7番勝負の第4局で勝ち、対局を振り返る佐々木大地七段=16日午後、佐賀県嬉野市、和多屋別荘

 将棋の「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦」(神戸新聞社主催)7番勝負の第4局は16日、佐賀県嬉野市の和多屋別荘で指し継がれた。午後6時26分、挑戦者で先手番の佐々木大地七段(28)が、藤井聡太王位(21)=竜王、名人、叡王、棋王、王将、棋聖=を85手で破り、シリーズ初勝利を挙げて対戦成績を1勝3敗とした。

 持ち時間各8時間のうち残りは佐々木13分、藤井2分。第5局は22、23日、徳島市の「渭水苑」で指される。

 佐々木得意の相掛かりの戦型。佐々木が金を上がって相手の飛車を攻めたのに対し、藤井は封じ手の5五飛(32手目)と逃げ、その後は互いに陣形を整備して攻撃の機会をうかがった。佐々木が4五角(49手目)から飛車を捕獲し、藤井も9九角成(64手目)などで反撃。一進一退の攻防が続く中、佐々木が最終手の5三角(85手目)で相手玉を即詰みに討ち取った。

 対局後、佐々木は「ポイントが分からず、終始難しいと思っていた。次局も近いので、変わらず開き直って淡々と指したい」。藤井は「封じ手前後の組み立てで、うまく判断できなかった。課題が多かったので、立て直せるようにがんばりたい」と話した。

 立会人の中田功八段(56)は「最後は、佐々木七段の4一銀(81手目)を藤井王位が軽視したのかもしれない。前例のない難しい将棋で、さまざまな変化が考えられ、見応えがあった。今後も熱戦を期待したい」と話していた。

【佐々木大地七段の話】6八玉型の相掛かりは、先手番でやってみたかった形。7七金(29手目)、8六金(31手目)はその場で考えた。4五角(49手目)から飛車を取る展開に、懸けるしかないと思った。2四歩(77手目)と迫ったが、終盤は自信がなかった。

【藤井聡太王位の話】5五飛(32手目)では飛車を切る手も考えたが、駒損なので成算が持てなかった。4五角(49手目)は見落としていた。5四角(50手目)とするのでは苦しい。6一飛(79手目)から4一銀(81手目)の組み合わせに気がついていなかった。

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