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【流儀あり】「お客さま第一」貫く 中部国際空港会社・川上博社長

2009/11/26

 社長就任直後から、(業務)グループごとに生の声を聞く意見交換会をやっています。会議室でコーヒーを飲みながら。場合によっちゃ、常滑の居酒屋で酒を飲みながらというケースもありましたけど。10回以上はやっているかな。

 (設立から11年、開港から5年目の)若い会社ですのでいろいろ波風があります。この先の5年、20年、どういう形で発展していくのか。ざっくばらんにどういう方向がいいか、ボールを投げかけているところです。

 (社員は)いろんなキャリアの人が外から来ている。国や自治体から来た人、航空、小売り、旅行業界…。みんなと話していて面白くて。

 多様な人間が集まる組織は、大変強いと思っています。いろんな発想でものを考え、活動できる強みをぜひ生かしたい。1つのスキルだけでは発展性がないですから、そこから各人がどう幅を広げていくかをお願いしたい。

 米国トヨタのあるアメリカで働いた経験があるのですが、性別、年齢、人種、宗教、それらを問わず、1人1人がパフォーマンスを目いっぱい出すという社会ですから新鮮でした。この会社にも、多様性という意味では同じことが言えるんだなと。

 私が(旧トヨタ自動車販売に)入社したころは、販売の神様といわれた(初代社長の)神谷正太郎さんの「神谷イズム」をたたき込まれたんです。「1にユーザー、2にディーラー、3にメーカー」って言ってね。

 これ、相通ずるところがありまして。「1にユーザー」と、(空港会社が掲げる)お客さま第一主義はまったく一緒だなと思っています。2はエアライン、ハンドリング会社(空港業務)、フォワーダー(航空貨物輸送)さん。もっと言えば空港事務所、警察、消防、自治体とか。お互いに信頼しなければぎくしゃくするわけですから。

 トヨタグループは重要なお客さまであることは間違いないです。ただ一本足打法ではもたないので、荷主にしても旅客にしても、非トヨタの部分についても活動しているところです。

 バランスを取らなくてはいけない。1つの所に依存しているだけじゃ空港はできないですから。

 【かわかみ・ひろし】 京大法学部卒。72年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。96年米国トヨタ販売出向。復帰後に米州営業部長などを経て、03年常務役員、07年専務。08年豊田通商副社長。09年6月、中部国際空港会社の第3代社長に就任。60歳。大阪府茨木市出身。