勝山の漁港から２キロ足らずの丘の上に、かつての中学校の跡地を城西大学の教育施設、多様な展開を担うセミナーハウスとして再生し、地域に貢献する施設とすることが求められた。ここでは大学のゼミ活動や部活動の合宿に加え、地元の人々への公開講座が定期に行われている。 1期工事では、セミナーが可能な最小限の施設が求められた。セミナールーム、カフェテリア・ラウンジ、ドミトリー（1期は約50人程度の宿泊が可能）、ジャグジープール等を低層の分棟で配置し、各棟を開放廊下やデッキテラスでつなぐ。丘の麓からはその形状が意図的に主張しない低層建築の連結による構成とした。敷地へのはじめのアプローチは、壁の向こう側は気配を感じさせ、あえて建築の全貌を見せないつくり方を意図した。 柱、梁の集成材は、RC造による内部架構を覆うかたちで地上2層分の空間を内包する。木造架構による軽快で広い空間を確保するため、一部鉄骨架構によって木造架構の支持と地震・強風による水平力のRC造への伝達とを担っている。 集成材による架構越しに広がる自然を取り込む、心地よい空間の奥行きと広がりは、半屋外空間を介して、ガーデンに開くドミトリーやセミナールームへ連なる風景が展開し、さらに２階のカフェテラスへ上がると内房の海を望む美しい眺望が広がってゆく仕掛けとなっている。