計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

ロードセルとは?動作原理と実用例を解説

2022.11.07

荷重を計測するのに役立つ機器としてロードセルが挙げられます。ロードセルは、私たちの日常を支えるさまざまな機械に活用されている重要な計測器の1つです。今回は、ロードセルについて、動作原理、種類、使用例も含めて解説していきます。

 

ロードセルとは?

ロードセルとは、測定される力をその大きさに比例した電気信号に変換する変換器のことです。ロードセルを用いることで、機械的な力を電気信号として処理できるようになるので、荷重の分布や時系列での変化をより簡単に計測・集計できるようになります。ロードセルは、単純かつ堅牢な構造になっていて、その精度は±1%から、高精度のタイプだと±0.1%を下回るものまであります。耐久性にも優れていて、長期間にわたって安定性および信頼性の高い計測結果を提供してくれるので、さまざまな分野で活用されている機器です。

 

ロードセルの動作原理

一般的なロードセルの内部にはひずみゲージと呼ばれる抵抗器が内蔵されています。ひずみゲージとは、フィラメント状の導電体が絶縁シートに貼り付けられたものです。ひずみゲージの絶縁シートが伸ばされると、導電体が伸びたり細くなったりして電気抵抗が増加します。

ロードセルの中には、このようなひずみゲージを何個も配置されていて、一般的には4個のひずみゲージを使ってホイートストンブリッジと呼ばれる回路が形成されています。ホイートストンブリッジのひずみゲージが変化して電気抵抗が増減することで、微小な電圧が出力されるのです。この微小な電気信号を増幅させることで、荷重を数値として表示できる仕組みになっています。

ロードセルの出力の単位は、mV/Vです。たとえば、定格容量が50Nで、20mV/Vの出力の場合、50Nの負荷で印加電圧が1Vのときに、20mVが出力されます。

 

ロードセルの種類

ロードセルには、さまざまな分類方法があります。ここでは、荷重方向による分類と、形状による分類について解説していきます。

 

|荷重方向による分類

ロードセルで計測する荷重は、一般的に圧縮方向と引張方向の2つです。ロードセルの中には、圧縮方向だけを測定できるものと、圧縮方向と引張方向の両方を測定できるものがあります。重量を測るような単純なロードセルだと圧縮方向のみの計測で問題ありませんが、引張力の計測が必要となる試験では引張方向を測定できるロードセルが必要です。

また、計測できる軸も1軸方向だけでなく、2軸、3軸の荷重を測れるものや、トルク計測できるようにねじり方向まで加えた6軸の荷重を測れるものもあります。

 

|形状による分類

ロードセルの形状には、大きく「ビーム型」、「コラム型」、「S字型」、「ダイアフラム型」の4つがあります。

■ビーム型
ビーム型とは、一端が固定され、もう一端が自由に動く、飛び込み台のようにたわんで荷重を計測するタイプです。ビーム型ロードセルは、曲げ荷重やせん断荷重を計測するのに特に適した形状のロードセルです。高精度のロードセルで、1トン程度までの荷重域で用いられます。

■コラム型
コラム型とは、ボディが円柱形状になっていて、円柱の高さ方向にかかる荷重を測定できるタイプです。コラム型ロードセルの内部には、圧力を受けて変形する金属製のスプリングがあり、スプリングに設置されたひずみゲージが変形を電気信号に変換します。大きな荷重を測定する場合により適したタイプです。

■S字型
S字型とは、その名の通り、S字型をしているロードセルです。S字の真ん中の棒にバネがあり、荷重がかかると変形し、荷重を除くと元に戻るようになっていて、ひずみゲージによってその変形を電気信号に変換します。S字型は、圧縮荷重、引張荷重の両方を測定するのに適していて、1トン程度までの荷重域で用いられます。引張強度試験機や、材料疲労試験機などに用いられるのも、このS字型のロードセルです。

■ダイアフラム型
ダイアフラム型とは、円型の形状をしたロードセルです。円の裏型に貼り付けられたひずみゲージを使って、主に圧縮荷重を検知する目的で用いられます。高さを低くできるメリットがある一方で、精度が他のタイプに比べてやや劣るデメリットがあります。

■超小型Honeywell製のFMAシリーズ

FMAシリーズは、規定フルスケールフォーススパンおよび温度範囲においてフォースをレシオメトリックでデジタル出力するピエゾ抵抗ベースのフォースセンサです。輸血ポンプやシリンジポンプ、人工透析装置、手術用ロボットの医療用途での使用や、一般産業用途では重量測定器、ロボット製品、コーヒーマシーン、タッチパネルに適しています。

Honeywell製FMAシリーズ 詳細はこちら⇒

 

ロードセルの使用例

ここからは、主なロードセルの使用例を3つ紹介してきます。

|計量器具

電気表示式の台はかりや、体重計などの計量器具でもロードセルが用いられています。産業用途の計量だと、タンクの内部にある液体等の重量を把握する目的でのロードセルの使用例があります。

|医療機器

ロードセルは医療用器具でも用いられています。代表的なのが、点滴バッグの液体や生理食塩水の重量を計測し、点滴バッグへの補充が必要となるタイミングを検出する目的での使用です。ほかには、骨や組織の損傷を防ぐために、手術中の外科医にフィードバック情報を提供したり、手術後やリハビリ中の筋肉の状態に関する情報提供したりするときにもロードセルが使われます。さらには、医療現場で使われる重要な部品や薬剤の在庫を遠隔監視して、適切なタイミングで補充するための在庫管理システムの一部としても用いられているのもロードセルです。ロードセルを人工関節がある義足に搭載することで、地面と義足との間の反応を正確に測定することも可能になります。

|荷重・衝撃試験

ロードセルは材料や製品の強度を調べるための試験でよく用いられます。たとえば、材料の引張試験や曲げ試験、自動車の衝突試験などが典型的な使用例です。ロードセルを使えば、荷重の大きさ、時系列での変化を正確に読み取れるので、材料の物性や製品の基本的性能を理解する上で役立てられています。

 

クローネが取り扱うロードセルの製品

|OEM向け・低価格


ヘススケア用機器、家電品組み込み等大量生産に対応しているロードセルになります。
⇒FX19シリーズ(低コスト)

⇒FS20シリーズ(超低荷重測定)

⇒FC22シリーズ(低荷重測定)

⇒FC23シリーズ(高荷重測定用)

⇒FS19シリーズオールステンレス

|高荷重対応

建築物荷重制御、各種装置荷重計測・制御等に対応しているロードセルになります。

⇒ELHMシリーズ 高精度、金属ストレインゲージタイプ

⇒ELHSシリーズ高出力、高応答速度対応

⇒FN3002シリーズ高精度、高荷重対応

⇒FN2420シリーズ超高剛度、超高荷重レンジ対応

⇒FMTシリーズ高剛度、高温対応(オプション)

⇒FN1010シリーズ高荷重対応

⇒FN3050シリーズ高精度

⇒FN3000シリーズ高精度

⇒FN7325シリーズ3軸荷重・3軸トルク同時計測

|その他のロードセル

株式会社クローネでは、医療分野、ロボット分野などをはじめとした多数の産業分野における荷重計測に適したロードセルを豊富に取り揃えています。
「ロードセルの導入を検討したいけど、どの製品が最適か迷っている」という方は、株式会社クローネの専門スタッフまで、ぜひ一度ご相談ください。
⇒製品情報はこちら

 

まとめ

ロードセルは、用途、荷重域、精度などに応じて適切なタイプを選定する必要があります。株式会社クローネでは、自動車、産業機器、航空宇宙、医療分野などに向けて計測機器を開発・販売しているTE Connectivity社のロードセルを多数品揃えしています。「ロードセルの導入を検討したいけど、どれがよいかわからない」という方は、ぜひ株式会社クローネまでご相談ください。専門スタッフがすぐに対応いたします。

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