安全保障関連法案に反対する市民団体が30日、国会近くで集会を開催。同法案に関する抗議行動では最大規模で、主催者は約12万人が参加したと発表した。
◆創価学会員ら署名活動 「平和の党 原点戻れ」
国会前のデモに集まった人々の中には、自民党と連立与党を組む公明党の支持母体・創価学会の会員の姿もあった。「安保法案は平和主義に反する。平和の党の原点に立ち返ってほしい」。横浜市から足を運んだ男性(61)は署名用紙を手に法案撤回への賛同を呼び掛けた。
男性は前日、創価学会の有志が署名活動をすることをツイッターで知った。午後1時、「戦争法案は許しません」と書いた手作りのプラカードを持って向かった国会前。「同志であることを示す三色旗」を見つけ、駆け寄った。大阪や愛知など全国から学会員15人が集まっていた。
選挙では公明党か連立相手の自民党に協力するよう求められてきた。「集団的自衛権の行使を可能にする安保法案により他国の戦争に参加できるようになる。法案に賛成してしまったら、学会が基調としてきた平和主義はインチキだったことになってしまう」。集団的自衛権の行使容認に踏み切った閣議決定に疑問を感じ、昨年12月の衆院選では小選挙区は共産党候補に、比例区は社民党に投票した。
入信し、50年余り。「生命の尊厳を説く仏法哲理を根本に、恒久平和に寄与する」という教えを誇りにしてきた。創価大に進学し、以来、仏教修行の一つである「勤行」も朝晩必ず行っている。
毎月1回開かれる地区の座談会で法案について議論しようと持ち掛けたことがあった。だが「政策を話し合う場ではない」と却下された。「一人一人の幸せを追求する学会は本来、自由な議論も大事にしてきた。だが、それすらもよしとしない雰囲気に危機感を抱いた」
勇気を与えてくれたのは仲間の存在だった。8月上旬、法案に反対する「創価大学・創価女子短期大学関係者 有志の会」が立ち上がった。呼び掛け人の一人は大学の同級生だった。「孤独をずっと感じていたが、同じ思いを持っている人はたくさんいるのだと気付いた」
署名活動は初体験。「頑張れ」「応援しているぞ」と励ましの声を掛けられた。午後4時、親子連れが声を上げていた。
「戦争反対」「憲法守れ」
男性は「平和というのは決して日常から離れたところにあるものではない。一人一人が実践して築くものなのだ」とうなずいた。