内容説明
第二次大戦後に社会研究所を再建し、フランクフルト学派を形成したホルクハイマーとアドルノは、急速に西欧(アメリカ)化していく西ドイツ社会において、『啓蒙の弁証法』の「野蛮/啓蒙」図式とは異なる位相の問題に直面し、「真理政治」の戦略を組み替えることを余儀なくされた。彼らは、管理社会化していく西ドイツの状況をどのように捉え、その中でどのような理論的実践を試みたのか?戦後の彼らの主要著作とそれに対する公共圏での反応、大学でのゼミやシンポジウムの記録、哲学会の内部資料、書簡など、多様な資料を駆使しながら、フランクフルト学派第一世代の真理政治の全体像を再構成し、「批判理論」の意味を問い直す。
目次
第1部 管理社会と客観的理性(語られることなきノンコンフォーミズム?―批判的知識人のプロフィールについて;ドイツへのまなざし)
第2部 理論的実践(遂行的自己矛盾という幸運;『ミニマ・モラリア―傷ついた生活裡の考察』;『プリズメン―文化批判と社会』;哲学の必要性;『否定弁証法』;解き明かす言葉―社会批判的に書く技法について;超え出ていく実践―革命的保守主義)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
金沢大学法学類教授、政治思想史
福野明子[フクノアキコ]
大阪大学大学院単位取得退学。社会思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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