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歴史と向き合って 川崎の市民団体が慰安婦問題で冊子

社会 | 神奈川新聞 | 2020年4月26日(日) 12:00

元慰安婦の被害者の証言が記録された冊子
元慰安婦の被害者の証言が記録された冊子

 旧日本軍による「性奴隷制度」の被害者救済を訴えてきた市民団体「川崎から日本軍『慰安婦』問題の解決を求める市民の会」は、10年の活動を冊子にまとめた。韓国から元慰安婦の女性を招いた昨年の集会をメインに活動を回顧。存命の被害者が減りゆく中、貴重な証言を収録し、加害の歴史を伝える記録となっている。

 ソウル郊外の「ナヌム(分かち合い)の家」で暮らす元慰安婦たちの記録映画「まわり道」の上映会を開いたのは昨年10月。来日した李玉善(イオクソン)さん(92)は時 折苦しそうな表情を浮かべながら壮絶な過去を語った。

 「刀で切りつけられ、殴られながら兵隊の相手をさせられた」「私たちは『慰安婦』ではない。強制的にさせられた」「耐えられず命を絶った女性もいた」

 冊子には、無理やり中国へ連行された場面から謝罪と賠償を日本政府に求める思い、解決に取り組む人々に託す希望まで語られたスピーチを書き起こした。

 市民の会の木瀬慶子さん(69)は「歴史に向き合おうとしない安倍政権の下、慰安婦の存在を否定する虚言までまかり通るようになってしまった。今ほど被害者の声を伝え広めなければと思ったことはない」。昨年は愛知県の芸術祭「あいちトリエンナーレ」で慰安婦をかたどった少女像が爆破予告などの妨害を受けて展示できなくなり、川崎市麻生区の「しんゆり映画祭」でも慰安婦問題がテーマの記録映画「主戦場」の上映が一時中止になった。冊子では、いずれも政治家や行政の介入を背景にした結果であると報じた新聞記事を掲載して紹介した。

 李さんに同行したナヌムの家の安信権(アンシングォン)所長が解決の前提となる加害の認識を求めて「慰安婦ではなく性奴隷制度被害者と呼ぶべきだ」と呼び掛けたあいさつも収録。2009年の結成から証言集会や被害者と交流を重ねてきた活動の歴史も年表で紹介した。

 李さんを5月に訪ねる計画は新型コロナウイルスの影響で断念したが、冊子を送ったところ「これからも頑張りましょう」との返事があったという。1部300円で販売。問い合わせは、木瀬さん電話080(3494)2411。

 
 

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