未成年は飲むことができません。そのため、ひな祭りでは白酒と見た目や材料が似ているノンアルコールの甘酒が飲まれるようになりました。

ひな祭りにおすすめの食べ物は?

上記でご紹介した定番の食べ物以外にも、ひなまつりを盛り上げるのにぴったりの食べ物はまだまだあります。桃の節句にぴったりな色合いのものや、お雛様に見立てたかわいらしいものなど、以下でチェックしてみましょう。

桜餅

ひな祭りに「桜餅」を食べる理由はいくつか考えられますが、子どもの日である端午の節句に柏餅を食べる習慣の対として、ひな祭りには桜餅を食べるようになったようです。ピンクと緑色の春らしい色合いが、3月という時期にぴったりですよね。

いちご大福

春から旬を迎えるいちごを使った「いちご大福」も、ひな祭りにおすすめの食べ物。ひな祭りでは求肥に着色したり、着物の衿(えり)のように左右で重ねてひな人形のような見た目に仕上げて販売するお店もあるようです。おうちでも試してみたいですね。

手まり寿司

小さく丸めてあり子どもでも食べやすい手まり寿司も、ひな祭りでよく食べられるメニュー。マグロやサーモン、エビ、卵など、明るくカラフルな具材を使った華やかな見た目は、ひな祭りを盛り上げるのにぴったりですよ!

草餅

菱餅の解説でも触れましたが、古代中国の上巳節で食べられていた母子草の草餅がもととなって、日本では邪気を払うとされる「よもぎを使った草餅」が食べられるようになりました。ちょうどひな祭りの頃から旬を迎えるよもぎを使った和菓子は風味がよく、季節を感じられる香りを楽しめます。

ケーキ

子どもがよろこぶケーキを用意するご家庭も多いですよね。ケーキは洋風でも、生地に緑色やピンクの着色をして菱餅風にしたり、桃の花やひな人形の飾りをするなど、ひな祭り風のデコレーションを楽しむことができますよ。

三色だんご

ピンク色と白色、緑色の三色だんごは、ひな祭りにぴったりの色合いなので準備するご家庭も多いようです。上新粉や白玉粉などを使っておうちで簡単に作れるので、子どもと一緒に作って楽しむのもおすすめですよ。

関西と関東での違うひな祭りの食べ物

これまでにご紹介したひな祭りの食べ物のなかには、関東と関西で見た目や味に違いがあるものもあります。住んでいる地域によってはイメージしているものが違うかもしれません。以下でチェックしてみましょう。

ひなあられ

ひな祭りが近くなるとスーパーなどでもひなあられが並び始めますよね。ですが、関東と関西ではそのひなあられに違いがあるんです!以下で確認してみましょう。

■関東
関東のひなあられは、米に圧力をかけてはぜた、いわゆるポン菓子。これに砂糖などでコーティングをした甘い味つけです。これは、江戸時代に縁起物として流行っていた爆米(はぜ)というお菓子がもとになっています。

■関西
一方、関西のひなあられは、餅から作られたもの。直径1cmほどで、しょうゆや塩などで味つけされた、俗に言うあられです。ひな祭りの菱餅やお正月のお餅の残りを砕き、炒って作ったのが始まりだったなどといわれています。

桜餅

桜餅は、生地がピンク色であることや餡を包むこと、桜の葉で巻くことは共通していますが、関東と関西では生地に大きな違いがあるんです。

■関東
関東風の桜餅は「長命寺(ちょうめいじ)」とよばれています。長命寺は生地を小麦粉で作っているのが特徴で、生地をクレープ状に焼き、餡を生地で挟んだり巻いて作られます。

■関西
関西風の桜餅は「道明寺(どうみょうじ)」。もち米由来の道明寺粉を使っているのが特徴です。おはぎのようなつぶつぶとした食感があります。

ちらし寿司

お祝いの席にぴったりなちらし寿司。見た目が華やかなのは共通していますが、関東と関西では具材や作り方が違うようです。

■関東
関東のちらし寿司は、酢飯の上にお刺身などの具材をのせて、華やかに仕上げたものが一般的です。江戸前ちらしと呼ばれることもあります。

■関西
一方、関西でのちらし寿司は、酢飯の中に味つけした野菜やしいたけなどの具材を混ぜ込んで作られるのが主流で、ばら寿司とも呼ばれます。このばら寿司の上に、さらに細かく切った具材をのせたものもあり、そちらはばらちらしと呼ばれます。ご家庭にもよりますが、必ずしも具材に刺し身が使われるわけではないようです。

ひな祭りの食べ物の地域による違いは?

ひな祭りの風習には地域によって違いがあります。

例えば、関東と関西では男雛と女雛を置く位置が逆だったり、雛人形をしまうタイミングも地域によって異なるようです。一般的にひな人形は3月3日が過ぎたら早めにしまう方がよいとされていますが、北陸地方では4月3日ごろまで飾るのだとか。諸説ありますが、これは旧暦が関係しているとも言われています。

またこのような風習だけでなく、ひな祭りの食べ物にもその地域ならではのものがあるようです。以下で確認してみましょう。

甘納豆のお赤飯(北海道)

お祝いの席でよく食べられるお赤飯。全国的には小豆やささげを使いますが、北海道では甘納豆を使います。ごはんがピンク色で、甘みがあるのが特徴です。

すあま(関東)

すあまとは、上新粉で作る餅菓子のこと。ピンク色に着色され、一見するとかまぼこのような見た目をしています。作り方は、お店や作り手によって異なるようですが、お湯を加えた上新粉を蒸して砂糖を混ぜ、杵でつき、練り上げて作られます。

縁起のよい鶴の卵の形に成型されることもあり、関東ではお祝いのお菓子として親しまれていますが、関西ではあまり知られていないようです。

からすみ(岐阜県)

からすみと聞くと珍味をイメージする方が多いかと思いますが、ここでいうからすみは、上新粉と砂糖を練って木の型に入れて蒸したお菓子です。切ると断面が富士山のような形になり「子どもが日本一になれますように」という願いが込められています。

愛知県や岐阜県の一部には、3月3日に「お雛様見せて」と言いながら近所の家々を周る「がんどうち」という行事があり、そのときにこのからすみが配られていたそうです。

おこしもの(愛知県)

熱湯を加えて練った米粉を型に詰めてから取り出し、色粉で色をつけたお菓子です。「おこしもん」や「おこしもち」と呼ばれることも。桃や桜などの花、鯛、蝶、宝船など、さまざまな形があります。白い生地にピンク色やオレンジ色、黄色、緑色といった淡い色がつき、カラフルでかわいらしい見た目をしているのが特徴です。

これをお雛様にお供えしますが、時間が経つとかたくなるので、お供えした後は焼いて砂糖じょうゆなどをつけて楽しみます。

伊賀まんじゅう(愛知県)

愛知県の節句菓子として先ほど「おこしもの」をご紹介しましたが、愛知県の西三河地域では「伊賀まんじゅう」をひな祭りのお菓子として食べる風習があります。

伊賀まんじゅうとは、米粉で作った生地であんこを包み、ピンク色や黄色、緑色に着色したもち米を表面につけたお菓子のこと。京都や九州にもありますが、ひな祭りに食べる風習があるのは愛知県の西三河地域だけだそうです。

ひちぎり(京都府)

ひちぎりとは、あんや小麦粉で作った台座の上に、きんとんや粒あんをのせた生菓子です。「ひきちぎり」や「ひっちぎり」などとも呼ばれます。

諸説ありますが、平安時代から宮中の儀式で用いられていた「戴餅(いただきもち)」が由来という説が濃厚なようです。宮中で人手が足りず、餅を丸める手間を省き、ひきちぎったことが名前の由来なのだとか。京都ではひな祭りのお祝いに欠かせないお菓子の代表格なんですよ。

三色ゼリー(京都府)

京都にはひきちぎりのほかにも、ひな祭りで定番のお菓子があります。京都の学校では桃の節句の時期になると、給食で三色ゼリーが出るというのが定番なのだそうです。菱餅にそっくりの見た目でメロンとヨーグルト、りんご風味の三色のゼリーが重なっています。

ひな餅(島根県)

ひな餅は島根県の、主に出雲地方に伝わるひな菓子です。米粉で作った生地であんを包み、ピンク色や黄色、緑色で差し色をつけて蒸したもので、亀や巾着、桃の花の形のものがありますが。これは餅を成形する際、素焼きの型に入れて作るからなんですよ。

島根県では、ひな祭りに各家庭でひな餅を作り、家族で食べたり近所に配るといった風習があるのだそうです。

おいり(鳥取県)

おいりは、干した米を炒って水飴で固めたお菓子です。原料はお店やつくり手によってさまざまで、白米以外に玄米やポン菓子、米粉、小麦粉なども使われます。鳥取県の因幡地方で伝統的に食べられているひな祭りのお菓子で、生姜が入っているものが多いのだとか。生姜の風味が効いたスッとする甘みが特徴です。

桃カステラ(長崎県)

桃カステラとは、長崎カステラの上に桃をかたどった砂糖菓子をのせたもの。もともとは、初節句のお祝いへのお返しとして親戚や友人に送るものでしたが、今ではひな祭りはもちろん、結婚や出産のときの縁起物として親しまれています。砂糖菓子がのっているので甘そうな見た目をしていますが、カステラ部分の甘さは控えめで、上品な味わいを楽しめます。

ひな祭りにおすすめのレシピをご紹介!

さてここからは、おうちで作れるひな祭りにおすすめのレシピをご紹介します。華やかでかわいらしい手まり寿司や、白玉粉で作る関東風桜もちなど、絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。

家族でワイワイ 簡単ちらし寿司

ひな祭りの定番料理、ちらし寿司をお手軽食材を使って作ってみましょう!鮭フレークやカニカマを使うので、小さな子どもでも食べやすいですよ。いくらをトッピングすればキラキラとした華やかな見た目に仕上がり、家族で楽しむひな祭りにぴったりな一品ができあがります。

ひな祭りにカワイイ手まり寿司

コロンとした見た目が可愛らしいい、手まり寿司のご紹介です。丸めた酢飯に具材をのせてから、もう一度ラップを巻いて丸め直すことで、きれいな形に仕上がりますよ。子どもの好きな具材を使って作ってみてくださいね。

お祝いの席に ハマグリのお吸い物

ハマグリの旨味たっぷりのお吸い物はいかがでしょうか。解説にもありましたが、ハマグリは良縁を願う縁起物としてお祝いの席には欠かせない食材です。さらに「縁結び」という意味もある結び三つ葉を添えれば、より縁起のよい一品に!ぜひ三つ葉を結んで添えてみてくださいね。

簡単美味しい 甘酒プリン

食後のデザートに、甘酒プリンを作ってみましょう。ふわっとやわらかな食感と甘酒の香りで、ほっこりと幸せな気分になれそうな一品。ピンク色の見た目もとってもかわいいので、ぜひひな祭りで楽しんでみてくださいね。

手作り桜もち

薄く焼いた生地でこしあんを巻いた、関東風の桜餅のご紹介です。もちもち食感の生地と甘いつぶあん、桜の葉塩漬けの塩気がマッチして、とってもおいしいですよ。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

ひな祭りの食べ物を楽しもう!

今回は、ひな祭りの食べ物の由来や、地域による違いを解説し、おすすめレシピをご紹介しました。ひな祭りの食べ物は見た目で楽しめるものも多く、食卓に並べるだけでもワクワクしますよね。クラシルでは今回ご紹介したレシピ以外にも、ひな祭りにぴったりなレシピがたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください。

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2024.2.26 最終更新

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