アイデア発想法、いろいろ。誰もがアイデアを生み出せる方法とは?

商品企画やサービス企画の仕事をしている方はもちろんのこと、ちょっとした催し物やイベントの企画などでも、アイデア出しに苦しんだことはありませんか?

世の中には、突然、天から何が降りてきて、とんでもないアイデアがひらめく天才肌の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここでは、ある程度の確率で、誰もがアイデアを生み出すことができる方法論について語りたいと思います。


 【アイデア発想法】

  はじめに(アイデアを生み出すために)

1.掛け算で考える
2.足し算で考える
3.引き算で考える
4.ターゲットを絞る/ターゲットをずらす
5.順番を入れ替える/時間をずらす
6.利用者の手間を減らす
7.他のところから持ってくる
8.リスクから考える

  さいごに


はじめに(アイデアを生み出すために)

まず、アイデアを生み出すためには、アイデア発想に集中する環境が必要です。電話が鳴ったり、他人から話し掛けられる場所では、なかなか集中できません。そのような環境で、素敵なアイデアを生み出すことは難しいでしょう。また、人間の集中力は、そんなに長くは続きません。

ですので、自分が集中できるように環境を整えた上で、例えば、「30分間でアイデアを100個だすぞ!」というように、時間を区切ってアイデア出しに集中する必要があります。

ただし、短時間で良いアイデアが生まれるとは限りません。その場合には、ダラダラと時間を延長するのではなく、体を動かしたり音楽を聴いたりして脳をリフレッシュさせてから、再挑戦する。あるいは、日を改めて再チャレンジするなどの工夫が必要です。

さて、ここで、お伝えするアイデア発想法は、次のようなものです。 それでは、ひとつずつ、順番に見ていきましょう。


1.掛け算で考える

自分の大好きなもの、例えば、旅行や音楽のコンサートなどを連想してみてください。 そして、その対象を自分が好きな理由を書き出します。

旅行が好きな場合には、どうして、自分は旅行が好きなのか?について、その要因を抽出するわけです。

例えば、こんな感じです。

・知らないところに行くのが楽しい
・見慣れない景色が見られる
・非日常的な気分を味わえる
・仕事や家事のことを忘れてのんびりできる
・飛行機/新幹線/特急列車/船などの乗り物に乗るのが楽しい
・みんなでワイワイできる
・知っている人に会わない

などが、旅行が好きな理由だとします。

そして、この要素を、「レストラン」と掛け合わせてみます。
そうすれば、次のようなレストランのアイデアが生まれるはずです。

・知らないところに行った気分になれるレストラン
 (珍しい料理/地方色が豊富/外国人が接客してくれる、など)

・見慣れない景色が見られるレストラン
 (プロジェクターで映像を映す/店内が水族館になっている、など)

・非日常的な気分が味わえるレストラン
 (高級感がある/店内がハワイ仕立てになっている、など)

・仕事や家事のことを忘れてのんびりできるレストラン
 (携帯電話の電波が届かない/足湯がある/囲炉裏がある、など)

・飛行機/新幹線/特急列車/船などの乗り物に乗った感じで食事のできるレストラン

・みんなでワイワイできるレストラン
 (大テーブルがある/カラオケ・ダーツ・ゲーム機がある、など)

・知っている人に会わないレストラン
 (お一人さま専用/個室/隠れ家的、など)


2.足し算で考える

次は、いくつかの機能を足し合わせるという発想です。

その昔、テレビとビデオで「テレビデオ」という製品がありました。

もっと単純なものでは、「3色ボールペン」や「4色ボールペン」も、足し合わせのアイデアです。
あるいは、シャープペンシルとボールペンで「シャーボ」という商品もありました。

ここで、関西では有名なeo光の事例を。

家庭でNTTの光ファイバー回線を利用する場合、回線はNTTと契約し、ネット接続などはプロバイダー(OCN、So-net、Nifty、BIGLOBE など)と契約しなければなりませんでした。

しかし、eo光は、当時のケイ・オプティコム(現・オプテージ)と契約するだけで光回線もプロバイダー機能も利用できました。その後、光電話やCATVサービスも同時に利用できるということで競争優位となり、「全部まとめてeo光」というTVCMでの訴求が消費者の心を捉えたわけです。

最近では、新型コロナとインフルエンザの両方に効くワクチンの開発が進められていますが、これも足し算の事例です。


3.引き算で考える

製品の機能を減らす、あるいは、提供するサービスをなくす方向のアイデア発想法です。

最低限の機能に絞ったスマートフォンは、子供向けやシニア向けに販売されています。

ファミリーレストランでは、タブレットで注文することで、接客サービスを省いています。

一時、話題となった「いきなりステーキ」。それまでは、外食でステーキを食べるには、少しハードルも値段も高くて、サラダやスープから始まってメインのステーキに辿り着くのが常識でした。それを、その名のとおり「いきなりステーキ」を出すというサービスが受け入れられたわけです。しかも、(当初は)立食で。

「セルフ給油」や「セルフレジ」も、引き算の発想です。

最近では、ご飯とソーセージだけのコンビニの200円弁当が話題になりました。

格安航空(LCC)や格安スマホも、引き算の発想です。

ホテルでは、連泊時に室内清掃とリネン類の交換をしない代わりに、ペットボトルの飲料水を無料でプレゼントするところもあります。

洗髪や髭剃りをなくして低料金で散髪してくれる理髪店も、1つの例です。

引き算の発想とは、あくまでも、商品やサービスの提供側から見た引き算です。利用者は、不要な(無駄な)部分が削ぎ落された分、低価格という恩恵を受けることができます。


4.ターゲットを絞る/ターゲットをずらす

ターゲットを絞る、あるいは、今までのターゲットから新たなターゲットにずらす発想です。

ターゲットを絞る事例としては、大きなサイズの洋服だけを取り扱う、あるいは、身長150センチの洋服だけを取り扱うなどが挙げられます。

雑誌で、「30代の働く女性のための雑誌」とターゲットを絞ると、逆に、そのターゲットの外側(20代や40代など)が興味を持つとも言われています。

ターゲットをずらす事例としては、回転ずしのチェーン店でのスイーツの提供があります。カフェに負けないような美味しいスイーツを、しかも低価格で提供することで、昼食や夕食の合間の午後の時間帯に女子高生などを取り込もうとする作戦です。

この夏、ポカリスエットが「熱中症対策に」という訴求をいていました。それまでは、スポーツ飲料として認知されてきたわけですが、運動をしない子供や高齢者にターゲットをずらしたと言えます。

熱烈な阪神タイガースファンのための居酒屋。これはターゲットを絞った発想です。

もちろん、広島カープにも熱烈なファンはたくさんいます。そのターゲットを女性にずらしたのが、カープ女子です。

かつて、学校は、子供や20歳過ぎまでの若者のためだけのものでした。少子高齢化を背景として、学び直しと称し、大学は「社会人」や「シニア」にターゲットをずらそうとしています。


5.順番を入れ替える/時間をずらす

テーマパークのファストパスのように、順番をお金で買うという発想もあります。

クレジットカードの利用は、支払いの時間を先延ばしにできるサービスです。

逆に、時間を前にずらす事例としては、航空機やレンタカーなどの「早割」があります。3ヶ月前に申し込むと料金が(例えば)20%割引になるようなものです。

ところで、同じバスでも、東京では乗車時に運賃を支払いますが、関西では降車時に運賃を支払います。

今のように非接触型ICカードがない時代、雨の日に東京でバスに乗るためには、傘を差しながら小銭を探す必要がありました。逆に、関西では、降車時に紙幣を両替する人が続いて、ターミナル駅でなかなかバスから降りられないということもありました。

これも、支払いの順番を変えると、サービスの内容に影響を与えるという事例です。

牛丼チェーンでは、事前に食券を購入してから着席する店舗があります。これも支払いの順番を入れ替えたものです。お店にとっては食い逃げの防止になりますし、店員が注文をとる必要もなくります。一方、顧客は、食後に支払いのために店員の手が空くのを待つ必要がありません。紙幣や硬貨に触れないので衛生面でもプラスになります。

ホテルの中で、食事をしたりマッサージなどのサービスを受けると、その場で支払わずにチェックアウト時に一括で精算します。それも、順番を入れ替える発想です。


6.利用者の手間を減らす

利用者の手間を減らす、省く、という発想です。

購買のための場所が、リアルな店舗からネット通販やネットスーパーへと置き代わり、その勢いは止まりません。店舗に出かける/何軒もお店を見て回る/品物を持って帰る、という手間を減らせるのが、ネット通販やネットスーパーが流行る要因です。

食洗器、ロボット掃除機も、手間を省くための製品です。

ファストフードの郊外型店舗にあるドライブスルーは、自動車から降りる手間を省くためのものです。しかし、今では、フードデリバリー(宅配)サービスを利用すれば、自動車で出かける手間さえも省くことができます。

自宅でテレワークが続く時代に、冷凍食品のパスタを愛用した人も多いのではないでしょうか。もちろん、冷凍食品は、料理の時間を省くことができます。

その冷凍食品のパスタも、調理の仕方によって2種類の商品群に分かれます。

1つは、外袋を開けると、透明なビニールに覆われたパスタが入っていて、それを(陶器製の)自宅のお皿の上に載せて電子レンジで温めるもの。

もう1つは、外袋を開けると、容器の中にパスタが入っているものです。容器に入っているので、容器の蓋(シート)の隅っこを少しだけめくって、そのまま電子レンジで温めます。温まったら、蓋(シート)を剥がして、パスタを食べることができます。食器棚からお皿を出したり、食後にお皿を洗ったりする必要がありません。紙製の容器の場合は、ゴミの分別をする必要もありません。

関西の私鉄でメインに使用されている非接触型ICカードの「PiTaPa」は、 駅の自動販売機でチャージする必要がありません。利用後に、月に1度、銀行から利用料金が引き落とされます。

各種の「代行サービス」も、利用者の手間を省くためのものです。


7.他のところから持ってくる

他の地域から、違う地域に持ち込む。あるいは、他の業界から、違う業界に持ち込むという発想です。

例えば、ハンバーガーショップや、宅配ピザ店などは、アメリカから日本に持ち込まれました。コーヒーのチェーン店(カフェ)は、以前から日本にもありましたが、スターバックスなどアメリカから持ち込まれたチェーン店が日本でも流行っています。

台湾かき氷も、1つの例です。

また、元々、日本には蕎麦屋の出前がありましたが、昨今は海外発のフードデリバリーサービスがアメリカや中国から参入しています。

中国で圧倒的なシェアのあるスマホ決済が、日本にも導入されて普及しています。

逆に、日本から海外に進出したものもあります。アメリカで豚骨ラーメンが流行ったり、イギリスではカツカレー(日本風のカレーで、カツはチキンカツ)が流行っているそうです。

他の業界から、違う業界に、その要素を持ち込むというやり方もあります。

例えば、「回転ずし」の回転レーンを他のカテゴリーにも応用しようとするものが挙げられます。「一人しゃぶしゃぶ」や「一人焼肉」のお肉が回転レーンで回るのをテレビやネットで見たことはないでしょうか。

新幹線のグランクラスは、飛行機のファーストクラスやビジネスクラスを真似たものです。


8.リスクから考える

最後に、リスクから考えるアイデア発想法をご紹介します。

それは、対象となる製品やサービスなどに、どんなリスクが潜んでいるのかを考えて、そのリスクを回避する方法を考えることで、新たなアイデアを生み出すものです。

例えば、次のようなものはリスクを考慮したアイデアです。

・電車のホームからの落下を防止する、ホームドア
・歯ブラシの雑菌の増殖を防止する、防菌仕様の歯ブラシ
・熱中症対策として、体に必要な成分が速やかに吸収できる飲料水
・子供がゲームをしすぎないようにプレイ時間を制限できるゲーム機
・子供が有害なコンテンツを見ないためのインターネットの有害防止フィルター
・災害時に温めなくても食べられるカレー


さいごに

ここで紹介したアイデア発想法以外にも、いろんなアイデア発想法はあるでしょう。
しかし、真剣に取り組めば、ここに並べたものだけでも十分に効果を発揮するはずです。

毎日、アイデア出しに取り組めば、潜在意識もフル稼働します。朝目覚めた瞬間に、とても素敵なアイデアがひらめくかもしれません。

是非、あなたも、アイデア発想の王道を歩んでみてください。

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