【南極観測隊】60年のバトンに触れる貴重な体験 関電工の岡本さん、内山さんが任務終え帰国 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【南極観測隊】60年のバトンに触れる貴重な体験 関電工の岡本さん、内山さんが任務終え帰国

岡本さん(左)と内山さん

 1986年以降、南極地域観測隊に越冬隊・夏隊を合わせ、計30回にわたり社員を派遣してきた関電工。このたび、第57次越冬隊(2015年12月-17年3月)に参加した岡本龍也さん(32)と、第58次夏隊(16年11月-17年3月)メンバーの内山宣昭さん(28)が、昭和基地などの設備の設営・保守管理を中心とする任務を終えて帰国した。
 「関電工が南極にかかわっていると知ったときから、行きたいと思っていた。自分一人でどこまでできるか挑戦したかった」と志願理由を話す岡本さんは、現在新築中の基本観測棟の基礎工事を始め、昭和基地内の各種設備や太陽光発電、風力発電設備の更新・保守、さらには除雪作業なども手掛けた。

架線修復作業

 越冬隊に加わった岡本さんは「停電が起きないよう常に注意を払っていた」と語る。停電で水を循環させるポンプが止まると、給水管が凍ってしまう。「飲み水が確保できないという死活問題になる」と、ただならぬプレッシャーに対峙し続けた。
 現地では、停電していないのに配管が凍るというピンチにも遭遇。仲間と復旧方法を迅速に立案し、ブリザードが落ち着くのを待って、すばやく修復に当たり難を逃れた。
 関電工として最年少での参加となった内山さんは「入社後しばらくして、南極から帰ってきた先輩の話しを聞き、いつか自分も行ってみたいと思っていた」と言い、今回念願をかなえた。2階建てとなる基本観測棟の1階部分の工事をメインに、ブリザードで損傷したケーブルの修理などにも当たった。
 同社が夏隊に社員を派遣するのは10年ぶり。新築案件の存在のほか、更新すべき設備が増えていることなどが背景にあるという。岡本さん、内山さんに、現在第58次越冬隊に参加している齋藤健二さんを加えた“関電工トリオ”でも数多くの仕事をこなした。

関電工の3人による延線作業

 南極の短い夏の間に「いかにたくさんの仕事を迅速にこなすか」がテーマだったと内山さん。与えられたミッションは多く、時間感覚を狂わせる白夜の影響もあって、「夕食後に作業をしていたら、いつの間にか朝の2時や3時になっていたこともある」
 それでも「目に見えて、どんどんものができたり、改善されていった。越冬隊のための仕事をしているんだと思うと、大きなやりがいを感じた」と振り返る。
 2人は17年1月の昭和基地60周年の節目にも立ち会い、「貴重な経験をさせてもらった」と声をそろえる。「60年にわたり先輩方がつないできたバトンにさわれた」と内山さん、「60年のその先にバトンをつなげた」と岡本さん。「観測隊に参加できたのは家族の支えがあってこそ」、そして「また行きたい」。ここでも、2人は声をそろえた。

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