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雪が積もる中、現場を調べる捜査員ら=2011年2月、三田市小野
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雪が積もる中、現場を調べる捜査員ら=2011年2月、三田市小野
黒郷橋から見えるブルーシートで覆われた人骨発見現場=2011年2月、三田市小野
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黒郷橋から見えるブルーシートで覆われた人骨発見現場=2011年2月、三田市小野
人骨を基に作製され、ポスターなどに掲載されている復顔像=兵庫県警本部
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人骨を基に作製され、ポスターなどに掲載されている復顔像=兵庫県警本部
横から見た復顔像=兵庫県警本部
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横から見た復顔像=兵庫県警本部
神戸新聞NEXT
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 兵庫県三田市小野の千丈寺湖(青野ダム)でコンクリート詰めの人骨が見つかった死体遺棄事件は14日、有力な情報がないまま丸10年を迎える。見つかったのは頭部と一部の骨しかなく、三田署は復顔像を作製し、「この人は誰?」というメッセージ付きのチラシを配って手掛かりを求めている。一方で、特徴的な歯並びが身元判明の糸口になる可能性もあるとみて捜査を続けている。(喜田美咲)

■他の骨はどこに?

 2011年2月14日午前10時45分ごろ、うっすらと雪が積もる中、湖畔で釣りをしていた男子高校生=当時16歳=が、「ランドセル」ほどの大きさのコンクリート塊を水際に見つけた。当時、湖は雨不足で02年12月以来の激しい渇水に見舞われ、干上がった湖底からかつての県道の一部が姿を現す日が続いていた。

 塊は縦26センチ、横35センチ、高さ17センチ。頭から上あご辺りの骨がむき出しになって全体的に崩れていた。骨は茶色く、死後1~5年程度が経過しているとみられる。塊には髪の毛のようなものが残り、付近からは左足首や頸椎(けいつい)の骨も見つかったが、胴体は埋まっているか、別の場所にあるかも分かっていない。

 現場は湖の東側に架かる「黒郷橋」の真下に近いことから、三田署は橋の上から投げ入れられた可能性もあるとみている。

■AB型、小柄な男性

 司法解剖などの結果、遺体は30~40代の男性で、身長は145~165センチと小柄だったことが判明。血液型はAB型だった。

 さらに、身元判明に期待されたのは「歯並びが非常に悪く、治療もあまりしていない」という特徴だ。

 上あごの骨は小さいのに下あごの骨は大きい。右上の歯にはステンレス製のスクリューピン(全長9・9ミリ、ネジ径1・3ミリ)があり、下の前歯、奥歯は舌の方に傾いていた。

 このため、三田署は歯科医らにカルテを照合するように協力を要請。歯科医師会の会員向け会報「歯界月報」にも掲載したが、捜査の進展は見られない。

 警察庁の持つ被疑者データに照会してもヒットする人物はいなかった。

■埋められた時の顔は

 次に手を打ったのが「顔の復元」。

 従来の方法は、頭蓋骨の形に加え、該当者の生前写真や目撃情報などを重ね合わせて一致箇所を見ていく。しかし今回は頭蓋骨のほかにデータがなく、明らかに情報が乏しかった。

 そこでコンクリートに残る顔の跡などを基に粘土で復元できないかと考え、神戸市内で特殊メークや特殊造形物を手掛ける会社に「復顔像」の作製を依頼。ハリウッドからも作製依頼のある会社で、県警としては当時、珍しい試みだった。

 浮かび上がったのは、小顔で、上向きの唇…。捜査関係者は「骨だけでは分からない死亡時の肉付きや輪郭に近いものが再現できたはずだ」と語る。

 11年11月に公開すると「知り合いに似ている」などと県内外から連絡が相次ぎ、現在までに計183件の情報が集まった。しかし、その内訳は年々減少しており、20年の1年間は11件にとどまっている。

 県警はこれまで延べ3万2千人以上の捜査員を投入。すでに死体遺棄容疑は3年の公訴時効を迎えたが、同署と県警捜査1課の合同捜査班は殺人容疑で捜査を継続している。

 「ささいな情報でも連絡してほしい」。今年も2月14日、署員らは三田駅前でそう呼び掛けてチラシを配る。

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