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大学入試の仕組みを理解しよう!共通テストと2次試験で決まる国公立大学入試

一般選抜の仕組み

国公立大学は定員の約8割を一般選抜で募集

大学入試を大きく分けると、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜があります。表は国公立大学の募集人員の割合を入試選抜方法別にみたものです。近年、総合型選抜や学校推薦型選抜の募集人員枠が拡大していますが、依然として一般選抜の募集人員枠が全体の約8割を占めています。国公立大学志望者は、まず一般選抜での受験を考えて受験勉強をスタートさせるべきでしょう。

国公立大学募集人員の割合
国公立大学募集人員の割合
  • 数値は2024年度入試のもの(文部科学省資料より)

共通テストと2次試験(個別学力検査)

ここからは国公立大学の一般選抜の仕組みについてみていきましょう。国公立大学の一般選抜は、1次試験的役割を果たす「共通テスト」の得点と、大学別に実施される「2次試験(個別学力検査)」の得点の合計で合否を判定するケースが一般的です。

国公立大学志望者は、1月中旬に実施される「共通テスト」を原則受験しなければなりません。自己採点を行った後、志望する大学に願書を提出します。注意したいのが国公立大学の出願期間です。国公立大学の出願期間は、共通テストの約1週間後からスタートし、約10日間となっています。思うように得点できなかった場合は、当初考えていた出願校を変更しなければならなくなることもありえます。出願時になって慌てないよう事前に複数の候補を挙げておくことが必要でしょう。

国公立大学一般選抜のしくみ
国公立大学一般選抜のしくみ

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分離分割方式と2段階選抜

「分離・分割方式」を把握しよう!

各大学で実施される2次試験(個別学力検査)は2月下旬から行われます。

2次試験は「前期日程」「後期日程」の2つの日程に募集人員を振り分けて選抜する「分離・分割方式」という制度で実施されます。受験生は「前期日程」と「後期日程」にそれぞれ1校ずつ出願できます。同じ大学・学部を2回受験することも、別々の大学・学部を受験することもできます。また、一部の公立大学では「中期日程」を設定する大学もあります。これらをあわせると国公立大学は最大3校の受験が可能となります。

分離・分割方式のしくみ
分離・分割方式のしくみ

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注意しなければならないのは、「前期日程」で合格して入学の手続きを行うと「中期日程」「後期日程」を受験していても、合格の権利を失ってしまうということです。つまり、「前期日程」の合格者は「中期日程」「後期日程」の合否を確認することなく「前期日程」で受験した大学への入学の判断を迫られることとなります。そのため、第1志望校は「前期日程」で受験するのが一般的です。

また、前期日程と後期日程の募集人員の割合は8:2と圧倒的に「前期日程」の割合が高くなっており、「分離・分割方式」は複数回の受験機会があるとはいえ、実質的には「前期日程」を中心とした仕組みとなっています。

コラム~「後期日程」廃止・縮小の動き~
近年、難関大学や医学科では「後期日程」を実施しない大学が多くなっています。東京大学、京都大学、大阪大学は全学部で後期日程を実施しません。東北大学は経済学部と理学部、一橋大学は経済学部とソーシャル・データサイエンス学部、名古屋大学は医学科のみ実施します。その他の大学でも学校推薦型・総合型選抜の拡大に伴い、後期日程の廃止や募集人員縮小の動きがあり、受験生にとっては「後期日程」での志望校選択の範囲が年々狭まっています。このため、前期志願者数に対する後期志願者数の割合も減少傾向にあります。
国公立大学
前期日程に対する後期日程の志願率の推移
国公立大学 前期に対する後期志願率の推移
  • グラフは前期志願者数を100とした時の後期志願者数の割合

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出願しても2次試験を受けられない?~2段階選抜~

国公立大学の一般選抜でもう1つ気をつけなければならないのが2段階選抜という制度です。

これは共通テストの成績を用いて2次試験の受験者を事前に選抜したうえで(これを第1段階選抜といいます)、2次試験を実施する制度です。選抜が2段階に分かれていることから2段階選抜とよばれています。

2段階選抜の実施の有無は大学によります。また、第1段階選抜の実施方法も大学に委ねられています。多くの大学では「志願者が募集人員の◯倍を上回った場合、第1段階選抜を実施する」としており、志願者数の状況によって第1段階選抜の有無が決まります。そのため、実際に2段階選抜が実施されるのは、志願者が集まる難関大学や医学科が多くなっています。

2段階選抜の実施を予定している大学では、共通テストの成績次第で2次試験を受けることなく不合格となる場合もあるわけです。国公立大学志望者は、まず共通テストでしっかりと得点できる力をつけることが大事といえるでしょう。

国公立大入試の教科・科目数

共通テストは6教科8科目以上の受験が基本

入試科目は共通テスト・2次試験(個別学力検査)とも大学により異なります。主な傾向をみていきましょう。

2025年度入試では、多くの国公立大学が共通テストで6教科8科目を課します。国立大学だけに絞ると、約8割が6教科8科目を課します。なお、この6教科8科目の構成も大学により異なりますが、大別すると次の3つのパターンに分けられます。

(文型)
外・数2・国・理・地公2・情(数2が必須でないパターンも含む)
(理型)
外・数2・国・理2・地公・情
(選択型)
外・数2・国・情必須、理・地公から3(数2が必須でないパターンも含む)

学部系統別に教科パターンをみていくと、文系学部では地歴公民2科目が必須の文型、理系学部では理科2科目が必須の理型が一般的となっています。

国公立大学でも少数派ながら少ない教科・科目数で受験できる大学はあります。しかし、受験科目を絞れば負担が減るかわりに、志望校の選択幅がぐっと狭まります。国公立大学志望者は6教科8科目に対応した学習を基本と考えましょう。

(参考)国公立大学
共通テスト必要教科・科目数の状況
(参考)国公立大学 共通テスト必要教科・科目数の状況
  • 円グラフは大学公表の募集区分に基づき、前期日程のみで集計
  • 数値は2025年度入試のもの(2024年1月現在)
コラム~国公立大学の共通テスト「情報」の設定状況~
2025年度入試より新たに加わる共通テスト「情報」ですが、国立大学と公立大学で設定状況が異なります。国立大学ではほとんどの大学で「情報」を必須としており、他教科との選択とするケースや利用しないケースはごく一部にとどまっています。公立大学では「情報」を必須とする大学は全体の半数未満となっており、他教科との選択とする大学も少なくありません。
では、配点の設定状況はどうでしょうか。6教科8科目を課す国公立大学で集計すると、2025年度入試では6割以上の大学が「情報」の配点比率を他教科より低めに設定しています。教科「情報」は共通テストの受験が必須ですが、この1教科で大きく差がつくことはない、という位置づけになっています。

2次試験科目は日程によって傾向が異なる

2次試験の入試科目も共通テスト同様に大学によって異なります。また、同じ学科でも日程により異なるケースがほとんどです。

前期日程の入試科目は、一般的には文系学部で「外国語、数学、国語、地歴・公民」から2~3教科が課されます。数学の出題範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列)・C(ベクトル)」とするケースが多くみられます。理系学部では「外国語、数学、理科」から2~3教科が課されます。数学の出題範囲は「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)」とするケースが多くみられます。文系、理系それぞれ2~3教科が課されるのが一般的ですが、東京大学、京都大学などの一部の難関大学では4教科を課す学部・学科もあります。

一方、後期日程では前期日程に比べ教科数を1~2教科に減らすケースや、総合問題、小論文や面接などを課すところも多くなっています。なかには、2次試験を行わず共通テストの得点のみで合否を決定する大学もあります。

また、大学独自の試験のほかに、提出書類や資格検定試験を活用する大学もあります。書類系では受験生本人が記載する志望理由書の提出を求める大学がみられます。配点は低めに設定しているケースや、そもそも点数化しないケースもありますが、提出にあたり時間がかかる場合もありますので、出願までには準備しておきたいところです。資格検定試験では実用英語技能検定(英検Ⓡ)、ケンブリッジ英語検定といった英語資格・検定試験を活用する大学が多くあります。国公立大学の場合、英語資格・検定試験の成績は必須ではなく、保持していれば合否判定の際に優遇されるケースが一般的ですが、東京海洋大学など、ごく一部の大学では英語資格・検定試験を出願要件として提出する必要がある大学もあります。

配点についても共通テスト、2次試験ともに大学ごとに設定されています。よくみられるのは専攻する学問に関連する教科の配点を高くするパターンで、例えば理系学部では数学や理科の配点が高くなっているケースが目立ちます。また、共通テストと2次試験の配点比率も大学によってかなりの差があります。

国公立大学 入試配点比率の例
2次試験の配点比率が高いパターン
共通テストのみを利用するパターン
特定教科の配点比率が高いパターン
2次試験に教科試験を課さないパターン
  • 表中の科目・配点はいずれも2025年度入試のもの

入試科目や重視される科目によって、必要となる受験対策も変わってきます。志望校の入試科目や配点、共通テスト・2次試験の配点比率などはきちんと押さえておきたいものです。各大学の入試科目・配点は、入試前年の7月に「入学者選抜実施要項」として発表されます。また、入試科目などが大きく変更となる場合は、これより早くホームページ等で公表されています。気になる大学は早めにチェックをしておきましょう。

大学入試の仕組みを理解しよう!

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