国連人権理事会の普遍的・定期的審査(Universal Periodic Review-UPR) における、第4回日本政府審査が行われました

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2023.2.27

国連人権理事会の普遍的・定期的審査 (Universal Periodic Review, UPR)において、第4回目となる日本政府の審査が2023年1月31日に実施されました。

日本は115の国連加盟国から合計300の勧告を受けました。ジョイセフとパートナー団体が昨年7月に提出した、日本初のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)に関する市民社会レポートの内容も勧告に反映され、24か国から36ものSRHRに関する勧告が提出されました。

避妊薬(含む緊急避妊薬)へのアクセス改善に関する勧告は2か国から、安全な中絶へのアクセス改善は6か国から、包括的性教育(CSE)に関する勧告は2か国から提出されました。世界基準からかけ離れた日本の遅れたSRHRの問題が、人権の問題であることが国連の場で指摘された形です。

また、性的指向、性自認、性表現(SOGIE)に基づく差別禁止に関する勧告は20か国から出されました。日本は前回2017年のUPR審査でも14か国からSOGIEに基づく差別に関連する勧告を受けています。ところがこれらに対し「Noted(留意する)」*という、勧告実行の責任を負わない採択を行い、具体的な改善策をとって来ませんでした。

(*UPR審査で受けた勧告に対して、被審査国は通常3-4か月後に行われる人権理事会において、「Accepted(受け入れる)」あるいは「Noted(留意する)」の採択をします。Acceptedには勧告の実行義務が生じますが、Notedの場合には継続的な改善が推奨されるのみで実行義務はありません。)

今回のUPR審査で、前回を大きく上回る20の勧告が提出されたことで、SOGIEに基づく差別に関連する問題を放置する、日本政府の人権に対する姿勢を各国が引き続き注視していることが示されました。

さらに、刑法性犯罪規定の改正に関する勧告は、不同意性交罪の制定も含め、6か国から出されました。

これら国連加盟国からの勧告に対し、今後日本政府は対応の検討を進め、6月に予定される国連人権理事会において各勧告の採択を行います。

SRHRは人権の一つです。日本政府は前回G7サミット議長を務めた2016年伊勢志摩サミットの首脳宣言の付属文書「女性の能力開花のための行動指針」においてSRHRを含めた健康問題に関する意識を高めるための教育・研究・啓発プログラムの改善を計画することに合意しています。また、昨年(2022年)のドイツのエルマウ・サミットにおいては「我々は、全ての個人の包括的なSRHRを達成することへの完全なコミットメントを再確認」することが首脳宣言に盛り込まれ、日本政府もこれに合意しています。

再び日本がG7議長国を務める今年、日本政府が世界基準から大きく取り残された日本国内のSRHRの課題について、どのように対策を進めるのか。G7広島サミット直後に行われる、6月の人権理事会での採択から目が離せません。
 


 
SRHRに関する勧告の日本に提出した24国連加盟国の内訳

 
 
ジョイセフと市民団体による共同レポート中の勧告内容と、国連加盟国による勧告の対比表はこちらからご覧いただけます。
CSOによるSRHR勧告と国連加盟国勧告対照表
 
 
UPRの事務局を担当する国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に提出した、ジョイセフを含めた全9団体による市民社会レポートはこちらからご覧いただけます(英語)
UPR第四回日本政府審査に向けたSRHR市民社会レポート
 
 
共同執筆団体(9団体)
公益財団法人ジョイセフ
#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト
#なんでないのプロジェクト
SOSHIREN 女(わたし)のからだから
LGBT法連合会
一般社団法人Spring
持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)
Sexual Rights Initiative
Asia Pacific Alliance for Sexual and Reprroductive Health and Rights

担当:アドボカシーグループ 草野洋美

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