第12回うどん県書道パフォーマンス大会~入賞校紹介~

8月11日(金・祝)にサンポート高松において、第12回うどん県書道パフォーマンス大会が開催されました。

今大会は過去最多となる県内高校24校が参加し、各校が考え抜いた熱いパフォーマンスを披露しました。

会場には暑い中多くの観客の方が訪れ、高校生たちの想いのこもった演技を観覧されていました。

また、今大会では「瀬戸内の魅力発信」採択事業として「瀬戸内の魅力発信賞」が設けられ、作品や演技に瀬戸内の魅力を盛り込んで取り組んだ高校もありました。

 

ここでは、大会に出場した24校の作品のうち、見事入賞された8校の作品を、代表生徒のコメントや県教育委員会の二宮先生による作品解説も交えてご紹介します。

 

【優勝】高松北高校(初)

〇代表生徒:『今回、私たちは「雲外蒼天」というテーマでパフォーマンスをさせていただきました。たくさんの選択を迫られる世の中で、迷ったり悩んだりすることもあるけれど、自分の夢や目標に向かって力強く突き進んでいこうという思いをこの作品に表しています。また、今回このパフォーマンスを完成させるにあたってたくさんの先生方や先輩方にお世話になりました。そのご指導いただいた先輩方や先生方に感謝の気持ちをお伝えできるようにこのパフォーマンスをしました。私たちのこのパフォーマンスを通して、皆さんに私たちの勢いやパワーを届けられていたら嬉しいです。』

〇二宮先生:『造像記(中国の石窟寺院で岩肌に仏像を彫り、その像の由来を記したもの)という書体を用いて、本当に素晴らしくどこを取っても生命が通っている、血が通っている、そんな作品ができたと思う。これまで先輩方の作品もずっと見てきているが、高松北高の形としてずっと受け継いでいると感じ、それが十分に活きた作品になっている。特に「外」の縦画はピシッと引かれ、岩に切りつけるような線が柔らかい筆で表現できている。これが作品全体に統一できて良い作品ができたと思う。』

 

【準優勝】高松東高校

〇代表生徒:『今回私たちは空海生誕1250年を記念して「四国遍路」をテーマにパフォーマンスを制作しました。お遍路さんが苦しみながらも周りの人たちや弘法大師の支えによって成長するということを表現しています。背景には四国や地域の自然をモチーフとした温もりを感じるものとしました。また、世界遺産登録を目指し、私たちのパフォーマンスを観ていただいた方に四国遍路を知っていただくきっかけになればと思います。』

〇二宮先生:『彼女たちは7月下旬に四国中央市で開かれた書道パフォーマンス甲子園に県代表で出場している。香川県代表としてこの空海1250年祭を祝う作品を披露し、高評価を得ている。そこから半月ほどさらに書き込んだと思う。甲子園の時より作品の精度が数段上がっていると思う。要らないところがない、余白も綺麗で、色々な色合いがあるがそれが無駄にあるのではなく必要なところにきちんと配置されている。作品に「四国第一番」から「結願」の大窪寺までを表しており、この作品が世界遺産に繋がればいい。衣装も同行二人のものを家族から借りてきて着ている。生誕の記念に相応しい作品になった。』

 

【第3位】高松第一高校

〇代表生徒:『私たちは、たとえ辛い事や苦しい事があってもいつかは報われるという思いをこの作品に込めました。私たちはこのうどん県書道パフォーマンス大会が最後となります。今まで支えてくださった顧問の先生や先輩方に感謝しながら、楽しんでパフォーマンスを終えることができました。皆さんに私たちがこの作品に込めたエールが届いていればいいなと思います。』

〇二宮先生:『演技の最初のスタートは各学校で違う。立ったまま礼をしたり、方向を変えたりするが、今回は正座して手をついて「お願いします」という所作がすごく良かった。最近しないところも多いが、元々書道パフォーマンスではこの挨拶の仕方が大きな流れの一つだった。そこから表情にも今日が最後だということで、悔いのないようにやってやろうという思いが出ている。言葉やダンスも自分たちで考えている。会議を重ねて良い、悪いといって削ぎ落していき、良いものを残していくという作業がパフォーマンスにおいて大変だが、これを繰り返すことで仲間の団結力が生まれ、作品に最後に良いものが残っていく。中央には太陽を象っており、人間は心に必ず太陽を持っているんだという熱いメッセージとともに「限界突破」を書き上げてくれた。皆の充実した表情にやり切ったという気持ちが出ている。』

 

【毎日書道学会作品賞】高松西高校

〇代表生徒:『今回の作品は、香川県にゆかりのある空海の風信帖を参考にし、2年生12人で作り上げました。大文字の「海縁」には全ての人との繋がりに感謝し、自分たちで新しい道を切り開いていく強い決意を込めました。私たちの書道に懸ける情熱、感動、勇気を届けられたら幸いです。』

〇二宮先生:『書道パフォーマンス甲子園が7月下旬に四国中央市で開かれ、香川県から高松西、高松東の二校が出場した。その時は3年生のメンバーを中心に作品を披露してくれ、全国の人を驚かせた。それを受けて今回2年生で先輩の意思を継ぎ、新たにこの大会で頂点を目指そうと思いやってきた。入場からやってやるぞという意気込みがすごく伝わってきたし、作品の中でそれが十分表されたと思う。中央の「海」の字は下に水となっていて本来はさんずいなのだが、これは空海が最澄に送った手紙の中にこのような字体で海を書いていた。それを彼女たちは勉強していて、作品の中に入れた。右の船のところのオレンジの部分は甲子園ではなかったが、空海が唐に向け何度も失敗しながら船に乗っていくさまを描きつつ、世界は海で繋がっているということから大きな志を持って彼女たちが羽ばたいていくというイメージも持てた。』

 

【審査員特別賞(JA共済連香川賞)】小豆島中央高校

〇代表生徒:『今回のテーマは「夜明け」です。大文字の「黎明」には夜明けという意味ともう一つ、新時代の幕開けという意味があります。今、世界中で時代が移り行く中で、夜明けが毎日訪れるように新しいものも毎日どんどん生まれていると思います。そういった新しいものがこれからの未来を明るくすると信じています。これからの時代を担う若者たちがそういった新しいものへの挑戦をする姿勢がとても大事だと私たちは思っています。そういう思いで書きました。』

〇二宮先生:『会場に大勢の観客がいる中で素晴らしい演技だったと思う。いくつかポイントがあり、最初の刷毛の使い方で縦に使うのと横の面で使うのを上手く工夫していた。線を開いたり閉じたりさせることで鳥の表情を上手く表している。淡い色は黎明という言葉から明け方のオレンジや紫や青を鳥の羽に使っている。大字を書く際に身体全体をバネのように書いており、筆の片面だけを使うのではなく、360度を上手く使っていた。小字の人もそれが上手くできていた。これは一日二日でできることではなく、暑い中しっかり練習した賜物だろう。』

 

【奨励賞(ゆめタウン高松賞)】多度津高校

〇代表生徒:『私は海が好きなので「海」を書こうと考えました。かすれを出したりするのを練習するのが難しかったです。最初1人でやると言われた時は不安もありましたが、先輩方も協力してくれたので成功させることができたと思います。』

〇二宮先生:『彼女は今年の全国高等学校総合文化祭に県代表で選ばれて行っている。また、昨年度に海洋技術科の生徒として大型実習船に乗ってハワイ沖で実習もしてきたり、オリンピックの聖火リレーにも参加するなど、地元では有名人の生徒さんだ。(第10回大会で優勝した同校の先輩二人も駆けつけてくれて一言後輩へ 『自分たちが卒業してから一人で頑張ってくれ、賞などもたくさん取ってくれて、先輩としても誇らしい。今回も一人で書いて素晴らしいと思う。一人で辛かったと思うがいい作品に仕上げてくれたと思う。』とコメント)』

 

【奨励賞(フォルクスワーゲン香川賞)】観音寺第一高校

〇代表生徒:『今回は全員にとって初めてのパフォーマンスということで、鳳蝶(アゲハチョウ)をテーマに力強く、新鮮なパフォーマンスに仕上げました。作品のポイントとしては、見せ字と添え字、そして添え字の中でも大きさに大小をつけて、余白や全体のバランスが美しくなるように工夫しました。1年生だからとか少人数だからとか、そういったことに関係なく、今回のこの大会でしっかり結果を残したかったので妥協することなく、精一杯練習に励んできました。』

〇二宮先生:『代表生徒が流した涙は一生懸命取り組んだ証だろうし、1年生だけで入学してからここまででこれだけできるというのは相当なことだ。1年生だけでなく周りの先生方や色々サポートしてくれたようだが、皆で一生懸命作り上げた作品がこんなに堂々としているのは自信を持っていいと思う。最初の白い衣装が幼虫、成長を遂げ途中で派手な衣装に変わるのは自分たちで布を買いに行って袖につけたとのことだ。体育館で練習して足に墨がついたまま4階の教室までずっと足跡がついていたくらい精一杯練習した。紙面いっぱいに迫力のある表現をしてくれて良い作品になったと思う。』

 

【瀬戸内の魅力発信賞】三木高校

〇代表生徒:『私たちは、地元三木町の伝統である獅子舞をテーマにパフォーマンスを行いました。今日使用した段ボール獅子頭は地元企業が製作しているものです。三木町の獅子舞のお祭りは、世代を問わず多くの人に楽しまれ、受け継がれています。その様子を誰もから愛され続けている名曲「summer」「銀河鉄道999」で表現しました。』

〇二宮先生:『手作りの獅子は生徒さんが役場に行ったら製作している企業を紹介してくれ、そこに布を自分たちでつけて作った。三木町では毎年まんで願祭があり、大獅子や小獅子がいっぱい出てきて賑やかになるが、その表情がまさに作品に出ている。ピアノの生演奏でのパフォーマンスはなかなかないので本当に贅沢なひとときだった。ピアノを演奏した生徒さんは筆を持たないかと思いきや筆も持つということで凄かった。三木町の獅子を題材に、本当に素晴らしい作品になったと思う。』

★三木高校の山本さんが今大会のMVPを受賞されました。

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