民間主要企業の賃上げ妥結額は6,898円で、昨年を1,044円上回る
 ――厚生労働省の2022年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況

2022年の賃上げの最終結果

厚生労働省が8月5日に公表した2022年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況では、平均妥結額は前年よりも1,044円高い6,898円となっている。交渉前の平均賃金である現行ベースに対する賃上げ率は2.20%で、前年の1.86%を上回るとともに、4年ぶりの2.2%台となった。

2.2%台に乗るのは4年ぶり

資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業358社について集計した。集計企業全体でみた妥結額の平均(加重平均)は6,898円で、昨年の5,854円を1,044円上回った。2018年以降の5年間でみると、妥結額は2018年の7,033円に次いで高い水準だ()。賃上げ率は2.20%で、2年ぶりに2%台を回復。ここ5年間では2018年の2.26%に次ぐ水準となっている。

図:2018年以降の民間主要企業における春季賃上げ状況の推移
画像:図

(公表資料から編集部で作成)

最も高い産業は「精密機械」で「建設」がこれに続く

産業別にみると、妥結額は「精密機器」が9,511円で最も高く、次いで「建設」(9,334円)、「金融・保険」(8,983円)、「鉄鋼」(8,900円)、「繊維」(8,317円)、「化学」(7,805円)、「運輸」(7,562円)、「造船」(7,321円)などの順で高くなっている。最も低いのは「非鉄金属」の3,920円で、「窯業」も3,979円と4,000円に届かない状況となっている。

賃上げ率では、「鉄鋼」が3.04%と唯一、3%台に乗せて最も高くなっている。次いで高いのは「金融・保険」(2.99%)で、以下「精密機器」(2.78%)、「建設」(2.75%)、「繊維」(2.63%)、「運輸」(2.60%)などと続く。最も低いのは「非鉄金属」の1.28%で、次いで「窯業」(1.39%)が低い。

妥結時期をみると、今年は3月末までに妥結した企業の割合は76.2%で、昨年(74.2%)よりも若干高くなっている。

夏季一時金の妥結額は昨年を6万円弱、上回る

厚生労働省はまた、2022年民間主要企業夏季一時金妥結状況を9月9日に公表した。集計対象は、妥結額などを把握できた資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業381社。

それによると、平均妥結額は83万2,340円で、前年(77万3,632円)から5万8,708円(7.59%)増加した。平均要求額は86万9,956円で、前年に比べ6万1,120円(7.56%)増加している。

平均妥結額を産業別にみると、最も妥結額が高いのは「化学」の100万8,350円で、次いで「鉄鋼」(99万2,406円)、「建設」(97万8,922円)、「自動車」(96万5,650円)、「窯業」(94万3,615円)、「電気機器」(93万581円)、「造船」(91万9,210)、「食料品・たばこ」(91万3,792円)などの順となっている。

同一企業で前年と比べると、多くの産業が前年の妥結額を上回ったが、「食料品・たばこ」(3.12%減)、「精密機器」(3.64%減)、「電力・ガス」(1.94%減)は前年の水準を下回った。

(調査部)

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