歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が19日未明の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成により可決、成立した。自衛隊の海外活動が地球規模に拡大し、戦後の安保政策は大きく転換する。全国各地で反対の声が広がり、多くの憲法学者らが「違憲」と訴えたが、与党は安倍晋三首相が公言してきた今国会成立を優先させた。
関連法は自衛隊法や武力攻撃事態法など10本の法改正を一括した「平和安全法制整備法」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法」の2本。
米国など「密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合に政府が「存立危機事態」と認定すれば、集団的自衛権の行使が可能になる。後方支援や国連平和維持活動(PKO)での任務や活動範囲も格段に広がる。
国会審議では集団的自衛権行使の合憲性や活動拡大に伴う自衛隊員のリスクなどが主な論点だったが、政府の答弁には最後まで曖昧さが残った。
関連法は17日の参院平和安全法制特別委員会で与党が採決を強行し、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革も賛成して可決された。与党は18日までの成立を目指していた。野党側は衆院に内閣不信任決議案、参院に首相問責決議案などを提出し抵抗。成立は19日にずれ込んだ。