大脳半球って何?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「大脳半球」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
大脳半球って何?
脳のなかで最も大きなスペースを占めるのが大脳半球です。
大脳半球は、脳を覆っている頭蓋骨のそれぞれの名前をとり、前頭葉(ぜんとうよう)、頭頂葉(とうちょうよう)、側頭葉(そくとうよう)、後頭葉(こうとうよう)の4つに区分されます。
実際には、辺縁葉、島葉という2つの領域も大脳に含まれますが、内側に隠れているため外からは見えません。
大脳半球の断面を見た時、表層の淡い灰褐色をしている部分を大脳皮質(灰白質)といい、神経細胞が集まっています。その下層の白い部分が髄質(白質)で、神経線維が集まっています。
この脳は、全体として活動しているわけではなく、葉(よう)ごとに担当する機能が決まっています。
前頭葉では運動や言語、精神機能、感情などを、頭頂葉では痛覚や温覚などの感覚や情報の分析を、側頭葉では記憶や嗅覚、味覚などを、後頭葉では視覚をつかさどっています。
文字を読む機能、手足を動かす機能、見る機能、聴く機能など、それぞれ担当する機能ごとの領域を野(や)といいます。
運動野、視覚野、聴覚野という具合です。そして、これらの一次運動野、一次感覚野の周辺には、各領域の情報の理解や意味付けに必要な部分が広がっています。この部分を連合野(れんごうや)といいます。
連合野は皮質のほかの広い部分にも存在し、受け取った各種情報を取捨選択し、整理統合し、思考推理を行い、高度な判断を下し、精神作用を発現するなど、高度な精神活動を行っています。このような部分を特に高次連合野といいます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版