大手企業の妥結額アップ率は2年ぶりに2%台に乗せる
 ――経団連の2022春季労使交渉・大手および中小企業の妥結結果

2022年の賃上げの最終結果

経団連(十倉雅和会長)がこのほどまとめた2022年春季労使交渉の大手企業・中小企業それぞれの妥結結果(最終集計)によると、大手企業のアップ率は2.27%で、2年ぶりに2%台を回復した。中小企業のアップ率は2%に届かず1.92%だったものの、昨年に比べ0.24ポイント上昇した。

大手の妥結額は昨年を約1,400円上回る

大手企業(従業員数500人以上)の妥結結果では、135社(製造業122社、非製造業13社)について集計した。集計企業全体での妥結額平均(加重平均、以降同じ)は7,562円で、昨年(6,124円)を1,438円上回った。アップ率は2.27%で、昨年よりも0.43ポイント高い水準となっている。

業種別にみると、妥結額が最も高いのは「建設」の1万4,871円(従業員平均の数値を含む)で、次いで「鉄鋼」(8,973円)、「化学」(8,317円)、「繊維」(8,315円)、「機械金属」(8,084円)、「自動車」(7,656円)などの順で高くなっている()。

表:2022年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)
画像:表

注:「印刷」と「貨物運送」は集計社数が1社のため、妥結額は伏せられている。

(公表資料から編集部で作成)

アップ率では、「非鉄・金属」(2.11%)、「繊維」(2.60%)、「印刷」(2.10%、ただし1社の集計)、「化学」(2.48%)、「ゴム」(2.31%)、「鉄鋼」(2.98%)、「機械金属」(2.56%)、「電機」(2.14%)、「自動車」(2.31%)、「建設」(2.97%)が2%以上で、それ以外の業種は1%台だった。特に昨年から大きく率が高まった業種は、「繊維」(0.60ポイント増)、「化学」(0.63ポイント増)、「ゴム」(0.60ポイント増)、「鉄鋼」(1.71ポイント増)、「機械金属」(0.56ポイント増)、「鉄道」(0.89ポイント増)など。「商業」(1.62%)と「貨物運送」(1.28%、ただし1社の集計)が昨年を下回るアップ率となった。

中小の妥結額は昨年から660円増加

中小企業(従業員数500人未満)については、377社(製造業239社、非製造業138社)の妥結結果を集計した。妥結額平均は5,036円で、昨年の4,376円を660円上回った。アップ率は1.92%で、昨年の1.68%を0.24ポイント上回った。

業種別にみると、妥結額は「土木・建設」が6,295円で最も高く、次いで「電気機器」(5,983円)、「印刷・出版」(5,703円)、「化学」(5,515円)、「機械金属」(5,486円)などの順で高い。

アップ率で2%以上となったのは「鉄鋼・非鉄金属」(2.05%)、「機械金属」(2.07%)、「電気機器」(2.17%)、「輸送用機器」(2.12%)、「化学」(2.06%)、「土木・建設」(2.47%)だった。

規模別にみると、「100人未満」が妥結額4,497円、アップ率1.80%、「100~300人未満」が同じ順番で5,059円、1.94%、「300~500人未満」が5,135円、1.94%となっており、額、率ともに規模が大きくなるほど高い水準となっている。

大手企業の夏季賞与も昨年を上回る水準

ほぼ同じ時期に発表された2022年夏季賞与・一時金の大手企業(従業員500人以上)の妥結結果によると、2022年夏季賞与・一時金の総平均(159社)は89万9,163円で、昨年からの増減率はプラス8.77%となっている。

妥結額が大きい順に業種を並べると、「建設」(128万8,034円)(従業員平均の数値を含む)、「鉄鋼」(101万3,913円)、「電機」(97万124円)、「化学」(95万8,937円)、「食品」(95万1,854円)、「機械金属」(94万4,542円)などの順となっている。ほとんどの業種は昨年の妥結額を上回ったが、「紙・パルプ」「セメント」「電力」は昨年比マイナスとなった。

(調査部)

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