キョンが日本に来た理由

外来生物であるキョンはどのようにして日本に来たのか

キョン（学名: Muntiacus reevesi）が日本に生息する理由については、複数の可能性が考えられます。キョンは本来、南アジアや東南アジアに自然分布している動物で、日本はその自然分布域外です。

キョンが外国から日本に来た理由は、大きく分けて2つあります。

ペットとして

キョンは、中国南東部や台湾が原産のシカ科の小型草食獣です。
キョンは、元々台湾で高級食材として珍重されていましたは、日本では1970年代以降にペットとして輸入されるようになりました。キョンは、小型で愛らしい姿から、多くの人々に人気がありました。
しかし、飼育が難しいことから、逃げ出すか、飼い主に捨てられるケースも多く、野生化につながったと考えられています。
不法に輸入されペットとして飼われていたキョンが野生化した可能性もあります。

動物園で飼育するために

キョンは、シカ科の動物でありながら、体長が1メートル程度と比較的小さく、飼育しやすいことから、動物園でも人気があります。そのため、1970年代以降、日本各地の動物園で飼育されるようになりました。

なお、キョンが日本に初めて渡来した時期については、諸説あります。1920年代に、中国から日本に輸入され、動物園で飼育されたという説や、1940年代に、台湾から日本に輸入され、ペットとして飼育されたという説などがあります。

いずれにしても、キョンは、日本に定着して繁殖し、現在では、特定外来生物に指定されるほどの問題となっているのです。

キョンの数が日本で増えた理由

動物園から逃げ出した

日本には、1970年に東京都立大島公園の動物園から台風で壊れた柵から逃げ出したキョンが野生化し、繁殖したとされています。また、1980年代には千葉県の勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」から逃げ出したキョンが野生化し、房総半島に分布を広げたと考えられています。

キョンは、繁殖力が旺盛で、天敵も少ないため、日本では急速に生息数を増やしています。その結果、農作物への被害や、交通事故の原因となるなど、さまざまな問題を引き起こしています。そのため、日本政府はキョンを「特定外来生物」に指定し、根絶に向けた駆除対策を進めています。

千葉県では、2023年度にキョンの年間捕獲目標を8,500頭に設定しています。また、農作物への被害を防止するため、キョンの忌避剤や防護柵の設置を推進するとともに、住民への啓発活動にも取り組んでいます。

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