• 印刷
桂吉弥さん ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋 当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)
拡大

桂吉弥さん

ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋

当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)

  • 桂吉弥さん
  • ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋
  • 当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)

桂吉弥さん ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋 当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)

桂吉弥さん

ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋

当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)

  • 桂吉弥さん
  • ラジオ番組出演後、中之島から尼崎の自宅までランニング。橋の上で小休憩。吹き出す汗が心地よい=十三大橋
  • 当時の神戸大学落語研究会のメンバー(手前、横になっているのが吉弥さん)

-落語家を目指したきっかけは

 両親がともに教師で、自分も教師になるんだろうと思い込んで進学したのが神戸大学の教育学部(当時)。入学して友人と学内を歩いていると、かわいい着物姿の女子学生から「今から落語やるから見ぃひんか」と声をかけられまして。それが今の嫁さんですけどね。ごく軽い気持ちで行ったら、これがめちゃくちゃ笑えてそのまま落語研究会に入った。部室で先輩らが、生で聞いた米朝師匠、枝雀師匠の落語がどれだけ面白かったかを興奮気味に話すのを聞いて「もっとすごい世界があるんや」とひかれていった。

 転機は4年生の時に出会った桂吉朝師匠の落語だった。すっかりはまって追いかけるようになり、就職活動の時期になって「やっぱり自分には落語しかあらへんな」と。よく通っていた銭湯で仲良しになったサウナ仲間のおっちゃんにも相談したら「やるだけやってみいや」と背中を押してもらえた。

 5年生の4月、吉朝師匠に「入門したいので会ってほしい」と手紙を書いて、通い続けるうちに「お前本気やな」ということで9月に入門させてもらった。

-学生時代に阪神・淡路大震災に遭った

 卒業前の1月17日、住んでいた灘区のアパートの部屋は冷蔵庫や本棚が倒れ、窓を開けると電信柱がぽっきり折れているのが見え、ガスの臭いもしてきた。夜が明けてきてから、バイクに乗って落語研究会の部員の安否確認に走った。

 翌日、地方から来ている落研の部員を連れて大阪・茨木の実家に一時避難し、そこから神戸へ通うようになった。1週間して吉朝師匠にようやく連絡が取れた時には「生きとったんか」と。

 学生時代にずっと子どもたちのキャンプリーダーをしていた関係で、2月は被災者のボランティアに走り回っていた。救援物資を運び、お年寄りのマンションを訪ねて掃除ボランティアもした。

 3月1日から尼崎の米朝師匠の家で、預かり弟子という形で住み込みが始まったが、被災地がさあこれから立ち上がっていくぞという時に関われないことに、後ろめたさを感じていた。ただ、一門で被災地の避難所へ慰問落語に行く際には、必ず連れて行ってもらえたのがうれしかった。その後も、被災地の皆さんとしゃべりたい、笑ってもらいたいという強い気持ちがあり、神戸朝日ホールでの独演会や、文之助さん、九雀さんと2カ月に1回開いている新開地での落語会などを続けてきた。

-マラソンとの関わりは

 嫁さんが島根県安来市出身という縁で、ふるさと大使に任命されて、市が主催している「なかうみマラソン」に「ゲストランナーで走ってみぃひんか」と言われたのがきっかけ。高校時代はサッカー部の練習でよく走っていたし、走ることには抵抗はなかった。その練習をきっかけに、たばこもやめることができた。

 1回走ってみると欲が出るもので、フルマラソンを走ってみたいなあ、と思っていたところ、テレビ番組の企画で第3回大阪マラソン(2013年)に出場できることになった。練習は、尼崎の自宅を出て、一緒にラジオをやっている桑原征平さんの西宮の自宅まで走り、何も言わずにそっと折り返して帰る15キロのコース。そのことを征平さんに話したら「気色悪いなおまえ、来たら言えよ」って怒られたけど。何か目標ないと走られへんので。

-初のフルマラソンの感想は

 こんなしんどいことが世の中にあるのか、というくらいしんどかった。落語の修行の方がまだ楽だった。それでも最後まで歩かずにゴールしようと誓ってなんとか走りきり、4時間40分ほどでゴールできた。沿道の声援では、歩いているランナーに対して「お前のせいで走られへんやつもおんのに、なんで歩いてるんや」とか「しんどうても倒れへんから走れ」とか。そら大阪の人はきつい。それでも最後の南港大橋渡ってからは人もおらんようになるので、ないよりましなんですけどね。

 第4回も連続して走った。1回目にまあまあ走れたもんやから「いけるやろ」と油断して、練習もおろそかになっていたが、それが見事に結果に出て5時間以上かかってしまった。それで、次はちゃんと練習を積んで走らなあかん、もう1回4時間台を出したい、と思っていたところへ、今回神戸マラソンのフレンドシップランナーのお話をいただいた。

-神戸マラソンに臨む気持ちは

 落語と出合い、落語家になる気持ちを固めてくれた神戸に「ありがとう」という思いを込めて走りたいと思っている。走ることが決まって、神戸の多くの方からたくさん連絡をもらえたのがうれしかった。大会当日は「吉弥って大学、神戸やったな」とか「最近顔見るようになったな」と思っていただけるだけでも、神戸への恩返しになるかなと思っている。

-落語とマラソン、通じるところは

 日ごろから、無駄と思えるようなことでも準備を怠らず、目先のことを追わずに地道にこつこつと基礎を身に付けた人が、結局は最後にいい落語ができるようになるし、マラソンでも好記録が出るんやろなあ、ということを感じている。今回は神戸マラソンに向けて水泳も始め、少々雨が降ろうが萎(な)えることなく走り込んでいる。目標の4時間30分を目指して走るので、応援よろしくお願いします。

▽かつら・きちや=本名・富谷竜作(とみや・りゅうさく)1971年大阪府茨木市生まれ。府立春日丘高、神戸大教育学部卒。在学中の1994年11月に故・桂吉朝に入門、同12月に大阪・太融寺「吉朝学習塾」で初舞台。07年NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」に「徒然亭草原」役で出演。08年文化庁芸術祭新人賞受賞。現在はテレビ、ラジオで情報、バラエティー番組のレギュラーを数多く務める。

2016/10/20
 

天気(5月7日)

  • 23℃
  • 18℃
  • 60%

  • 24℃
  • 17℃
  • 50%

  • 23℃
  • 18℃
  • 90%

  • 24℃
  • 18℃
  • 90%

お知らせ