住宅地でも出会えるかも？「ヒトリシズカ」の凜とした美しい姿に感動！

ヒトリシズカ

東北のロックガーデンで咲くヒトリシズカ。すっと伸びた茎の先に花と葉をつける様子を凜と舞う静御前の姿に重ねた素敵な命名。一度聞いたら忘れられない植物名だと思います。

■属科・タイプ：センリョウ科の宿根草
■花期：4月〜5月

■草丈：10〜30cm

凜と咲く美しい花にまさか住宅地で出会えるなんて！

平安時代の末期、源義経がこよなく愛した女性であった静御前は、源頼朝と北条政子が見つめる前、一人で白拍子を舞います。

「しずやしず　しずのおだまき　繰り返し　昔を今に　なす由もがな」

幸せだった頃に戻りたくても、もう戻れないという哀しさを込めて歌いながら舞った静御前の姿はよほど印象的だったのでしょう。舞い踊る姿は「一人静」と呼ばれ、後生まで伝えられています。

山野草として知られるヒトリシズカの名は、その「一人静」に由来します。東北の庭でひっそりと咲いているのを目にしたとき、地味ながらも凜とした美しい姿に心を打たれ、この名がつけられたことに大いに納得しました。

冷涼な気候を好む山野草だと思っていたヒトリシズカに、すぐご近所で出会えるとは思ってもみませんでした。4月上旬に住宅地を散歩していたときのことです。「えっ、まさか！」と駆け寄ってみると、1株のヒトリシズカが何本も茎を立ち上げて花を咲かせていて、もうびっくりするやら感激するやら…。住宅の敷地ではあるものの、道路のすぐ際でさりげなく咲いている様子が本当に自然で、「ここにヒトリシズカが咲いていますよ〜」と道行く人に教えたい気持ちになりました。きっとお住まいの方が苗を植えたのだと思いますが、家屋の北側の明るい日陰という、ヒトリシズカが好む生育環境をきちんと踏まえているのを見て、植物が好きな方なのだろうと推察。こんな素敵な発見があるから、花散歩はやめられないんですよね。

ヒトリシズカという名前ではあるものの、株が育ってくると何本も花茎を立ち上げます。その先端に4枚の葉をつけ、真ん中から白いブラシのような花が咲きます。新葉のフレッシュな緑色を背景に花の白さが際立ちます。

栽培の難易度

林床の少し湿った場所に見られる山野草なので、明るい日陰で乾燥しない場所に植えます。初夏以降は木陰となる落葉樹の下などが適します。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。地植えであれば水やりは雨まかせでかまいませんが、土壌がひどく乾燥しているときにはたっぷりと水やりします。大株に育ち、茎が20本以上立ち上がったら、晩秋に株分けするのがおすすめです。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる